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Lesson 27 楽園に降り立つバースデー
しおりを挟む2泊3日の沖縄旅行。
誕生日に合わせて、有給を取ってくれた悠哉。
「行くで」
そう言って出てきたのは、ジイヤが運転する黒塗りのハイクラス・ベンツ。
窓の外を眺めながら、ハルは胸を弾ませる。
空港に着くと、すぐに周囲の視線が集まった。
チェックインカウンター近くで、客室乗務員たちが小声でささやく。
「わぁ、見て。あの人イケメンすぎない?」
「ほんと……しかも彼女持ちっぽいよ。残念」
「でも彼女、可愛いね」
――彼女。
その言葉を耳にして、悠哉の胸が少しだけざわつく。
(……やっぱり、ハルは女の子に間違われるんやな。しゃあないわ。可愛すぎるから)
「……なに? なんか言った?」
振り返るハルに、悠哉はふっと口角を上げる。
「……俺の恋人は、誰よりも可愛いってことや」
低く囁く声に、ハルは耳まで赤くなり、思わず目を逸らした。
飛行機に乗り込むと、窓際の席から広がる青空に、ハルは顔を輝かせる。
「わぁ……すごい。海まで全部、青いんだ」
夢中でガラスに額を寄せる姿。
その手を、悠哉がそっと取って、指を絡める。
「……窓ばっか見んと、こっちも見ろ」
強引なようで、どこか甘えるような声。
視線を戻した瞬間、至近距離で交わる瞳。
「俺の誕生日やのに……プレゼントは、お前やな」
耳元に落ちる囁きに、ハルは胸が熱くなり、繋いだ手を強く握り返した。
プレミアムシートに並んで腰掛ける二人。
ハルの前に運ばれてきたのは、小ぶりながら彩り豊かな洋食プレート。
サーモンマリネに、チキンのグリル、そしてデザートに南国フルーツが添えられている。
「わぁ……美味しそう」
目を輝かせるハルを見て、悠哉は思わず笑ってしまう。
「……お前、ほんまに表情に出るな」
「だって、楽しみなんだもん」
フォークを口に運ぶたび、嬉しそうに頬を緩めるハル。
CAが通りかかり、微笑んだ。
「お二人、とてもお似合いですね」
ハルは真っ赤になり、慌てて下を向く。
悠哉は肩を寄せ、耳元で低く囁いた。
「な? やっぱり誰が見てもそう思うんや。……俺だけのハルやのに」
ハルは返事の代わりに、グラスのオレンジジュースをそっと口にした。
けれど――胸の奥はもう甘さでいっぱいだった
機体が静かに降下を始め、窓の外にエメラルドグリーンの海が広がった。
「わぁ……すごい。絵みたい……!」
目を輝かせるハルの横顔に、悠哉は小さく笑う。
那覇空港に到着し、タラップを降りた瞬間――
「……暑っ」
思わず声が漏れる。
10月中旬だというのに、照りつける太陽と湿った風が頬を撫でた。
「なぁ、汗かいてんで」
悠哉が指先でハルのこめかみを拭い、そのまま耳元へ顔を寄せる。
「ほんま、油断したら日焼けで真っ赤になるな。俺が守ったる」
「……なにそれ。笑」
照れながらも、繋がれた手を離せない。
到着ロビーに向かう途中も、観光客の視線は二人に集まる。
「モデルさんですか?」と笑いかけてくる人もいて、ハルは慌てて首を振る。
「ちが、います……!」
「いや、俺はお前の専属やからな。世界で一番幸せや」
耳元に低く囁かれて、胸がきゅっと鳴った。
外に出ると、青空と椰子の木、そして遠くから聞こえる三線の音色。
「……ほんとに来ちゃったんだね、沖縄」
「当たり前や。お前の願いは、全部叶える」
肩を抱かれ、灼けつくような日差しの下、二人は顔を見合わせて笑った。
那覇空港を出てすぐ、悠哉は迷いなくレンタカーのカウンターへ。
高級SUVを借りる手続きを終え、ハンドルを握る姿はやっぱり絵になる。
「……じゃ、行こか」
低い声に、胸がきゅっとなる。助手席の窓を開けると、潮の香りを含んだ風が頬を撫でた。
海沿いの道路を走り抜ける。
片側にはコバルトブルーの海がきらめき、反対側には深い緑の森が広がる。
「わぁ……すごい、沖縄って、こんなに綺麗なんだ」
子どものように目を輝かせるハルの横顔を見て、悠哉はふっと笑う。
「景色より俺を見ろ。……お前の“綺麗”は全部、俺に向けろ」
ハンドルを片手で操作しながら、もう片方の手を伸ばしてハルの指を絡める。
ドキッとして頬を赤らめるハル。
それでも、ぎゅっと握り返した手から――確かな温度が伝わってくる。
車をホテルのエントランスにつけると、白亜のリゾートホテルが南国の陽射しを受けて輝いていた。
大理石のロビーに足を踏み入れた瞬間、潮風を思わせるアロマがふわりと漂う。
「御影悠哉様、ようこそお越しくださいました」
フロントスタッフが一礼する。悠哉は慣れた仕草でチェックインを済ませ、淡々と署名をする横顔が美しい。
隣で控えめに立つハルの腰に、さりげなく手を添えて歩く。
(……こんな場所でも、独占するみたいに触れてくるんだ)
熱くなる頬を隠すように下を向いた。
案内されたのは、最上階の特別フロア。
扉を開けると、広々としたスイートルームが広がっていた。
窓一面に広がるバルコニーからは、どこまでも続くエメラルドグリーンの海。
「……すごい……」
思わず駆け寄って、バルコニーから海を見下ろす。
背後から腕を回され、胸に引き寄せられた。
「気に入ったか?」
「うん……最高だよ」
「なら、ここは今日から“俺たちの場所”やな」
耳元に低い声が落ちて、胸が熱く震えた。
Lesson27.5続く
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