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14章 痛みの意味
10-4
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10-4
「はぁ……はぁ……」
「ロウラン、なあおい。大丈夫か?すごい汗だぞ」
ドリルを操り続けるロウランの額には、玉の汗が浮かんでいた。苦しそうに眉根を寄せているし、突き出した腕も震えている。心なしか、さっきより出てくる残土の量も減った気がした。
「ち、ちょっと……ガス欠、かも……やっぱりまだ、本調子じゃないみたい……」
「ぬう、そりゃそうか。なら、もう一度魔力を……」
「ううん。それは、やめといた方がいいの」
「え?」
「あんまり、やり過ぎないほうがいいと思うから。だってほら、さっきダーリンは、このダンジョン全体に術を掛けてるんだよ?そのうえで、アタシにまで魔力をたくさん回したら、今度はダーリンが倒れちゃう」
「む。そ、そうかな……そうかも……」
以前に比べて、俺の能力は格段に強くなった。オーバードライブを使った直後のものすごい疲労感も、今は全くと言っていいほど感じない。だがそれでも、魔力は有限なのだ。今は労働も相まって、かなり疲れが溜まってきている。ここで無理して動けなくなったら、この後の脱出に支障が出る、か……
「けど……ここを出られなきゃ、元も子もないだろ?」
「そうだね。だから……もうちょっと、頑張ってみるの」
ロウランは額の汗を拭うと、垂れてきていた腕をしゃんと伸ばした。
「おい、無理すんなって。せめて、少し休めよ」
「ううん。霊体のアタシが休んでも、魔力は回復しないの。だから、頑張るしかない……他ならぬ、ダーリンのためだもん。それにあの子も、早く迎えに行ってあげないとね♪」
「ロウラン……」
ロウランはにこっとほほ笑むと、再びドリルを回転させ始めた。そうだよな……ロウランは変わっているけど、でもいいやつだ。俺のために、ライラのために、頑張ってくれている。
「ごめんな、ロウラン」
「いやーん。ごめんじゃなくて、ありがとうって言ってほしいなぁ」
「おっと、そうだよな。ありがとう。頑張れ、ロウラン!」
「はーい!」
ドリルが唸ると、残土が噴き出し、その分地上が近づいてくる。天井に斜めに穿たれた穴は、もうかなりの長さになりつつあった。たぶん、あと少しで、地上に出るとは思うんだが。それまで、ロウランの魔力が持つかどうか……
「くそ、穴掘りも手伝ってやれたらなぁ」
再び残土を運び出しながらぼやくと、そばにいたウィルが、俺の言葉を繰り返した。
「手伝う……穴掘り……」
「え?ああ、うん。でもさすがに俺たちじゃ……」
「……あ!それなら助っ人を一人、呼べるかもしれません!そのために……フランさん、それにアルルカさんも!」
え、助っ人?そんなやつ、このダンジョンにいるか?ウィルはぽかんとする俺をお構いなしに、それぞれの手で、フランとアルルカの腕を一本ずつ取った。
「手伝ってください!上手くいけば、ロウランさんを手助けできるかも!」
「え?ちょっ、ウィル!」
「はあ?どういう意味、ってちょっと!」
二人にも有無を言わせず、ウィルは元来た通路を飛んでいってしまった。
「な、何を考えてんだ?」
「ううむ、図りかねますな……」
ともかく、労力が三人分(フランとアルルカは明らかに十人力だから、もっとか)減ってしまったので、俺たちはそのぶんキリキリ土を運んだ。けれど、俺たちのペースが落ちた一方で、ロウランのペースもやはり、落ち始めていた。無理しているけど、とっくに限界なんだ。ロウランは歯を食いしばりながら、それでも意地でドリルを回し続けている。彼女の意思を尊重して、口は挟まなかったが……
(つっても、さすがにそろそろ……)
ロウランを無理にでも止めて、休ませた方がいいかと悩み始めた、その時だ。
「皆さーん!お待たせしましたー!」
あ!ようやっと、ウィルたちが戻ってきた。その背後に、とんでもないやつを連れて。
「ウンモオオオオオ!」
「どわああ!?ミノタウロスじゃねえか!」
「ちょっとどいてくださーい!どいてー!」
「壁に避けて!」
な、なんだなんだ!?
フランが俺の目の前を駆け抜けていく。とりあえず俺は、言われた通りに壁際に飛び退いた。その前をエラゼムが固める。だが身構えた俺たちには一瞥もくれず、ミノタウロスは目の前をドスドスと走り抜けていった。一瞬だけ垣間見えたが、ミノタウロスの首には氷の縄が巻かれていた。それをフランが引っ張っていたのだ。ミノタウロスは怒りに目を光らせて、手綱を引っ張るフランを猛追している。
フランとミノタウロスは、ロウランが掘り進める穴のふもとへとやって来る。疲労困憊していたロウランは、突然の乱入者にぎょっと固まった。
「ッッッ!」
な、なんだ?突然、ミノタウロスが固まった。そして角の生えた頭を高く上げ、穴をふんふん言わせている。匂いを嗅いでいるのか?
「ヴォモオオオオオオ!!!」
ミノタウロスは咆哮を上げると、わき目もふらずに穴に飛び込んだ。フランが縄を放して自由にしてやると、ミノタウロスはガリガリと土をひっかきながら、どんどん穴の奥へと進んでいく。やがて、ドリルがぽいっと投げ出されてきた。
「ちょ、ちょっと!邪魔しないでほしいの!そこにいられちゃ、進められないでしょー!」
「待ってください、ロウランさん!あの牛さんは、邪魔をしに来たわけじゃありません。むしろその逆なんです!」
追いついてきたウィルが、腕を振りながらロウランの前に割り込む。
「えぇ?どーいうことなの?」
「彼もまた、地上に出たがっているうちの一人……じゃないですね、一匹なんです。私たちのためではありませんが、穴掘りに力を貸してくれるはずですよ。あ、ほら」
お、おお?ウィルの言った通り、穴からは土が掻き出され始めた。あ、ウィルが言っていた助っ人って、まさかこのミノタウロス?あの怪物を利用しようだなんて、よく思いついたな……
「むむむ……確かにそうみたい。でも、もしここで暴れ出したら、その時はどうするつもりだったの?」
「え?あ、いやぁ、その時は……」
あの顔。考えてなかったな。ロウランの目が半開きになる。
「じとー」
「け、けどほら!結果はこうなったわけですし?」
「どうだかー……きゃは!でも正直、とっても助かるの。あの牛さん、やる気満々みたいだし。だからアタシも手伝っちゃうよ!ネオンファルス!」
ロウランが呪文を唱えると、投げ出されたドリルが、ぐにゃっと形を変えた。再び液状に戻った金属は、穴の中へ伸びていくと、ミノタウロスの両手に纏わりついていく。ミノタウロスは一瞬ギョッとした様子だったが、やがてそれが、手を守る手甲になったのだと分かると、より一層激しく土を削り始めた。
「こっちのほうが、よっぽど楽なの。アタシも、牛さんもね。ありがとね、シスターさん」
「いえ。ロウランさんには、シェオル島でお世話になりましたから」
二人はそう言って微笑みあった。シェオル島で世話になったって、何があったんだろ?
