21 / 38
Lesson 17 過去が呼ぶ名前
しおりを挟む夕方。出勤前の準備をしているレオの背中に、みのるがそっと腕を回して抱きついた。
「……和希、行く前に、ぎゅーってさせて」
(甘え声で頬を寄せる)
「おまえな……出勤前にそれは反則だろ」
(苦笑しつつも、腕の力を強められて心臓が跳ねる)
「だって……離れたくないんだもん」
(ぎゅっと抱きしめ直す)
「……やめろ。俺が我慢できなくなる」
(低く囁き、振り返る)
「え……? また、す、するの?」
(目を丸くして赤くなる)
次の瞬間、レオはソファーにみのるを押し倒していた。
「したいんだろ? 素直に言えよ」
(艶めいた笑みを浮かべ、目を細める)
「……う、うん……でも、恥ずかしい……」
(視線を逸らしながら小さく答える)
「可愛いな。そんな顔見せられたら……もう俺以外、見られなくなるだろ」
(耳元に唇を寄せ、囁く)
「覚えとけ。おまえは俺だけのもんだ」
(耳をくすぐる吐息。みのるの頬が一気に赤くなる)
「和希…」
うっとりと名前を呼ぶ
レオはそのまま、みのるの唇を奪う。
深く、何度も重ねられるキス。
色気に満ちたレオの動きに、みのるは完全に飲み込まれていく。
夕暮れの街を並んで歩くふたり。肩が触れるたび、心臓が跳ねる。
レオはNo. 1だからもう少し遅れ出勤でいいはずなのに……
僕に合わせて一緒に出勤…。
「みのる、今日も真っ直ぐマンションな」
「うん、真っ直ぐ一緒帰る……」
(最近ずっと泊まってる。……)
19時開店ー
その後1時間後ーリュウが来た。
「おはよ、みのる」
「おはよ、レオ」
そのあと、シュウがくる
「おはよー……今日はケンとトカゲ休みだから平和だわ」
「珍しく二人休みか。……平和だ」
(控え室に漂う空気も柔らかい)
指名がないプレイヤーたちはフロアの死角ソファーで姫たちの営業や新規顧客待ちだ。
フロアのソファーで営業をしていたリツがみのるに話しかける。
「みのる、昨日美味かったよな~また行こうぜ」
「リツ。いいよ」
20時半ー ドアが開く音と共に、視線が一斉にそちらへ向かう。
白いレースのドレスに身を包んだ女が入ってきた。
金髪ロングを艶やかに巻き上げ、白い肌がライトに照らされて輝く。
隣には、五十代の男性が連れ添っていた。
「いらっしゃいませ……」
姫「必要ないわ。わたし噂のNo.1を見にきたの。イケメンって噂……SNSでもチェック済みよ。VIP席で」
余裕の笑みに、場が一瞬でざわつく。
ボーイ「レオさん、新規ご指名です。さすがですね」
「了解……」
「へ~。随分と派手なキャバ嬢だこと。……あの雰囲気だと六本木か?」
「いらっしゃいませ。はじめまして……レオです」
(余裕の笑みを浮かべ、色気を纏う)
「きゃー さすが歌舞伎町だわ!めちゃくちゃイケメンー!わたしの元カレ以来だよ!こんなイケメン見たの!……写真よりカッコいいー!!」
「ほら、そんなに騒がない。わたしにウイスキー貰おうか」
姫「せっかくだし……この10万のシャンパンあけていい?」
「あぁ、あぁ…、、サナが飲みたいなら……」渋々と頷く。
(……渋々やん)と苦笑しつつも笑顔を保つ。
姫「ふふ、嬉しい!……シャンパンお願い!」
その頃、別の席。
ボーイ「いらっしゃいませ……」
客「みのるくんをお願い」
「みのるくん、3番席マダムが呼んでるよ」
「はーい……今行きます」
「リュウさーん、15番席にマダム呼んでまーす」
「シュウさん、2番席」
「マサキさん、新規客お願いしまーす」
ーーその頃、VIP席。レオ
「何ちゃんって呼べばいい?」
「サナ。サナって呼んで」
「サナちゃんね」
「本名なの。わたし、嘘つけない性格だから……ふふ」
そしてプレイヤーたちも集まりシャンパンコールが始まり熱気に包まれた。
(……たしか、みのるも本名だよな)
「ねぇ、レオくん本当いい男。元カレ以来だからびっくりした……ねぇ、彼女とかいるの?」
「ん?……どうだろうね」ニヤニヤと笑う。
「教えてよー」クスクス笑う。
その時、VIP席を横切る影。
薄っすらとレースカーテンから映る姿…
視界に映ったのは、忙しそうに歩くみのる。
「ねぇ、今の子……?」
「3ヶ月前に入った子だよ」
サナは両手で顔を覆い、涙目になりながらも笑う。
「どうした?」
「……ねぇ、あのイケメン指名したいわ。呼べる?……みのる」
口元に、にやりとした笑み
(名前知ってる……)
その時、タイミングよくボーイが声をかけてくる。
「レオさん、田口様からのご指名です!」
「みのるくん呼んでるよ!……新規VIP席、キャバ嬢のお美しい方がご指名だよ」
「え……キャバ嬢か……苦手だ」
(胸の奥に小さなざわめき。どうしても夜の女は、少し怖い)
「ごめんね、また戻るね」
「あとでね」
深呼吸してから、VIP席へと足を向ける。
レースカーテンをくぐった瞬間、華やかな香水の匂いに包まれた。
僕はいつも通りに挨拶をする。
「はじめまして……みのるです」
その瞬間、視線が自然と足元へ落ちた。
ーー細い足首に光るアンクレット。
(……知ってる。あれは、彼女が十九の誕生日に渡した……)
記憶が一気に蘇る。
大学に入ったばかりの春、サナに声をかけられ、『一目惚れしたの。ねぇ、連絡先、教えて』流されるように付き合った日々。
半年だけ続いた恋。
けれど心から好きになれず、抱きしめるたびに胸が苦しくなって……
サナは必死に僕を求めて、僕も応えるように体を重ねた。
でもそのたびに、胸の奥に虚しさが広がっていった。
僕は、サナを心から好きになれなかった。
気づけば僕は連絡を絶ち、大学も辞めた。
二十歳になった今、僕はホスト。
サナは夜の世界を選んで……別れたはずだったのに。
ーー顔を上げる。
「みのる……久しぶり」
微笑みながらも、瞳はまっすぐ僕を睨んでいた。
次へ
0
あなたにおすすめの小説
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
※小説家になろうにも公開してます
刺されて始まる恋もある
神山おが屑
BL
ストーカーに困るイケメン大学生城田雪人に恋人のフリを頼まれた大学生黒川月兎、そんな雪人とデートの振りして食事に行っていたらストーカーに刺されて病院送り罪悪感からか毎日お見舞いに来る雪人、罪悪感からか毎日大学でも心配してくる雪人、罪悪感からかやたら世話をしてくる雪人、まるで本当の恋人のような距離感に戸惑う月兎そんなふたりの刺されて始まる恋の話。
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
平凡高校生の俺にイケメンアイドルが365回告白してくる理由
スノウマン(ユッキー)
BL
高校三年生の橘颯真はイケメンアイドル星宮光に毎日欠かさず告白されている。男同士とのこともあり、毎回断る颯真だが、一年という時間が彼らの関係を少しずつ変えていく。
どうして星宮は颯真に毎日告白するのか、そして彼らの恋の行方は?
【完結】Ωになりたくない僕には運命なんて必要ない!
なつか
BL
≪登場人物≫
七海 千歳(ななみ ちとせ):高校三年生。二次性、未確定。新聞部所属。
佐久間 累(さくま るい):高校一年生。二次性、α。バスケットボール部所属。
田辺 湊(たなべ みなと):千歳の同級生。二次性、α。新聞部所属。
≪あらすじ≫
α、β、Ωという二次性が存在する世界。通常10歳で確定する二次性が、千歳は高校三年生になった今でも未確定のまま。
そのことを隠してβとして高校生活を送っていた千歳の前に現れたαの累。彼は千歳の運命の番だった。
運命の番である累がそばにいると、千歳はΩになってしまうかもしれない。だから、近づかないようにしようと思ってるのに、そんな千歳にかまうことなく累はぐいぐいと迫ってくる。しかも、βだと思っていた友人の湊も実はαだったことが判明。
二人にのαに挟まれ、果たして千歳はβとして生きていくことができるのか。
『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―
なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。
――はずだった。
目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。
時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。
愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。
これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。
「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、
年上αの騎士と本物の愛を掴みます。
全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる