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第7章<アンナの夢>
2、突然
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セイフィード様は、ガラの悪い男性3人に歩み寄る。
「離して頂けませんか。彼女は、俺の婚約者なので」
セイフィード様は怒りを抑えながらも、圧のかかった声を発した。
「闇の精霊を連れてやがる」
「婚約者だと、気取りやがって。お前の婚約者は、今から俺達の婚約者になるんだ。残念だったな」
「おいっ、やめろよ。闇の精霊だぜ」
3人の内、2人は闇の精霊を怖がっているが、もう1人は威勢が良くセイフィード様に一歩近づく。
その威勢のいい人が、私の手を離さない。
「彼女の手を離さないと大変なことになりますよ」
「ふざけんなよ。俺達に喧嘩売ろうってか、こっちは3人いるんだよ」
「俺は、あなた方を思って言ってるんです。死にますよ」
「このやろっ」
威勢がいい男性が私の手を離すと、拳を振り上げ、セイフィード様に殴りかかる。
しかし、風がふわっと湧き起こり、その男性は一瞬中に浮き、すぐに落下した。
セイフィード様はその男性を見下ろし、冷めた視線を向ける。
「くそっ、なめやがってっ」
「おい、もうやめようぜ」
「もう諦めろ、闇の精霊は、さすがにヤバイぜ」
他の2人が、威勢のいい男性を止めに入る。
「テメー、覚えてろっ」とおきまりの悪態をつきながら、その男性は他の2人に押さえ込まれるようにして去って行った。
「セイフィード様、あの⋯⋯、」
「アンナは悪くない。悪いのは俺だ。少し目を離しただけで、こんなことになるとは、迂闊だった」
「私も気をつけます」
「参ったな。宿も2つ部屋を予約したが、やはり一緒に居よう。取り直してくる。アンナも一緒に来い」
「はっ、はい」
宿の手配を済ませると、私達は夕食を取るために、ある池に向かう。
セイフィード様と手を繋ぎながら。
まるでデートだ。
まるでじゃなく、正真正銘のデートだ。
嬉しくて、頬が緩みっぱなし。
目的の池に着いた時、あまりに幻想的で美しく、私は胸が一杯になった。
池に咲く大きな蓮の花が、まるでゴンドラのように人を乗せている。
蓮の花びらの中に、ランプが灯してあり、その中で、食事を楽しんでいる。
蓮の花に乗れる人数は2、3名なので、だいたいが恋人同士か、夫婦に思われる。
なんて、ロマンチックなレストランなんだろう。
「素敵すぎですっ、このレストラン。こんな素敵なところで食事ができるなんて、夢のようです」
「それは、良かったな」
私達は早速、池のほとりから、係りの人に案内され、蓮の花に乗った。
蓮の中は、ふっかふっかで、中央の雌しべがテーブルになっている。
また、花びらは、魔力をかざせば開いたり閉じたりできるそう。
私は、早速、セイフィード様にお願いして花びらを閉じてもらう。
すると、薄暗い狭い空間にランプがほのかに灯り、なんともエロティック。
もちろん、狭いので私とセイフィード様は密着する。
「なんか、すごく、ドキドキする空間ですね」
と私が言うや否や、セイフィード様はすぐに花びらを開いてしまった。
もう少し、セイフィード様と狭い空間を楽しみたかったのに。
そして、すぐに一隻の小さな船が近づいてきた。
「ようこそおいで下さいました。魚のフライ、如何ですか?」
「2つ下さい」
私達は、その船から揚げたての魚のフライを受け取る。
他にも小さな船が、個々の蓮の花を周り、色々な食べ物を提供している。
お肉の串揚げ、おつまみ、飲み物、果物、デザート、色々ある。
船が近づく度、私達は注文し、食べ物を受け取った。
「美味しいです。このお魚のフライ。熱々で、もう最高です」
「良かったな」
「こっちの、串揚げもジューシーで、ほっぺが喜んでいます」
セイフィード様が突然、私の頬にキスした。
そして、嬉しそうに微笑むと、何もなかったように、セイフィード様は食べ始める。
また、突然、キスされた。
これで何回目だろうっ⋯⋯。
嬉しいけど、顔が火照って、ドキドキして、セイフィード様のこと見られなくなる。
頭の中も真っ白になっちゃうから、お話することもままならない。
⋯⋯⋯⋯私も、不意打ちキスを、セイフィード様にしてみたいな。
でも、身長差があるから、立っている時は難しい。
するなら⋯⋯、今だろうか。
でも、周りに人もいるし、ちょっと恥ずかしいような⋯⋯。
私が周りを見渡すと、他の人達は花びらを閉じている。
どうやら、みんな食べ終わると、花びらを閉じて2人だけの時間を過ごすようだ。
「セイフィード様、私達も食事が終わりましたし、花びら閉じましょうよ」
セイフィード様はじっと私を見つめる。
私の考えが、見透かされそうだ。
けれど、セイフィード様は、何も言わずに、花びらを閉じてくれた。
そしてすぐに、セイフィード様は私を引き寄せ、後ろから抱きしめる。
びっ、びっくりした。
うん!?
