じゃあ俺、死霊術《ネクロマンス》で世界の第三勢力になるわ。

万怒 羅豪羅

文字の大きさ
812 / 860
17章 再開の約束

24-1 攻略の糸口

しおりを挟む
24-1 攻略の糸口

「さて、そうと決まれば……まずは、みんなと合流しないとな」

「桜下。ここに落とされたのは、お前たちだけか?」

「いや、俺の仲間以外にも、クラーク……一の国の勇者のパーティーもいるはずだ」

そう、そのはず……今もまだ、生きていればだが。俺は恐ろしくって、さすがに口にはできなかった。

「そうか。確か、お前の仲間はここからそう遠くないのだったな?」

「そのはずだ。このまま歩いて行けば、そのうち会えるよ」

「わかった。お前に従おう」

ペトラはそう言うと、俺たちの後をついてくる。だがその時でも、たっぷり三人分は距離を取っていた。せっかく協力することになったのに、まだよそよそしい。

「なあ、ペトラ。さっき近寄るなって言ってたけど、あれは、俺が信用できなかったからなのか?」

「うん?ああいや、そうではない。あれはどちらかと言えば、お前を心配しての発言だ」

「へ?俺?」

それはつまり、ペトラに近づくと危険だってことか?

「ははは。それは、いくら何でも過保護じゃないか?取って食われるってわけでもないんだろ」

「いいや。取って食われるぞ」

「は?」

「見ただけでは恐らくわからんだろう。今の私は、簡単に言えば、呪われているんだ」

の、呪いだって?俺は慌ててペトラに振り返った。しかし、平然と歩く彼女の姿を見る限り、別にどこも呪われては居なさそうだが……?

「セカンドにちょっとしたまじないを掛けられたのさ。私が単身城に乗り込んだことは話したな?」

「あ、ああ。そういや、そのことをまだ訊いていなかったな。どうしてこんなところにいたんだ?」

「結果から言えば、私は奴に敗北した。情けない話、まともな打撃すら与えることができなかったと思う。むしろ、奴の警戒心を高めてしまった可能性が高い。すまなかったな」

「いや、謝らないでくれ……」

俺は苦い気持ちで首を振った。確かにセカンドは奸計を巡らせていたが、見抜けなかったのは結局俺たちだ。

「私は敗れ、奴に捕らえられた。さすがに死んだと思ったな」

「で、でも……大丈夫だったんだよな?」

「こうして生きているからな。が、万事良好とまでは行かなかった」

「それが、呪いか……」

「ああ。檻に入れられ、そのまま殺されるものかと思ったが、どうにも奴は、私をおもちゃにしようと思い立ったらしい」

「え……お、おもちゃ?」

なんだ……?セカンドの過去の悪行を考えると、すごく嫌な予感がするんだけど。しかしペトラは、そんな俺の心を読んだのか、気にするなとばかりに手をひらひらする。

「そんなに深刻に考えるな。おかげでこうして逃げ伸びることもできた。私も私で、魔力には耐性があるんだ」

「お、おお。さすがは魔王の娘……じゃあ、本当に大したことないんだな?」

「その通り。ちょっとした後遺症が残っただけだ。だが、それもそこまで酷いものじゃないさ。ただ、今お前に触れられると、お前を押し倒して手籠めにしてしまうくらいで」

なに……?唖然とする俺をよそに、ロウランの行動は素早かった。俺をひょいと抱え上げると、脱兎のごとく飛び跳ね、ペトラからたっぷり五メートルは離れた。

「こ、こら!ロウラン!露骨すぎるだろ!」

「ぜーったいに、ダメ!そんなことになったらアタシ、脳みそバクハツしちゃうの!」

ロウランは包帯までうねうねさせて、全身でペトラを威嚇している。気持ちは分からなくもないが、失礼だろ!
だが幸い、ペトラは気を悪くするでもなく、逆に不可解そうな顔をしている。

「安心しろ、ロウラン姫。触れさえしなければ大丈夫だ。それに、私からすれば、お前たち人間は別の種族の生き物だ。例えばお前は、犬や猫に劣情を抱くか?」

「そーいう人もいるの!」

えっ。いや、お前……

「おっと、そうなのか?ふむ、人間は奥が深いな」

あーあー、ほら見ろ。ペトラに誤った知識が……

「ともかく。そもそも私には、お前たちで言う、性欲に当たるものは存在しないんだ」

「なら、さっきのはどーいう意味なの!ちゃんと説明して!」

「そうなるように仕向けられたんだが……仕方ない、誤解を解くためにも、包み隠さず伝えよう」

ペトラは淡々と語り始めた。

「セカンドは、私に強力な催淫魔法をかけたんだ。闇の魔法の一種で、ラフ・オブ・サキュバスという。これは、人間相手なら一発で自我を失わせ、色欲以外のことを考えられなくするような代物らしい。が、そもそも私は人間でないし、魔法への耐性もある。結果、魔法は上手くかからず、セカンドの思惑通りにはならなかった」

うっ……わ。やっぱり、思った通りじゃないか。だが、まだ話は続く。

「腹を立てたセカンドは、私の人格や意識ごと作り替えようとした。あらゆる闇の魔法を動員し、私の記憶や、脳内のあらゆる情報を改ざんしようとした。これは流石に、しんどかったな……奴はとにかく、自分の失敗を認めようとしなくてな。三日ほど、私に掛かりきりだったよ。正直その間の記憶は曖昧なので、正確かどうかは分からないがね」

そ、それって、一体どんな魔法を……?いや、よそう。聞くのが怖い。

「結局私は、奴の理想通りにはならなかったが、かなりの呪いを受けてしまった。今の私は、人間に触れられると、それが誰であろうと襲い掛かるように意識を改造されてしまっている。奴が私にやらせようとしていたことを、そのまま実行してしまうだろう」

「だ……だい、じょうぶ、だったの……?」

「ん、セカンドにバレなかったのかという意味か?ああ、この通り、見かけ上は何の変化もないからな。本当なら自分から股を開くようにしたかったようだが。さっきも言った通り、奴はわずかなミスも認めたがらない。そこが幸いした。奴は私を城の奥深くに隠し、最初からなかったことにしたんだよ。おかげで隙をついて脱出して、ここに身を潜められたというわけだ」

「……」

ロウランは完全に絶句してしまった。俺だってそうだが……

「セカンドの奴……あいつには、理性ってものが存在しないのか?過去にあれだけのことをしておいて、未だにこれだなんて」

こうなると、ロアやコルトが結晶に閉じ込められたことも、よかったと思えてくる。少なくともああなら、セカンドの餌食に掛かることもないから……くそったれめ。



つづく
====================

読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。

====================

Twitterでは、次話の投稿のお知らせや、
作中に登場するキャラ、モンスターなどのイラストを公開しています。
よければ見てみてください。

↓ ↓ ↓

https://twitter.com/ragoradonma
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...