キスして、触れて、全部スキなこと

氷月

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【2】褒美は、またあとで

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ハルの自宅ー

「見せてみ?」
ユウヤはソファに腰を下ろし、ハルのテストプリントをペラリとめくる。

髪についたワックスからは、ほんのりココナッツの甘い香りが漂っていた。
近くにいるだけで、息が詰まりそうになる。

「おぉ……英語以外、全部80点超えやん。
数学、95点? これ……俺が教えたとこやな」

「……うん」

「ちゃんとやったな。すごいやん、ハル。
ってか、俺の教え方、うまかったんちゃう?」

「調子乗らないでください……」
ぷいっと顔を背けたハルの頬は、じんわり赤い。

ユウヤが顔を覗き込むと、
その前髪がさらりとハルの額に触れる。

「……英語だけ50点か。惜しいな」
「キス止まりやな」

「っ……!な、何その基準……!」
「もっとご褒美、欲しいなら……次は英語、頑張れよ」

そう言って、ユウヤはハルの額にそっとキスを落とした。
唇は優しくて、熱くて──一瞬で思考が溶けていく。

「褒美は、またあとでな」

額に触れた唇があまりにも優しくて、ハルは思考を奪われたまま固まる。

視線を逸らしたくても、ユウヤの近さと甘い香りに心臓がうるさいくらい鳴ってる。

(……あかん。こんなん、ほんまに“生徒”にすることちゃうやろ)

ユウヤは ハルの赤くなった頬を見て、思わず心の中で苦笑する。

でも、触れてしまった唇の感触がまだ指先に残るみたいで、離れがたい…

その夜ー

ハルがベッドでスマホを見ていると、LINEの通知が鳴った。
ユウヤからだった。

ユウヤ 「なあ、ハル。今週末、空いてる?」

ハル「え?…空いてますけど」

ユウヤ「テスト頑張ったご褒美、ちゃんと    用意したるから」

ハル  「どこ行くんですか?」

ユウヤ「内緒。誕生日の前祝いっちゅーことでなか」

(誕生日……覚えてたんだ)

照れくささと嬉しさが混じった鼓動が、止まらない。
胸が一気に熱くなって、ハルは布団の中に顔を埋める。



ユウヤ「ちゃんと空けとけよ?迎えに行くし」

その文面を送ったあと、

心臓の音がさっきから止まらない。
(……やっぱり、俺、完全にコイツに落ちとるわ)心の声

スマホを置いたユウヤは、ふっと息を吐いてソファに沈む。
(……ほんま、コイツのこと考えるだけで、どうにかなりそうや)

胸に残るキスの感触を思い出して、目を閉じた。
──あと3日。待ち遠しくて、眠れそうにない。

《To be continued…》






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