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序章 無能と言われた勇者
序章一節 - 神から得た力
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序章『無能と言われた勇者』
「この能無しが!」
そのセリフを聞いたのは何度目だろう。
「くだらんことに神の力を使いおって!!」
これもさっき聞いた。何十分もこの場所に立って、男の怒りを浴びているのだから。
初手から無様をさらしている俺の名前は、色葉和音。念願の異世界に召喚されたにもかかわらず、俺はこの国の宰相とか言う初老の男に怒鳴られ続けている。いや、俺が気合いを入れてひとにらみすれば、膨大な魔力があふれ出しこんな男など――。
「……ッ!」
しかし、ひるんだのは俺の方だった。
「なんだその生意気な目は? 殺すぞ」
あいつの言葉は、殺意を見せなれた者のそれだ。声は肝を震わせるほど低く、暗い色の目はどこまでも冷たく、顔のしわ一本一本に怒りと憎しみが刻まれている。彼の肩に巻き付いた蛇が俺に跳びかかる準備をするように首を縮めるのを見て、俺は身をのけぞらせた。
「無能が」
唾を吐き捨てるような言葉に、俺は再びうつむいた。
「言葉がわかるようになったからと言って、それが! 吾輩に! この国に! どんな利益をもたらすというのだ!?」
威圧的な大声と、なじるような詰問は続く。
そう、俺がこの世界に召喚されて得たのは、「相手の言葉が理解できる」能力だった。
――神様、自分は誰とでも意思疎通できる最強の言語スキルが欲しいです。
なぜそんなことを頼んでしまったのか。俺だって後悔しているのだ。最強の魔力を願っていればこんなことにはならなかった。
そう、あの時の俺が臆病でなければ。あの時の俺にわずかでも反抗心があれば――。
これは、「無能」と言われた俺が、のちに出会う「愛犬」とともに、世界最強の敵を打ち砕く物語だ。
と格好つけてはみたが、長い冒険の始まりは大きな失敗からはじまる。もちろん、この失敗が最終的には世界を一変させるほどの力へと繋がるのだが、この時の俺はそんなこと一ミリも期待していなかった……。
「この能無しが!」
そのセリフを聞いたのは何度目だろう。
「くだらんことに神の力を使いおって!!」
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「……ッ!」
しかし、ひるんだのは俺の方だった。
「なんだその生意気な目は? 殺すぞ」
あいつの言葉は、殺意を見せなれた者のそれだ。声は肝を震わせるほど低く、暗い色の目はどこまでも冷たく、顔のしわ一本一本に怒りと憎しみが刻まれている。彼の肩に巻き付いた蛇が俺に跳びかかる準備をするように首を縮めるのを見て、俺は身をのけぞらせた。
「無能が」
唾を吐き捨てるような言葉に、俺は再びうつむいた。
「言葉がわかるようになったからと言って、それが! 吾輩に! この国に! どんな利益をもたらすというのだ!?」
威圧的な大声と、なじるような詰問は続く。
そう、俺がこの世界に召喚されて得たのは、「相手の言葉が理解できる」能力だった。
――神様、自分は誰とでも意思疎通できる最強の言語スキルが欲しいです。
なぜそんなことを頼んでしまったのか。俺だって後悔しているのだ。最強の魔力を願っていればこんなことにはならなかった。
そう、あの時の俺が臆病でなければ。あの時の俺にわずかでも反抗心があれば――。
これは、「無能」と言われた俺が、のちに出会う「愛犬」とともに、世界最強の敵を打ち砕く物語だ。
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