でも、この体勢だと、不意打ちキスができない。
「そういえば、アンナ。この花は上に上がることもできるんだ。やってみるか?」
「はい。お願いします」
どのくらい上に上がるんだろう。
全然、想像つかない。
ワクワクする。
「じゃあ、いくぞ」
セイフィード様が花びらに魔力を当てると、花びらの何枚かがベルトのように私達をギュッと包む。
そして、次の瞬間、逆バンジーのように、ビューんと花の茎が伸び上がった。
「!!!!!」
びっくりし過ぎて、声が出ないっ。
胃の中のものが出そうになるし。
花びらの隙間から下を覗くと、クラクラするぐらい高い位置にいることがわかる。
恐怖で体まで震えてくる。
「ククっ、すまない、アンナ。どうやら魔力が強過ぎたらしい」
セイフィード様は、私が驚いたことに対して、とても面白かったらしく、声を出して笑っている。
本当は、もっとゆっくり上に上がるらしい。
セイフィード様でも、ミスすることもあるんだな⋯⋯、そのことがなぜか嬉しい。
「アンナ、下ではなく、上を見ろ」
「はっ、はい」
私は、セイフィード様に言われるがまま、上を見た。
すると、私の目の前には、まん丸の大きな月が迫っている。
ここの月は前世の世界と少し違い、黄色ではなく、真っ白だ。
「わぁ、大きい。手を伸ばせば月まで届きそうですね」
「そうだな」
「あの、セイフィード様、私、セイフィード様のお母様と、お話ができて楽しかったです。またお見舞いに行くとき一緒に連れてって下さい」
「あぁ」
「それと、私、目標ができたんです」
「なんだ?」
「私、医術を研究しようと思います」
セイフィード様は何か言いげな表情をする。
おそらく、魔力がない私には無理だと言いたいのだろう。
「私、帰ったら早速、医術系の学科を専攻できるか問い合わせてみます」
「恐らく、難しいと思うが、やるだけやってみればいい」
「はい」
「そろそろ、降りるか」
「⋯⋯⋯⋯あの、これ、降りる時はどんな感じなんでしょうか? まさかとは思いますが、落下するようなスピードじゃないですよね?」
「次は問題ない。ゆっくり下に降りられる」
セイフィード様の言うように、お花はゆっくり下に下がる。
振動も、落ちている感覚も全くないので、ゆっくりと外の景色を眺めることができる。
セイフィード様の温もりに包まれながら、遠くの方の街の明かりが見ていると、心がとろけてしまいそう。
結局、不意打ちキスはできなかった。
いや、まだチャンスはある。
フフフ⋯⋯、今夜こそ、私がセイフィード様をドキドキさせる番。
キスマークの仕返し、しちゃうんだから。
「離して頂けませんか。彼女は、俺の婚約者なので」
セイフィード様は怒りを抑えながらも、圧のかかった声を発した。
「闇の精霊を連れてやがる」
「婚約者だと、気取りやがって。お前の婚約者は、今から俺達の婚約者になるんだ。残念だったな」
「おいっ、やめろよ。闇の精霊だぜ」
3人の内、2人は闇の精霊を怖がっているが、もう1人は威勢が良くセイフィード様に一歩近づく。
その威勢のいい人が、私の手を離さない。
「彼女の手を離さないと大変なことになりますよ」
「ふざけんなよ。俺達に喧嘩売ろうってか、こっちは3人いるんだよ」
「俺は、あなた方を思って言ってるんです。死にますよ」
「このやろっ」
威勢がいい男性が私の手を離すと、拳を振り上げ、セイフィード様に殴りかかる。
しかし、風がふわっと湧き起こり、その男性は一瞬中に浮き、すぐに落下した。
セイフィード様はその男性を見下ろし、冷めた視線を向ける。
「くそっ、なめやがってっ」
「おい、もうやめようぜ」
「もう諦めろ、闇の精霊は、さすがにヤバイぜ」
他の2人が、威勢のいい男性を止めに入る。
「テメー、覚えてろっ」とおきまりの悪態をつきながら、その男性は他の2人に押さえ込まれるようにして去って行った。
「セイフィード様、あの⋯⋯、」
「アンナは悪くない。悪いのは俺だ。少し目を離しただけで、こんなことになるとは、迂闊だった」
「私も気をつけます」
