大人になっても、恋は止まらない。──独占と余裕のあいだで

氷月

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Lesson20夏の幕引き、恋の余韻

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朝の光が別荘を包み、みんなが順番に部屋から出てくる。

「おはよ~!」

「ふぁぁ……まだ眠い~」

それぞれ支度を終え、帰る準備が始まった。

奏真がさりげなく飛鳥の横に立つ。

「なぁ、帰りにふたりでパンケーキ食べて帰らへん?」

飛鳥は思わず笑みを浮かべて――「……うん」

「え、いいな~! あたしも一緒に行きたいわ~」
マコト姉が割り込む。

飛鳥と奏真は困りながら、目を逸らして苦笑い

空気を察した田中が苦笑いで手を上げる。

「……なら俺とフレンチトースト食べ行こか?うまい店知ってるで」

「仕方ないわねぇ、しょうがないわねぇ~」と、マコト姉はご機嫌で腕を組んだ。

そのやりとりを、ユウヤとハルは玄関先でニヤニヤしながら見ていた。

奏真「兄さん、ほんま仲間に恵まれたな」

飛鳥「……うん、なんか家族みたいだね」

全員が玄関を出て、別荘の前に並んだ車に向かう。

「昨日はほんま楽しかった。来てくれてありがとうな」ユウヤが代表して声をかけると、

「こちらこそ!」

「ありがとう。また呼んでよ!」

みんな口々に感謝を返した。

田中が楓の肩を軽く叩く。

「ほら、乗れ」

――その瞬間、楓は小さく首を振り、レンの後ろ姿へ。

レンがBMWのドアを開けかけたとき、

服の裾をぎゅっと掴まれる。

「ん?……なに? 振り返ったレン。

楓は顔を真っ赤にして、声を震わせた。

「……れ、レンさん……あ、あの……また……会って、もらえますか……?」

その場が一瞬、静まり返った。

「え?」

「ええ?!」

マコト姉は口を手で覆い、ハルは両手で顔を隠しながら小声で「がんばれ……!」。

ユウヤは目を細めてにやり――(レン、落ちたな)と心の中でつぶやく。

レンは小さく笑い、楓の頭をくしゃっと撫でる。

「……田中さん、この子犬……俺が連れて帰っていい?」

「はぁ?!……お、おう……」田中は口を半開きのまま固まった。

マコト姉は「ずるい!羨ましい!イケメン同士の特権じゃん!」と地団駄を踏む。

レンはさらりと、

「カエデ、助手席乗れ」

楓は赤面しながらも深々と会釈。

「……みなさん、ありがとうございました。ユウヤさん、ハルちゃん、本当に……」

BMWは静かに走り去っていった。

一方、奏真と飛鳥。

「さて、行くか。……乗れよ」

「うん」

「またな、兄さん。……またな、ハルちゃん」

ハルは小さく手を振り、飛鳥は照れ隠しのように会釈した。

マコト姉は「いいな~!青春だわ~!」と叫びながら田中の車に消えていく。

田中は小さく「俺もイケメンに生まれたかった……」とつぶやいていた。

残されたのは、ユウヤとハル。

「……ふふ、なんか余韻すごいね」ハルが小さく笑う。

ユウヤは肩を抱き寄せ、耳元で囁いた。

「ええやん、まだ時間あるし。夕方までゆっくりしてこ。……お前と二人きりにな、俺のもんであること、もう一回教え込んだる」

「……クスクス。ユウヤってほんと、独占欲強いよね」

「お前が可愛すぎるんが悪いんや」

ユウヤの低い声とともに、唇が触れて、甘さが零れる。

「……んー。ユウヤ……もっと……」

頬を赤らめながら、潤んだ瞳でそうねだるハル。

「……はぁ……ほんま、ずるいな。お前にそんな顔で頼まれたら、俺もう止まれへんやん」

優しく頬を撫で、額にキスを落とす。

言葉に合わせて、唇が何度も塞がれる。

「全部叶えたる。けどな、忘れんなよ。お前は俺だけのもんや。誰にも渡さん」

甘さに混じる独占の熱が、心臓を焼きつくすように迫る。

夏のバーベキューは、甘い幕引きとともに静かに終わりを告げた。


Lesson 21へ続く
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