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Lesson27新年、君と
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新年。
境内は赤い提灯の灯りに照らされ、人でごった返していた。
鈴の音と笑い声、屋台から漂う甘い匂い――賑やかで、どこか浮き立つ空気。
「和希……すごい人だね」
みのるはマフラーに顔を埋め、ぎゅっとレオの袖を掴んだ。
レオはちらりと視線を落とし、低く囁く。
「そうだな。……手、離すなよ」
温もりを確かめ合うように、二人は指を絡めて進んでいく。
一時間ほど並んだ先、やっと辿り着いた拝殿。
柏手を打ち、みのるは目を閉じた。
(今年も健康で……和希と、ずっと一緒にいられますように)
横顔を盗み見たレオは、思わず胸が熱くなる。
レオも静かに目を閉じ、心の中でつぶやく。
(――今年もこいつを守れるように。……みのると、ずっと隣で笑っていられますように)
鈴の余韻が夜空に響き、二人の願いは白い息と共に舞い上がっていった。
「ね、和希は何お願いしたの?」
「秘密」
「え、もぅ!教えてよ!」
拗ねるみのるを、レオは不意にぐっと引き寄せた。
「人にぶつかる。……傍に寄れ」
みのるの頬が一気に赤く染まる。
参拝を終えると、境内の片隅で湯気を立てる屋台に目が留まった。
「甘酒飲むか?」
「飲むー!」
みのるの無邪気な声に、レオは口角を上げた。
カップを手に並んでいると、
ふと人混みの向こう――見慣れた横顔が目に入った。
「ん……?あれ、どっかで見た顔だな」
レオが眉を上げる。
「え? あ……リュウさん? それにリツ?」
思わず声を上げると、二人が同時にこちらを振り向いた。
「面白ぇ組み合わせだな」レオが笑う。
リュウは手を上げ、穏やかな笑みを浮かべた。
「……あけましておめでとう。偶然だね」
その柔らかな声に、みのるの胸が小さく跳ねた。
(……なんでだろ。声、少し掠れてる)
「みのる~!会えて嬉しい!」
リツが弾けるように駆け寄り、みのるの手を掴む。
「僕もだよ」
笑い合うふたりを、リュウは静かに見つめていた。
レオが甘酒を一口飲みながら、ぽつりと呟く。
「……こうやって並んで見ると、お似合いにも見えるな」
「ちょ、からかわないでくださいよ!」
リツが顔を真っ赤にして抗議する。
その瞬間――ふと視線を感じ、みのるはリュウを見た。
リュウと目が合う。
柔らかく微笑んだその瞳の奥に、
どこか切なげな光が滲んでいた。
(……元気、ないな)
「明後日、新年会あるけど来るか?焼肉らしいぞ」
レオが話題を変える。
「行きます行きます!」リツが即答する。
「そうだね。……暇なら」リュウも短く頷いた。
「じゃあまた明後日だな」
軽く手を振り合い、ふたりは人混みの中へ消えていく。
その背を、みのるは無意識に目で追っていた。
振り返るたびに、
リュウの後ろ姿が少しずつ小さくなっていく。
「……リュウさん、元気なかったね」
みのるがぽつりと漏らす。
「……あいつなりに、いろいろあるんだろ」
レオは小さく息を吐き、みのるの頭を撫でた。
「なんか食べて帰るか」
「うん!パンケーキがいい!」
「えー……甘いやつか」
「ダメ?」
上目遣いの笑顔に、レオは苦笑して頷く。
「しゃーねぇな。行くぞ。……夜はおせち食べような」
「うんっ!」
人混みの喧騒の中でも、
ふたりの空気は穏やかに溶け合っていく。
ただ――
みのるの胸の奥では、
リュウの瞳に映った“あの微かな寂しさ”が、
いつまでも消えずに残っていた。
次へ続く
境内は赤い提灯の灯りに照らされ、人でごった返していた。
鈴の音と笑い声、屋台から漂う甘い匂い――賑やかで、どこか浮き立つ空気。
「和希……すごい人だね」
みのるはマフラーに顔を埋め、ぎゅっとレオの袖を掴んだ。
レオはちらりと視線を落とし、低く囁く。
「そうだな。……手、離すなよ」
温もりを確かめ合うように、二人は指を絡めて進んでいく。
一時間ほど並んだ先、やっと辿り着いた拝殿。
柏手を打ち、みのるは目を閉じた。
(今年も健康で……和希と、ずっと一緒にいられますように)
横顔を盗み見たレオは、思わず胸が熱くなる。
レオも静かに目を閉じ、心の中でつぶやく。
(――今年もこいつを守れるように。……みのると、ずっと隣で笑っていられますように)
鈴の余韻が夜空に響き、二人の願いは白い息と共に舞い上がっていった。
「ね、和希は何お願いしたの?」
「秘密」
「え、もぅ!教えてよ!」
拗ねるみのるを、レオは不意にぐっと引き寄せた。
「人にぶつかる。……傍に寄れ」
みのるの頬が一気に赤く染まる。
参拝を終えると、境内の片隅で湯気を立てる屋台に目が留まった。
「甘酒飲むか?」
「飲むー!」
みのるの無邪気な声に、レオは口角を上げた。
カップを手に並んでいると、
ふと人混みの向こう――見慣れた横顔が目に入った。
「ん……?あれ、どっかで見た顔だな」
レオが眉を上げる。
「え? あ……リュウさん? それにリツ?」
思わず声を上げると、二人が同時にこちらを振り向いた。
「面白ぇ組み合わせだな」レオが笑う。
リュウは手を上げ、穏やかな笑みを浮かべた。
「……あけましておめでとう。偶然だね」
その柔らかな声に、みのるの胸が小さく跳ねた。
(……なんでだろ。声、少し掠れてる)
「みのる~!会えて嬉しい!」
リツが弾けるように駆け寄り、みのるの手を掴む。
「僕もだよ」
笑い合うふたりを、リュウは静かに見つめていた。
レオが甘酒を一口飲みながら、ぽつりと呟く。
「……こうやって並んで見ると、お似合いにも見えるな」
「ちょ、からかわないでくださいよ!」
リツが顔を真っ赤にして抗議する。
その瞬間――ふと視線を感じ、みのるはリュウを見た。
リュウと目が合う。
柔らかく微笑んだその瞳の奥に、
どこか切なげな光が滲んでいた。
(……元気、ないな)
「明後日、新年会あるけど来るか?焼肉らしいぞ」
レオが話題を変える。
「行きます行きます!」リツが即答する。
「そうだね。……暇なら」リュウも短く頷いた。
「じゃあまた明後日だな」
軽く手を振り合い、ふたりは人混みの中へ消えていく。
その背を、みのるは無意識に目で追っていた。
振り返るたびに、
リュウの後ろ姿が少しずつ小さくなっていく。
「……リュウさん、元気なかったね」
みのるがぽつりと漏らす。
「……あいつなりに、いろいろあるんだろ」
レオは小さく息を吐き、みのるの頭を撫でた。
「なんか食べて帰るか」
「うん!パンケーキがいい!」
「えー……甘いやつか」
「ダメ?」
上目遣いの笑顔に、レオは苦笑して頷く。
「しゃーねぇな。行くぞ。……夜はおせち食べような」
「うんっ!」
人混みの喧騒の中でも、
ふたりの空気は穏やかに溶け合っていく。
ただ――
みのるの胸の奥では、
リュウの瞳に映った“あの微かな寂しさ”が、
いつまでも消えずに残っていた。
次へ続く
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