「なんにせよ、これで作業再開だ!」
ミノタウロスの執念はすさまじいものだった。ひょっとするとドリルと同じくらいに、十分早いぞ。どんどん掻き出されてくる土を、俺たちと死霊とで手分けして運び出す。
それからほどなくして、ミノタウロスの指先が、ライラのいた地下牢の床をぶち破ったのだった。
「……ってわけなんだ。ただ、そこまでで魔力を使い切っちゃって、ロウランはまた見えなくなっちゃったんだけどさ」
俺たちは再び、薄暗い廊下へと戻ってきた。少し長く話してしまったな。なにせ、本当に大変だった。ロウランには、今度改めてお礼を言わないと。
「そーだったんだ……やっぱり、みんなはすごいや」
ライラはほっとしたような顔で微笑んだ。だがふと、思い出したように訊ねてくる。
「あれ、でもそれなら、あの男の人はどうなったの?」
「ん?男の人?」
「ほら、赤い髪で、むっつり黙ってる……」
「ああ、あいつか。あいつはエラゼムが締め落したよ。ほんとはギタギタにしてやりたかったけど、そんな時間はなかったしな。ま、いずれ気がついたら出てくるだろ」
「そっか……」
ライラは、何か思い悩むような顔でうつむいた。
「ん?どうした?あいつのこと、気になるのか?」
「……ううん。何でもない……」
ううん?なんだろう、ちょっと引っかかる言い方だけど。
っと、そんなことを話していたら、ようやくたどり着いたぞ。来るときに乗った、魔法で動くエレベーターだ。中は無人で、使われた形跡はない。ところで、その隣の壁に、バカでかい穴が開けられていたんだけれど……たぶん、ミノタウロスのしわざだな。奴はそこから出て行ったらしい。そこを辿っていく手もあったけど、とりあえず俺たちは、大人しくエレベーターに乗り込んでみた。
「一応試すけど……上がれ!」
「……やっぱり動きませんね」
だよな、これは想定済みだ。というわけで、速やかにフランが天井をぶち破り、その穴目掛けてアルルカが魔法をかける。
「アントルメ・グラッセ!」
シャアアー。氷の結晶がぐんぐんと早回しで成長し、ぐるぐると渦を巻く螺旋階段を作り上げた。しかも驚いたことに、足を乗せると、階段は自動で上へと昇り始めた。
「エレベーターの次は、エスカレーターか……」
原理はさっぱり不明だが……もはや訊くまい。大体俺からしたら、魔法もハイテクマシンも、似たようなもんだしな。今はそんなことよりも!
「よし、戻ってきたぞ!」
後は、外に出るだけだ!
つづく
====================
読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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「はぁ……はぁ……」
「ロウラン、なあおい。大丈夫か?すごい汗だぞ」
ドリルを操り続けるロウランの額には、玉の汗が浮かんでいた。苦しそうに眉根を寄せているし、突き出した腕も震えている。心なしか、さっきより出てくる残土の量も減った気がした。
「ち、ちょっと……ガス欠、かも……やっぱりまだ、本調子じゃないみたい……」
「ぬう、そりゃそうか。なら、もう一度魔力を……」
「ううん。それは、やめといた方がいいの」
「え?」
「あんまり、やり過ぎないほうがいいと思うから。だってほら、さっきダーリンは、このダンジョン全体に術を掛けてるんだよ?そのうえで、アタシにまで魔力をたくさん回したら、今度はダーリンが倒れちゃう」
「む。そ、そうかな……そうかも……」
以前に比べて、俺の能力は格段に強くなった。オーバードライブを使った直後のものすごい疲労感も、今は全くと言っていいほど感じない。だがそれでも、魔力は有限なのだ。今は労働も相まって、かなり疲れが溜まってきている。ここで無理して動けなくなったら、この後の脱出に支障が出る、か……
