19 / 35
Lesson 18 寄り添う影と秘密
しおりを挟む
その後ー少し離れたテラスー
グラス片手に立つユウヤとレン。
「南条美咲の件……ほんま助かった。お前がおらんかったら、正直どうなってたかわからん」
「当たり前だ。親友だろ?」
レンの低い声に悠哉は目を伏せてふっと笑う。
「……おう。ほんま、ありがとうな」
その笑みは、心から信頼する者だけに見せる柔らかさだった。
一方リビングの隅では、ハルと奏真が向かい合っていた。
「俺はずっと兄さんと比べられて生きてきた。……それが嫌で海外に逃げたんや」
奏真の声には、笑みに隠しきれない影が滲む。
「……そっか。でも、ソウくんはソウくんでしょ? ユウヤとは違う魅力があるんだし」
ハルの素直な言葉に、奏真の胸がじんと熱を帯びる。
(……まっすぐすぎて、ずるいな)
マコトは飛鳥の横に腰を下ろし、グラスを傾けながらにやにや。
「ねぇ、飛鳥くん。恋愛してる? 彼女とかいるの?」
「……秘密です」
眼鏡の奥の瞳がふっと笑みを浮かべる。
「え~! 気になる~。絶対恋してる顔よ?」
「さぁ、どうでしょうね」
からかい合う声に、飛鳥の耳の先がほんのり赤く染まっていた。
その少し先では――田中が酒で顔を真っ赤にして、楓に絡んでいた。
「おいカエデ。お前ワンって言ってみろよ。仔犬っぽいんだからよ」
「……嫌です」
苦笑いしながらも、グラスを両手で持つ楓の仕草は、確かにどこか仔犬めいて愛らしかった
深夜0時。
ランタンの灯りが柔らかく揺れ、バーベキューの余韻を残した空気に、酒の匂いと笑い声がまだ漂っていた。
「……ユウヤ、僕もう眠いから、先に部屋戻るね」
「おう、俺も一緒に行くわ」
ハルの肩を抱きながら、悠哉はふっと微笑む。二人の背中が、温かい静けさの方へと消えていった。
リビングのソファには奏真が身体を預け、薄く目を閉じていた。
「……ソウマ、もう寝よ?」
隣で声をかける飛鳥。眼鏡を外しながら、控えめに肩を揺さぶる。
「……あぁ。悪い、ちょっと飲みすぎた」
その声音には、酔いと同時にどこか寂しさも混じっていた。
テラスでは、夜風に吹かれながらレンが一本のタバコを指に挟んでいた。
白い煙がゆらゆらと宙に溶けていく。
「……レンさん、まだ寝ないんですか?」
いつの間にか隣に来ていた楓が、問いかける。
月明かりに照らされたその横顔は、年下らしいあどけなさと、大人びた影を併せ持っていた。
「……そうだな。ちょっとだけ」
レンは小さく笑い、煙を吐き出す。その視線は自然と楓に吸い寄せられていた。
そして、まだリビングの一角は騒がしかった。
「ねぇ田中さん、まだ飲めるでしょ?ほら、もう一杯!」
「お、おう……マコトさん、飲むね~ほんとタフだなぁ……」
ねぇ、マコトちゃんって呼んでよ。……ねぇ~、あたし、可愛い?」
「……あぁ。まぁ……うーん化粧濃いからな」
「はぁ?! 失礼ね田中っち!」
ぷくっと頬をふくらませるマコトに、田中は苦笑しながらグラスを傾ける。
「いや、でも……中身はちゃんとイケメンやと思うで」
「ふん、わかればいいのよ」
ふたりはそのまま恋の話に移り、酔いの勢いもあって笑い声が絶えなかった。
マコトと田中の賑やかなやりとりが、夜更けの空気に最後の彩りを添えていたー
Lesson 19へ続く
グラス片手に立つユウヤとレン。
「南条美咲の件……ほんま助かった。お前がおらんかったら、正直どうなってたかわからん」
「当たり前だ。親友だろ?」
レンの低い声に悠哉は目を伏せてふっと笑う。
「……おう。ほんま、ありがとうな」
その笑みは、心から信頼する者だけに見せる柔らかさだった。
一方リビングの隅では、ハルと奏真が向かい合っていた。
「俺はずっと兄さんと比べられて生きてきた。……それが嫌で海外に逃げたんや」
奏真の声には、笑みに隠しきれない影が滲む。
「……そっか。でも、ソウくんはソウくんでしょ? ユウヤとは違う魅力があるんだし」
ハルの素直な言葉に、奏真の胸がじんと熱を帯びる。
(……まっすぐすぎて、ずるいな)
マコトは飛鳥の横に腰を下ろし、グラスを傾けながらにやにや。
「ねぇ、飛鳥くん。恋愛してる? 彼女とかいるの?」
「……秘密です」
眼鏡の奥の瞳がふっと笑みを浮かべる。
「え~! 気になる~。絶対恋してる顔よ?」
「さぁ、どうでしょうね」
からかい合う声に、飛鳥の耳の先がほんのり赤く染まっていた。
その少し先では――田中が酒で顔を真っ赤にして、楓に絡んでいた。
「おいカエデ。お前ワンって言ってみろよ。仔犬っぽいんだからよ」
「……嫌です」
苦笑いしながらも、グラスを両手で持つ楓の仕草は、確かにどこか仔犬めいて愛らしかった
深夜0時。
ランタンの灯りが柔らかく揺れ、バーベキューの余韻を残した空気に、酒の匂いと笑い声がまだ漂っていた。
「……ユウヤ、僕もう眠いから、先に部屋戻るね」
「おう、俺も一緒に行くわ」
ハルの肩を抱きながら、悠哉はふっと微笑む。二人の背中が、温かい静けさの方へと消えていった。
リビングのソファには奏真が身体を預け、薄く目を閉じていた。
「……ソウマ、もう寝よ?」
隣で声をかける飛鳥。眼鏡を外しながら、控えめに肩を揺さぶる。
「……あぁ。悪い、ちょっと飲みすぎた」
その声音には、酔いと同時にどこか寂しさも混じっていた。
テラスでは、夜風に吹かれながらレンが一本のタバコを指に挟んでいた。
白い煙がゆらゆらと宙に溶けていく。
「……レンさん、まだ寝ないんですか?」
いつの間にか隣に来ていた楓が、問いかける。
月明かりに照らされたその横顔は、年下らしいあどけなさと、大人びた影を併せ持っていた。
「……そうだな。ちょっとだけ」
レンは小さく笑い、煙を吐き出す。その視線は自然と楓に吸い寄せられていた。
そして、まだリビングの一角は騒がしかった。
「ねぇ田中さん、まだ飲めるでしょ?ほら、もう一杯!」
「お、おう……マコトさん、飲むね~ほんとタフだなぁ……」
ねぇ、マコトちゃんって呼んでよ。……ねぇ~、あたし、可愛い?」
「……あぁ。まぁ……うーん化粧濃いからな」
「はぁ?! 失礼ね田中っち!」
ぷくっと頬をふくらませるマコトに、田中は苦笑しながらグラスを傾ける。
「いや、でも……中身はちゃんとイケメンやと思うで」
「ふん、わかればいいのよ」
ふたりはそのまま恋の話に移り、酔いの勢いもあって笑い声が絶えなかった。
マコトと田中の賑やかなやりとりが、夜更けの空気に最後の彩りを添えていたー
Lesson 19へ続く
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
魔力ゼロのポーション屋手伝い
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
15歳で測定する魔力の量によって、人生の大部分が左右されてしまう世界。
そんな世界で、運命の日を迎えたひとりの平凡な少年──リクは、抱いた淡い期待を大きく裏切られる。魔力が前代未聞のゼロと言い渡されたのだ。
深い絶望とともに頭を抱えていたとき、森でポーション屋を営んでいるというくたびれた男が声をかける。路頭に迷っていたリクは、店で手伝いをしてはどうかという彼の誘いを受けることにする。
捨てかけた夢を拾ってもらった少年と、拾った男。ふたりが絆を深めていく、ポーション屋でのお話です。
一人称おじさんくたびれ男性×魔力ゼロ以外平凡青年のBLです。
カクヨムにも載せています。(完結済み)
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
君に可愛いがられたい
結衣可
BL
高校2年の生徒会長・椎名遼は、明るく人当たりのよい人気者。
しっかりしてそうで、実は「いじられキャラ」で周りからも愛されている。
そんな彼の前に現れたのは、1年生の新入生・高峰孝一。
無口で大柄、少し怖そうに見えるけれど、本当は誠実で面倒見のいい性格の持ち主。
弟や妹の面倒を見ながら、家計を支えるためにバイトに励む孝一は、困っている遼をさりげなく助ける。
遼は戸惑いつつも、「後輩に甘やかされてる……?」と心が揺れ始める。
気が付くと、孝一に甘やかされていく自分に動揺しつつも、思いは止められなくて・・・。
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
エピローグまで公開いたしました。14,000字程度になりました。読み切りの形のときより短くなりました……1000文字ぐらい書き足したのになぁ。
📌本編モブ視点による、番外エピソード
「君はポラリス ― アンコール!:2年後の二人と俺と」を追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる