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13章 歪な三角星
11-3
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どうして、村を出て行ったのか。デュアンはそう訊ねた。しかしそれに答えようとすれば、ウィルが死んだ事実も話さなければいけなくなってしまう……
「……」
ウィルは沈黙していた。デュアンはさらに続ける。
「みんな、心配しています。それに……これは言うなと口止めされていたんですが。プリースティス様が……」
「ああ……怒ってました?」
「いいえ。その逆です。プリースティス様は、ウィルさんが村を出て行ったと知って、三日間寝込まれてしまいました」
「え……」
驚いた、プリースティス様って言うと……ウィルのいた神殿の、長みたいな人だよな。厳しい人だったと、ウィルは事あるごとにこぼしていた。
「僕は、初めて見ましたよ。あの人が、あそこまで取り乱すところを。もう無駄だって何度言っても、ウィルさんを探しに行くんだって聞かないんです」
「うそ……」
「本当ですよ。猟師の方々にさえ、どうして止めなかったんだと食って掛かるありさまでした。そうして一晩中騒ぎ続けて、とうとう熱を出して倒れてしまった。それでも、うわごとのように繰り返していましたよ。あなたの名前と……すまない、すまないと何度も」
ウィルが息を飲むのが聞こえてきた。俺だって衝撃だ……けど、察して然るべきだったのかもしれない。ウィルを十数年育ててくれた人だ。その人が、ウィルを実の娘のように思っていても、なんら不思議はないじゃないか。
「ウィルさん……帰りましょう。皆さんも、きっと歓迎してくれます。あなたが無事に帰りさえすれば、みんなそれでいいんです。あなたの“家族”は、村のみんなじゃないですか」
家族……孤児のウィルは、村人たちに家族同然に思われていた……
「……ごめんなさい、デュアンさん」
ウィルが再度断ると、デュアンは激しく首を振った。
「どうして……!ウィルさん、よく考えてください。あなたを捨てた両親と、今もあなたを想う人たちと、どちらが大事なんですか?」
「ええ……もっともです。そして私も、今私を想ってくれている人が大切だと、そう思います」
「なら……!」
「でも、ごめんなさい。だからこそ私は、いっしょには行けません」
「ウィルさん!」
デュアンはもどかしい、どうしてこんな簡単なことが分からないんだという顔で、視線をあちこちさ迷わせた。まるで、見えないウィルの姿を探すかのように。そうしているうちに、黙っている俺と目が合った。
「そうだ……ウィルさん、あなたはどうやって旅をしているんです?彼と、桜下くんと一緒にいるんですか?今どこに……」
「そんな、いっぺんに訊かないでくださいよ……けど、当たってます。私は今、そこにいる桜下さんたちと一緒に旅をしています。今も、皆さんの協力があって、こうしてお話ができているんです」
「なな、なんですって!いけませんよ、そんなの!うら若き乙女が、こんなケダモノみたいな男と一緒に旅をするなんて!何かあったらどうするんです!」
だぁれが、ケダモノだ!デュアンは自分のことを棚に上げて、嫁入り前の娘を持つ父親のようなセリフを吐き続けている。ウィルの声も呆れているようだ。
「デュアンさん、あなた……仮にそうだとして、あなたにどうこう言われる筋合いはありませんよ」
「あります!だって、僕は……ウィルさんのことを、ずっと前からお慕いしているんですから!」
「へっ?」
おっと、大胆な告白だ。周知の事実とは言え、ウィルの声も上ずっている。
「ず、ずっと前からって……」
「ずっと前からです!というか僕、もう何度か告白してますよ?そのたんびにはぐらかされていましたけど、本当に分かっていなかったんですか?」
「う、え?だって、てっきり冗談かと……デュアンさん、女好きで有名でしたし……」
「確かに女性は好きですよ。けど、告白までしたのは、ウィルさん。あなただけです!」
ほー。そこは一途だったんだな……なんだウィル、意外とモテてたんじゃないか。俺はにやっと笑ったが、同時になぜか、少しだけ苦い気分にもなった……
「この際だから、はっきり言っておきましょう!ウィルさん、僕はあなたを愛しています!子どものころから好きでしたし、大きくなって結婚して、つつましやかな家庭を築き、最期には同じお墓に入るんだとばかり思っていました!」
「え、ええ?取らぬ狸の数が多すぎやしませんか?」
「だって……だって、そうでしょう!僕たちは、ずっと一緒だったんです!このまま明日も、明後日も一緒なんだって、そう思っていたのに……急にあなたがいなくなってしまって……」
「それは……」
「お願いです、ウィルさん……戻ってきてください。僕たちのもとへ。僕は、一生かけてでもあなたを幸せにしてみせます。必ずです。だから……」
「……」
デュアンは涙を流してはいなかったが、その声はほとんど泣いているように聞こえた。ウィルは、彼にどう返事をするつもりなんだろう……?
「デュアンさん……すみません。私、一つ嘘をつきました」
「え……?嘘……?」
「両親を探したいって、私は書置きしましたけど。それ、嘘なんです。私は、もう皆さんの下にはいられなくなったから、村を離れることにしたんです」
「いられなくなった……?どういうことです、意味が分かりませんよ!だってみんなは、ウィルさんに戻ってきてほしいと思ってるのに!」
「ええ……けど、無理なものは無理なんです」
「どうして……!」
「私、もう死んでるんです」
……っ!俺は目を見開いた。そしてそれは、デュアンも同じだった。いや、彼が受けた衝撃の方が、もっと大きいはずだ。
「死ん、でる……?ウィルさん。そんな冗談、あなたらしくもない。あなたは人一倍、人の死を悼む人だったじゃないですか」
「その通りです。そしてこれは、冗談でも何でもありません。だから私は、あなたの前に姿を出せないんです。幽霊だから、見えないんですよ」
「は……?ゆう、れい……?」
「桜下さんが勇者様だってことも、知っているんでしたよね?あの人の能力は、死霊術です。だから私は、桜下さんと一緒に行くことにしたんですよ。幽霊の私が見えるのは、ネクロマンサーである彼だけですから」
「意味が……僕には、まったく……」
「わかりませんか?だから、書置きを残すしかなかったんです。私の言葉は、こういう特殊な道具を使いでもしないと、もう誰にも届かないんですから。戻れないのもそういう理由です。厳密には、戻ったところで、誰にも認識されないんですけど」
「では……本当に……?」
「……なんだったら、村に戻って、神殿の崖下の森に行ってみてください。そこに、私の骨が埋まっていますから。石が載せてあるので、すぐに分かるはずです」
「…………」
どさっ。デュアンが、がっくりと膝をついた音だ。
「嘘じゃ……嘘じゃ、ないんですよね?つまり、僕を追い払うために……」
「……さすがに、そこまでひどいことはしませんよ。仮にも、同じ釜の飯を食べた人に」
「……いっそのこと、そうであって欲しかったですよ。ちっくしょう!」
ゴンっ!デュアンは拳で、テラスの石床を殴りつけた。相当痛いだろうに……だが今の彼は、肉体の痛みは感じない様子だった。心がどうかは、分からないが……
「そんな……どうして……僕たちが王都に行っている間に、何があったって言うんですか!?」
「……事故、だったんです。私は、崖から足を滑らせたんです。誰が悪いわけでも、何が原因なわけでもありません。ただ私の運が、ほんの少し悪かっただけで」
「くうぅ……そんな……」
デュアンは床を殴った姿勢のまま、片手をついてうつむいた。
「でも……ウィルさんは、どうしてそのことを、誰にも……」
「……すみません。全部、私のわがままです。私は、忘れられるのが怖かった。私の存在が過去になって、誰の口からも名前を呼ばれなくなるのが怖かったんです。だから死んだ事実を隠して、旅に出たっていう嘘をついたんです」
「ぼ……僕は、忘れなかった……プリースティス様も、シスターたちだって……」
「ええ……本当に、その通りです。馬鹿でした、私は。これじゃ私、みんなをいたずらに傷つけただけですね……」
それを聞いて、俺は納得した。そうか……だからウィルは、あれほど隠していた秘密を打ち明ける気になったんだな。
「本当にごめんなさい。でも、これで私が戻れない理由は、分かってもらえましたよね」
「では……ウィルさんは今、ゴーストとなって、旅を続けているんですか」
「はい。桜下さんがいなければ、私は今頃、悪霊になっていました。そうならずに済んだのは、ネクロマンサーの彼と一緒だったからです」
するとデュアンは、突然顔を上げた。
「僕も行きます!」
「え?」「へ?」
思わず俺も声を出してしまった。なんだって?