「けど……ここを出られなきゃ、元も子もないだろ?」
「そうだね。だから……もうちょっと、頑張ってみるの」
ロウランは額の汗を拭うと、垂れてきていた腕をしゃんと伸ばした。
「おい、無理すんなって。せめて、少し休めよ」
「ううん。霊体のアタシが休んでも、魔力は回復しないの。だから、頑張るしかない……他ならぬ、ダーリンのためだもん。それにあの子も、早く迎えに行ってあげないとね♪」
「ロウラン……」
ロウランはにこっとほほ笑むと、再びドリルを回転させ始めた。そうだよな……ロウランは変わっているけど、でもいいやつだ。俺のために、ライラのために、頑張ってくれている。
「ごめんな、ロウラン」
「いやーん。ごめんじゃなくて、ありがとうって言ってほしいなぁ」
「おっと、そうだよな。ありがとう。頑張れ、ロウラン!」
「はーい!」
ドリルが唸ると、残土が噴き出し、その分地上が近づいてくる。天井に斜めに穿たれた穴は、もうかなりの長さになりつつあった。たぶん、あと少しで、地上に出るとは思うんだが。それまで、ロウランの魔力が持つかどうか……
「くそ、穴掘りも手伝ってやれたらなぁ」
再び残土を運び出しながらぼやくと、そばにいたウィルが、俺の言葉を繰り返した。
「手伝う……穴掘り……」
「え?ああ、うん。でもさすがに俺たちじゃ……」
「……あ!それなら助っ人を一人、呼べるかもしれません!そのために……フランさん、それにアルルカさんも!」
え、助っ人?そんなやつ、このダンジョンにいるか?ウィルはぽかんとする俺をお構いなしに、それぞれの手で、フランとアルルカの腕を一本ずつ取った。
「手伝ってください!上手くいけば、ロウランさんを手助けできるかも!」
「え?ちょっ、ウィル!」
「はあ?どういう意味、ってちょっと!」
二人にも有無を言わせず、ウィルは元来た通路を飛んでいってしまった。
「な、何を考えてんだ?」
「ううむ、図りかねますな……」
ともかく、労力が三人分(フランとアルルカは明らかに十人力だから、もっとか)減ってしまったので、俺たちはそのぶんキリキリ土を運んだ。けれど、俺たちのペースが落ちた一方で、ロウランのペースもやはり、落ち始めていた。無理しているけど、とっくに限界なんだ。ロウランは歯を食いしばりながら、それでも意地でドリルを回し続けている。彼女の意思を尊重して、口は挟まなかったが……
(つっても、さすがにそろそろ……)
ロウランを無理にでも止めて、休ませた方がいいかと悩み始めた、その時だ。
「皆さーん!お待たせしましたー!」
あ!ようやっと、ウィルたちが戻ってきた。その背後に、とんでもないやつを連れて。
「ウンモオオオオオ!」
「どわああ!?ミノタウロスじゃねえか!」
「ちょっとどいてくださーい!どいてー!」
「壁に避けて!」
な、なんだなんだ!?
フランが俺の目の前を駆け抜けていく。とりあえず俺は、言われた通りに壁際に飛び退いた。その前をエラゼムが固める。だが身構えた俺たちには一瞥もくれず、ミノタウロスは目の前をドスドスと走り抜けていった。一瞬だけ垣間見えたが、ミノタウロスの首には氷の縄が巻かれていた。それをフランが引っ張っていたのだ。ミノタウロスは怒りに目を光らせて、手綱を引っ張るフランを猛追している。
フランとミノタウロスは、ロウランが掘り進める穴のふもとへとやって来る。疲労困憊していたロウランは、突然の乱入者にぎょっと固まった。
「ッッッ!」
な、なんだ?突然、ミノタウロスが固まった。そして角の生えた頭を高く上げ、穴をふんふん言わせている。匂いを嗅いでいるのか?
「ヴォモオオオオオオ!!!」
ミノタウロスは咆哮を上げると、わき目もふらずに穴に飛び込んだ。フランが縄を放して自由にしてやると、ミノタウロスはガリガリと土をひっかきながら、どんどん穴の奥へと進んでいく。やがて、ドリルがぽいっと投げ出されてきた。
「ちょ、ちょっと!邪魔しないでほしいの!そこにいられちゃ、進められないでしょー!」
「待ってください、ロウランさん!あの牛さんは、邪魔をしに来たわけじゃありません。むしろその逆なんです!」
追いついてきたウィルが、腕を振りながらロウランの前に割り込む。
「えぇ?どーいうことなの?」
「彼もまた、地上に出たがっているうちの一人……じゃないですね、一匹なんです。私たちのためではありませんが、穴掘りに力を貸してくれるはずですよ。あ、ほら」
お、おお?ウィルの言った通り、穴からは土が掻き出され始めた。あ、ウィルが言っていた助っ人って、まさかこのミノタウロス?あの怪物を利用しようだなんて、よく思いついたな……
「むむむ……確かにそうみたい。でも、もしここで暴れ出したら、その時はどうするつもりだったの?」
「え?あ、いやぁ、その時は……」
あの顔。考えてなかったな。ロウランの目が半開きになる。
「じとー」
「け、けどほら!結果はこうなったわけですし?」
「どうだかー……きゃは!でも正直、とっても助かるの。あの牛さん、やる気満々みたいだし。だからアタシも手伝っちゃうよ!ネオンファルス!」
ロウランが呪文を唱えると、投げ出されたドリルが、ぐにゃっと形を変えた。再び液状に戻った金属は、穴の中へ伸びていくと、ミノタウロスの両手に纏わりついていく。ミノタウロスは一瞬ギョッとした様子だったが、やがてそれが、手を守る手甲になったのだと分かると、より一層激しく土を削り始めた。
「こっちのほうが、よっぽど楽なの。アタシも、牛さんもね。ありがとね、シスターさん」
「いえ。ロウランさんには、シェオル島でお世話になりましたから」
二人はそう言って微笑みあった。シェオル島で世話になったって、何があったんだろ?
「なんにせよ、これで作業再開だ!」
ミノタウロスの執念はすさまじいものだった。ひょっとするとドリルと同じくらいに、十分早いぞ。どんどん掻き出されてくる土を、俺たちと死霊とで手分けして運び出す。
それからほどなくして、ミノタウロスの指先が、ライラのいた地下牢の床をぶち破ったのだった。
「……ってわけなんだ。ただ、そこまでで魔力を使い切っちゃって、ロウランはまた見えなくなっちゃったんだけどさ」
俺たちは再び、薄暗い廊下へと戻ってきた。少し長く話してしまったな。なにせ、本当に大変だった。ロウランには、今度改めてお礼を言わないと。
「そーだったんだ……やっぱり、みんなはすごいや」
ライラはほっとしたような顔で微笑んだ。だがふと、思い出したように訊ねてくる。
「あれ、でもそれなら、あの男の人はどうなったの?」
「ん?男の人?」
「ほら、赤い髪で、むっつり黙ってる……」
「ああ、あいつか。あいつはエラゼムが締め落したよ。ほんとはギタギタにしてやりたかったけど、そんな時間はなかったしな。ま、いずれ気がついたら出てくるだろ」
「そっか……」
ライラは、何か思い悩むような顔でうつむいた。
「ん?どうした?あいつのこと、気になるのか?」
「……ううん。何でもない……」
ううん?なんだろう、ちょっと引っかかる言い方だけど。
っと、そんなことを話していたら、ようやくたどり着いたぞ。来るときに乗った、魔法で動くエレベーターだ。中は無人で、使われた形跡はない。ところで、その隣の壁に、バカでかい穴が開けられていたんだけれど……たぶん、ミノタウロスのしわざだな。奴はそこから出て行ったらしい。そこを辿っていく手もあったけど、とりあえず俺たちは、大人しくエレベーターに乗り込んでみた。
「一応試すけど……上がれ!」
「……やっぱり動きませんね」
だよな、これは想定済みだ。というわけで、速やかにフランが天井をぶち破り、その穴目掛けてアルルカが魔法をかける。
「アントルメ・グラッセ!」
シャアアー。氷の結晶がぐんぐんと早回しで成長し、ぐるぐると渦を巻く螺旋階段を作り上げた。しかも驚いたことに、足を乗せると、階段は自動で上へと昇り始めた。
「エレベーターの次は、エスカレーターか……」
原理はさっぱり不明だが……もはや訊くまい。大体俺からしたら、魔法もハイテクマシンも、似たようなもんだしな。今はそんなことよりも!
「よし、戻ってきたぞ!」
後は、外に出るだけだ!
つづく
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