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Lesson5 届かない想い、砂糖十個のコーヒー
しおりを挟む夏休みも終わりに近づいたある日、
オレは大学の図書館へ足を運んだ。
探していた本があるからだ。
ふと、図書館窓際に視線を向けると——そこには、タクミと、見覚えのある高校生の姿。… たしか…カナタ?
仲良く肩を並べて話し込む二人の姿に、胸の奥がざわついた。
ドアを開けかけた足が止まり、「邪魔になるか」
と理由をつけて引き返した。
けれど正直、引き下がったのはただ…見たくなかったからだ。
胸の奥で渦を巻く、言葉にならない苛立ち。
――なんだよ、あいつら。…胸糞悪い。
一方、窓際のテーブル。静かな空気の中、ページをめくる音だけが響いていた。
「カナタ、ここはこう解くんだ。分かったか?」
「…はい。分かりやすいです」
「だろ?オレの教え方は皆んなに褒められるんだぜ」
タクミが笑うと、カナタはまっすぐその横顔を見つめ、やがて小さく震える声で言った。
「……好きです、タクミさん」
一瞬、空気が止まった。
「え?今なんて…?」
「好きです。タクミさんが」
頬を染めるカナタの言葉に、タクミは苦笑し、少し寂しげに頭をかいた。
「ありがとな。でも…オレはお前を弟みたいにしか見れない。ずっと可愛い弟でいてくれ」
そう言って、カナタの髪をぐしゃぐしゃと撫でた。
振られたはずなのに、カナタは笑顔を見せた。
「…良かったです。タクミさんを好きになれて」
二人は照れ笑いを交わし、勉強を続ける。
帰り際。
「今日はありがとうございました!」
「おう!いつでも連絡してこいよ?」
「はい!タクミさんの大学、目指します!」
「おぅ、頑張れよ!カナタなら
大丈夫だよ!じゃあな!」
その言葉は、図書館の外で胸を掴まれていた誰かには、遠い遠い響きに聞こえていた——。
――数日後。タクミと妹ー
人がたくさん賑わう街並みー
タクミは妹・ミナミの買い物に付き合い、両手いっぱいの紙袋を抱えていた。
「お兄ちゃん、ミナミ足痛いよ。疲れたから、カフェで休もうよ!」
「しょうがねぇな。どこ行く?」
「んー、あんみつ!」
「…和菓子か。気分じゃないけど、いいよ」
そのとき、妹が突然声を上げた。
「わ!見てあの人!インフルエンサーで元モデルの、塚本 蓮(レン)だ!
ヤバい!かっこよすぎ!」
妹の視線の先にいたのは、背の高いイケメン。 お洒落な服装…
黒を綺麗に着こなす… サングラス姿。
長い手足、そして切れ長の瞳が街の喧騒をも切り裂くように輝いている。
隣には、華やかな美人。業界で名の知れたアパレル会社の女社長。
二人はホテル内のカフェでの会食を終えたばかりー
楽しそうに親しげに笑い合っていた。
タクミは思わず足を止めた。自分とレンとの間に横たわる、見えない距離を突きつけられた気がして。
レンはタクシーを呼び止め、彼女を先に乗せる。その姿は誰が見ても“別世界”の人間だった。キラキラしていた。
(… 誰?… レンなはずなのに知らない人に見えた。知らない。俺には見せた事がないーそしてカッコいい姿ー 胸が詰まる。
なんかー吐き気がするー)
だがレンがふと振り返った瞬間、
タクミは咄嗟に妹の手を引き、カフェへ入った。
「えー!ちょっとあんみつ言ったのに!なんでパンケーキ屋?!は??」
「今度だ!」
普段なら甘いものを笑顔で選ぶはずのタクミが、この日はコーヒーを頼んでいた。
砂糖を十個も入れて、苦さを無理やり誤魔化すように。
ひと口。
「甘っ…」
――甘いはずなのに、どこか苦い。胸の奥までざらついて、言葉にならない。
レンの残像が、瞼の裏に焼き付いて離れなかった。
「……はぁ。なんか、俺どうしたんだろ?なんかすごくショックだ」
Lesson6へ続くー♡♡ー
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