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17章 再開の約束
24-3
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24-3
しばらく闇の中を歩き続けたのち、初めに合流できたのは、フランとアルルカの二人だった。
「っ。桜下、ロウラン!」
「おお、フランか!よかった、無事だったんだな。あとアルルカも」
「なんであたしだけついでなのよ!」
俺たちは再会を喜び、それから二人は、ペトラを見て大いに驚いた。
「詳しい事情は追って話すよ。今は残りの二人を探そう」
「ん、分かった」
俺たちは再び歩き出す。仲間と合流できたことで、さっきより格段に足は軽い。
ほどなくして、フランがぴたりと足を止めた。
「……足音が聞こえる」
「お!よし、そっちだ!」
こんな場所に何人もいるはずがない。てことはおのずと……
「あっ!おうかだ!桜下ぁー!」
「ああ、桜下さん!それに、みなさんも!」
「ウィル、ライラ!ははは、よかった!」
ウィルと、それからライラが、こっちに向かって駆け寄ってきた。ライラはそのまま飛び込んできそうな勢いだったが、ロウランに肩を借りる俺を見てか、寸前で踏みとどまった。
「桜下……だいじょーぶ?怪我してるの?」
「いや、大したことないよ。ちょっと疲れただけさ」
「ほんとに?」
「おうとも」
それより、ライラの方が痛々しい。元々ふわふわだった髪はひどく乱れてこんがらがっているし、体のあちこちに青あざが見える。かわいそうに……ずいぶん大変だったみたいだ。俺はライラの胸に手を乗せると、呪文を唱えた。
「ディストーションハンド・ファズ」
ブゥン。俺の手が一瞬輪郭を失い、ライラの体の傷がすっかり消えた。ライラに笑顔が戻ったので、俺はやわらかい赤毛を撫でてやった。
「皆さん、ご無事だったんですね。よかった……」
俺がライラを撫でていると、ウィルが後からやって来た。幽霊のウィルは普段通りだが、それでも顔がいつもより青白く見える。
「ああ、そっちもな。俺はロウランと一緒で、フランはアルルカと一緒だったんだ。ライラにはウィルがいてくれて助かったよ」
「そんな、むしろライラさんがいてくれたおかげで、みんな無事に済んだんです」
ん、みんな?それはつまり、ウィル以外にもいたってことか?すると、ウィルが後ろを振り返った。
「ほら」
「お……クラークたちか!」
ウィルの後方からやって来たのは、クラーク一行だった。ああ、よかった。仲間が無事なのは、魂の波動から分かっていたけれど、他がどうかは自信が無かったんだ。だからこそ、クラークたちの姿を見た時には、心底ほっとした。
「ライラさんがとっさに呪文を唱えて、みんなを支えてくれたんです。ライラさんがいなかったら、今頃どうなっていたことか」
「そんなことないよ!ウィルおねーちゃんが後ろから支えてくれたから、落ち着いて詠唱ができたんだもん。ライラ一人の力じゃないよ」
「そっか。やっぱり、二人が一緒でよかったよ」
本当によかった。おかげでみんな無事だ。
「さて、クラーク……クラーク?」
はて?クラークの様子が変だ。彼はちゃんと自分の足で立って歩いているが、顔が奇妙にうつろだ。心ここにあらずというか、機械的に歩いて、機械的に止まっているみたいだな。
「うん……?アドリア、クラークのやつ、どっか怪我したのか?」
俺はクラークの後に続いているアドリアに訊ねる。彼女の顔は血で汚れていたが、それでも足取りはしっかりしていた。が、俺が訊ねると、顔をくしゃっと歪めた。
「……ああ、怪我をした」
「え。どこをだ?ひどいのか?ミカエルに治療してもらえば……」
「いいや、それは難しいだろう」
「え?どうして……」
俺は彼女の隣の、ミカエルを見る。ミカエルは涙をこらえるような、辛そうな顔をしていた。
「……なにか、あったのか?」
「ああ。クラークは、心を怪我してしまったんだ」
「ここ、ろ?」
「彼女の死を……三の国の勇者の死を、目の当たりにしたせいだ」
なんだって……?
つづく
====================
読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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しばらく闇の中を歩き続けたのち、初めに合流できたのは、フランとアルルカの二人だった。
「っ。桜下、ロウラン!」
「おお、フランか!よかった、無事だったんだな。あとアルルカも」
「なんであたしだけついでなのよ!」
俺たちは再会を喜び、それから二人は、ペトラを見て大いに驚いた。
「詳しい事情は追って話すよ。今は残りの二人を探そう」
「ん、分かった」
俺たちは再び歩き出す。仲間と合流できたことで、さっきより格段に足は軽い。
ほどなくして、フランがぴたりと足を止めた。
「……足音が聞こえる」
「お!よし、そっちだ!」
こんな場所に何人もいるはずがない。てことはおのずと……
「あっ!おうかだ!桜下ぁー!」
「ああ、桜下さん!それに、みなさんも!」
「ウィル、ライラ!ははは、よかった!」
ウィルと、それからライラが、こっちに向かって駆け寄ってきた。ライラはそのまま飛び込んできそうな勢いだったが、ロウランに肩を借りる俺を見てか、寸前で踏みとどまった。
「桜下……だいじょーぶ?怪我してるの?」
「いや、大したことないよ。ちょっと疲れただけさ」
「ほんとに?」
「おうとも」
それより、ライラの方が痛々しい。元々ふわふわだった髪はひどく乱れてこんがらがっているし、体のあちこちに青あざが見える。かわいそうに……ずいぶん大変だったみたいだ。俺はライラの胸に手を乗せると、呪文を唱えた。
「ディストーションハンド・ファズ」
ブゥン。俺の手が一瞬輪郭を失い、ライラの体の傷がすっかり消えた。ライラに笑顔が戻ったので、俺はやわらかい赤毛を撫でてやった。
「皆さん、ご無事だったんですね。よかった……」
俺がライラを撫でていると、ウィルが後からやって来た。幽霊のウィルは普段通りだが、それでも顔がいつもより青白く見える。
「ああ、そっちもな。俺はロウランと一緒で、フランはアルルカと一緒だったんだ。ライラにはウィルがいてくれて助かったよ」
「そんな、むしろライラさんがいてくれたおかげで、みんな無事に済んだんです」
ん、みんな?それはつまり、ウィル以外にもいたってことか?すると、ウィルが後ろを振り返った。
「ほら」
「お……クラークたちか!」
ウィルの後方からやって来たのは、クラーク一行だった。ああ、よかった。仲間が無事なのは、魂の波動から分かっていたけれど、他がどうかは自信が無かったんだ。だからこそ、クラークたちの姿を見た時には、心底ほっとした。
「ライラさんがとっさに呪文を唱えて、みんなを支えてくれたんです。ライラさんがいなかったら、今頃どうなっていたことか」
「そんなことないよ!ウィルおねーちゃんが後ろから支えてくれたから、落ち着いて詠唱ができたんだもん。ライラ一人の力じゃないよ」
「そっか。やっぱり、二人が一緒でよかったよ」
本当によかった。おかげでみんな無事だ。
「さて、クラーク……クラーク?」
はて?クラークの様子が変だ。彼はちゃんと自分の足で立って歩いているが、顔が奇妙にうつろだ。心ここにあらずというか、機械的に歩いて、機械的に止まっているみたいだな。
「うん……?アドリア、クラークのやつ、どっか怪我したのか?」
俺はクラークの後に続いているアドリアに訊ねる。彼女の顔は血で汚れていたが、それでも足取りはしっかりしていた。が、俺が訊ねると、顔をくしゃっと歪めた。
「……ああ、怪我をした」
「え。どこをだ?ひどいのか?ミカエルに治療してもらえば……」
「いいや、それは難しいだろう」
「え?どうして……」
俺は彼女の隣の、ミカエルを見る。ミカエルは涙をこらえるような、辛そうな顔をしていた。
「……なにか、あったのか?」
「ああ。クラークは、心を怪我してしまったんだ」
「ここ、ろ?」
「彼女の死を……三の国の勇者の死を、目の当たりにしたせいだ」
なんだって……?
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