「僕も一緒に行きます!ゴーストでも、ウィルさんに変わりありません!このガラスの筒を使えば、話だってできる!姿が見えなくても、心は一つです!」
「え、いや、だって。神殿はどうするんですか!」
「構いません!ウィルさんと一緒だと言えば、きっとみんなも分かってくれるはずです!僕も一緒に行かせて下さい!」
ま、まさこれほどとは……少し侮っていたのかもしれない。デュアンは、本気だ。ただの執着なんかじゃない。本気で、ウィルを愛しているんだ。
「……いいえ、やっぱりだめ。いけません」
「どうして!ウィルさん、僕はたとえ死んでいたって、あなたを……!」
「だったらなおさら。ごめんなさい、デュアンさん。はっきり言います。あなたの気持ちに、私は応えられません」
カラーン。ガラスの筒が床に転がった。デュアンは信じられないという顔で、虚空を見つめている。そして慌てて筒を拾いなおし、今度はそれを恐る恐る耳につけた。
「うぃ……ウィルさん?今、なんと」
「……何度も言いたくはありません。あなたを傷つけるって分かってますから」
「……で、では。理由……そう、理由は?僕の何がいけませんか。女性の事でしたら、当然我慢しますよ。他に直せることだったら……」
「いいえ。あなたが原因じゃないんです……」
「なら……」
「好きな人がいるんです。私」
つづく
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読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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「……」
ウィルは沈黙していた。デュアンはさらに続ける。
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「ああ……怒ってました?」
「いいえ。その逆です。プリースティス様は、ウィルさんが村を出て行ったと知って、三日間寝込まれてしまいました」
「え……」
驚いた、プリースティス様って言うと……ウィルのいた神殿の、長みたいな人だよな。厳しい人だったと、ウィルは事あるごとにこぼしていた。
「僕は、初めて見ましたよ。あの人が、あそこまで取り乱すところを。もう無駄だって何度言っても、ウィルさんを探しに行くんだって聞かないんです」
「うそ……」
「本当ですよ。猟師の方々にさえ、どうして止めなかったんだと食って掛かるありさまでした。そうして一晩中騒ぎ続けて、とうとう熱を出して倒れてしまった。それでも、うわごとのように繰り返していましたよ。あなたの名前と……すまない、すまないと何度も」
ウィルが息を飲むのが聞こえてきた。俺だって衝撃だ……けど、察して然るべきだったのかもしれない。ウィルを十数年育ててくれた人だ。その人が、ウィルを実の娘のように思っていても、なんら不思議はないじゃないか。
「ウィルさん……帰りましょう。皆さんも、きっと歓迎してくれます。あなたが無事に帰りさえすれば、みんなそれでいいんです。あなたの“家族”は、村のみんなじゃないですか」
家族……孤児のウィルは、村人たちに家族同然に思われていた……
「……ごめんなさい、デュアンさん」
ウィルが再度断ると、デュアンは激しく首を振った。
「どうして……!ウィルさん、よく考えてください。あなたを捨てた両親と、今もあなたを想う人たちと、どちらが大事なんですか?」
「ええ……もっともです。そして私も、今私を想ってくれている人が大切だと、そう思います」
「なら……!」
「でも、ごめんなさい。だからこそ私は、いっしょには行けません」
「ウィルさん!」
デュアンはもどかしい、どうしてこんな簡単なことが分からないんだという顔で、視線をあちこちさ迷わせた。まるで、見えないウィルの姿を探すかのように。そうしているうちに、黙っている俺と目が合った。
「そうだ……ウィルさん、あなたはどうやって旅をしているんです?彼と、桜下くんと一緒にいるんですか?今どこに……」
「そんな、いっぺんに訊かないでくださいよ……けど、当たってます。私は今、そこにいる桜下さんたちと一緒に旅をしています。今も、皆さんの協力があって、こうしてお話ができているんです」
「なな、なんですって!いけませんよ、そんなの!うら若き乙女が、こんなケダモノみたいな男と一緒に旅をするなんて!何かあったらどうするんです!」
だぁれが、ケダモノだ!デュアンは自分のことを棚に上げて、嫁入り前の娘を持つ父親のようなセリフを吐き続けている。ウィルの声も呆れているようだ。
「デュアンさん、あなた……仮にそうだとして、あなたにどうこう言われる筋合いはありませんよ」
「あります!だって、僕は……ウィルさんのことを、ずっと前からお慕いしているんですから!」
「へっ?」
おっと、大胆な告白だ。周知の事実とは言え、ウィルの声も上ずっている。
「ず、ずっと前からって……」
「ずっと前からです!というか僕、もう何度か告白してますよ?そのたんびにはぐらかされていましたけど、本当に分かっていなかったんですか?」
「う、え?だって、てっきり冗談かと……デュアンさん、女好きで有名でしたし……」
「確かに女性は好きですよ。けど、告白までしたのは、ウィルさん。あなただけです!」
ほー。そこは一途だったんだな……なんだウィル、意外とモテてたんじゃないか。俺はにやっと笑ったが、同時になぜか、少しだけ苦い気分にもなった……
「この際だから、はっきり言っておきましょう!ウィルさん、僕はあなたを愛しています!子どものころから好きでしたし、大きくなって結婚して、つつましやかな家庭を築き、最期には同じお墓に入るんだとばかり思っていました!」
「え、ええ?取らぬ狸の数が多すぎやしませんか?」
「だって……だって、そうでしょう!僕たちは、ずっと一緒だったんです!このまま明日も、明後日も一緒なんだって、そう思っていたのに……急にあなたがいなくなってしまって……」
「それは……」
「お願いです、ウィルさん……戻ってきてください。僕たちのもとへ。僕は、一生かけてでもあなたを幸せにしてみせます。必ずです。だから……」
「……」
デュアンは涙を流してはいなかったが、その声はほとんど泣いているように聞こえた。ウィルは、彼にどう返事をするつもりなんだろう……?
「デュアンさん……すみません。私、一つ嘘をつきました」
「え……?嘘……?」
「両親を探したいって、私は書置きしましたけど。それ、嘘なんです。私は、もう皆さんの下にはいられなくなったから、村を離れることにしたんです」
「いられなくなった……?どういうことです、意味が分かりませんよ!だってみんなは、ウィルさんに戻ってきてほしいと思ってるのに!」
「ええ……けど、無理なものは無理なんです」
「どうして……!」
「私、もう死んでるんです」
……っ!俺は目を見開いた。そしてそれは、デュアンも同じだった。いや、彼が受けた衝撃の方が、もっと大きいはずだ。
「死ん、でる……?ウィルさん。そんな冗談、あなたらしくもない。あなたは人一倍、人の死を悼む人だったじゃないですか」
「その通りです。そしてこれは、冗談でも何でもありません。だから私は、あなたの前に姿を出せないんです。幽霊だから、見えないんですよ」
「は……?ゆう、れい……?」
「桜下さんが勇者様だってことも、知っているんでしたよね?あの人の能力は、死霊術です。だから私は、桜下さんと一緒に行くことにしたんですよ。幽霊の私が見えるのは、ネクロマンサーである彼だけですから」
「意味が……僕には、まったく……」
「わかりませんか?だから、書置きを残すしかなかったんです。私の言葉は、こういう特殊な道具を使いでもしないと、もう誰にも届かないんですから。戻れないのもそういう理由です。厳密には、戻ったところで、誰にも認識されないんですけど」
「では……本当に……?」
「……なんだったら、村に戻って、神殿の崖下の森に行ってみてください。そこに、私の骨が埋まっていますから。石が載せてあるので、すぐに分かるはずです」
「…………」
どさっ。デュアンが、がっくりと膝をついた音だ。
「嘘じゃ……嘘じゃ、ないんですよね?つまり、僕を追い払うために……」
「……さすがに、そこまでひどいことはしませんよ。仮にも、同じ釜の飯を食べた人に」
「……いっそのこと、そうであって欲しかったですよ。ちっくしょう!」
ゴンっ!デュアンは拳で、テラスの石床を殴りつけた。相当痛いだろうに……だが今の彼は、肉体の痛みは感じない様子だった。心がどうかは、分からないが……
「そんな……どうして……僕たちが王都に行っている間に、何があったって言うんですか!?」
「……事故、だったんです。私は、崖から足を滑らせたんです。誰が悪いわけでも、何が原因なわけでもありません。ただ私の運が、ほんの少し悪かっただけで」
「くうぅ……そんな……」
デュアンは床を殴った姿勢のまま、片手をついてうつむいた。
「でも……ウィルさんは、どうしてそのことを、誰にも……」
「……すみません。全部、私のわがままです。私は、忘れられるのが怖かった。私の存在が過去になって、誰の口からも名前を呼ばれなくなるのが怖かったんです。だから死んだ事実を隠して、旅に出たっていう嘘をついたんです」
「ぼ……僕は、忘れなかった……プリースティス様も、シスターたちだって……」
「ええ……本当に、その通りです。馬鹿でした、私は。これじゃ私、みんなをいたずらに傷つけただけですね……」
それを聞いて、俺は納得した。そうか……だからウィルは、あれほど隠していた秘密を打ち明ける気になったんだな。
「本当にごめんなさい。でも、これで私が戻れない理由は、分かってもらえましたよね」
「では……ウィルさんは今、ゴーストとなって、旅を続けているんですか」
「はい。桜下さんがいなければ、私は今頃、悪霊になっていました。そうならずに済んだのは、ネクロマンサーの彼と一緒だったからです」
するとデュアンは、突然顔を上げた。
「僕も行きます!」
「え?」「へ?」
思わず俺も声を出してしまった。なんだって?
「僕も一緒に行きます!ゴーストでも、ウィルさんに変わりありません!このガラスの筒を使えば、話だってできる!姿が見えなくても、心は一つです!」
「え、いや、だって。神殿はどうするんですか!」
「構いません!ウィルさんと一緒だと言えば、きっとみんなも分かってくれるはずです!僕も一緒に行かせて下さい!」
ま、まさこれほどとは……少し侮っていたのかもしれない。デュアンは、本気だ。ただの執着なんかじゃない。本気で、ウィルを愛しているんだ。
「……いいえ、やっぱりだめ。いけません」
「どうして!ウィルさん、僕はたとえ死んでいたって、あなたを……!」
「だったらなおさら。ごめんなさい、デュアンさん。はっきり言います。あなたの気持ちに、私は応えられません」
カラーン。ガラスの筒が床に転がった。デュアンは信じられないという顔で、虚空を見つめている。そして慌てて筒を拾いなおし、今度はそれを恐る恐る耳につけた。
「うぃ……ウィルさん?今、なんと」
「……何度も言いたくはありません。あなたを傷つけるって分かってますから」
「……で、では。理由……そう、理由は?僕の何がいけませんか。女性の事でしたら、当然我慢しますよ。他に直せることだったら……」
「いいえ。あなたが原因じゃないんです……」
「なら……」
「好きな人がいるんです。私」
つづく
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