「参ったな。宿も2つ部屋を予約したが、やはり一緒に居よう。取り直してくる。アンナも一緒に来い」
「はっ、はい」
宿の手配を済ませると、私達は夕食を取るために、ある池に向かう。
セイフィード様と手を繋ぎながら。
まるでデートだ。
まるでじゃなく、正真正銘のデートだ。
嬉しくて、頬が緩みっぱなし。
目的の池に着いた時、あまりに幻想的で美しく、私は胸が一杯になった。
池に咲く大きな蓮の花が、まるでゴンドラのように人を乗せている。
蓮の花びらの中に、ランプが灯してあり、その中で、食事を楽しんでいる。
蓮の花に乗れる人数は2、3名なので、だいたいが恋人同士か、夫婦に思われる。
なんて、ロマンチックなレストランなんだろう。
「素敵すぎですっ、このレストラン。こんな素敵なところで食事ができるなんて、夢のようです」
「それは、良かったな」
私達は早速、池のほとりから、係りの人に案内され、蓮の花に乗った。
蓮の中は、ふっかふっかで、中央の雌しべがテーブルになっている。
また、花びらは、魔力をかざせば開いたり閉じたりできるそう。
私は、早速、セイフィード様にお願いして花びらを閉じてもらう。
すると、薄暗い狭い空間にランプがほのかに灯り、なんともエロティック。
もちろん、狭いので私とセイフィード様は密着する。
「なんか、すごく、ドキドキする空間ですね」
と私が言うや否や、セイフィード様はすぐに花びらを開いてしまった。
もう少し、セイフィード様と狭い空間を楽しみたかったのに。
そして、すぐに一隻の小さな船が近づいてきた。
「ようこそおいで下さいました。魚のフライ、如何ですか?」
「2つ下さい」
私達は、その船から揚げたての魚のフライを受け取る。
他にも小さな船が、個々の蓮の花を周り、色々な食べ物を提供している。
お肉の串揚げ、おつまみ、飲み物、果物、デザート、色々ある。
船が近づく度、私達は注文し、食べ物を受け取った。
「美味しいです。このお魚のフライ。熱々で、もう最高です」
「良かったな」
「こっちの、串揚げもジューシーで、ほっぺが喜んでいます」
セイフィード様が突然、私の頬にキスした。
そして、嬉しそうに微笑むと、何もなかったように、セイフィード様は食べ始める。
また、突然、キスされた。
これで何回目だろうっ⋯⋯。
嬉しいけど、顔が火照って、ドキドキして、セイフィード様のこと見られなくなる。
頭の中も真っ白になっちゃうから、お話することもままならない。
⋯⋯⋯⋯私も、不意打ちキスを、セイフィード様にしてみたいな。
でも、身長差があるから、立っている時は難しい。
するなら⋯⋯、今だろうか。
でも、周りに人もいるし、ちょっと恥ずかしいような⋯⋯。
私が周りを見渡すと、他の人達は花びらを閉じている。
どうやら、みんな食べ終わると、花びらを閉じて2人だけの時間を過ごすようだ。
「セイフィード様、私達も食事が終わりましたし、花びら閉じましょうよ」
セイフィード様はじっと私を見つめる。
私の考えが、見透かされそうだ。
けれど、セイフィード様は、何も言わずに、花びらを閉じてくれた。
そしてすぐに、セイフィード様は私を引き寄せ、後ろから抱きしめる。
びっ、びっくりした。
うん!?
でも、この体勢だと、不意打ちキスができない。
「そういえば、アンナ。この花は上に上がることもできるんだ。やってみるか?」
「はい。お願いします」
どのくらい上に上がるんだろう。
全然、想像つかない。
ワクワクする。
「じゃあ、いくぞ」
セイフィード様が花びらに魔力を当てると、花びらの何枚かがベルトのように私達をギュッと包む。
そして、次の瞬間、逆バンジーのように、ビューんと花の茎が伸び上がった。
「!!!!!」
びっくりし過ぎて、声が出ないっ。
胃の中のものが出そうになるし。
花びらの隙間から下を覗くと、クラクラするぐらい高い位置にいることがわかる。
恐怖で体まで震えてくる。
「ククっ、すまない、アンナ。どうやら魔力が強過ぎたらしい」
セイフィード様は、私が驚いたことに対して、とても面白かったらしく、声を出して笑っている。
本当は、もっとゆっくり上に上がるらしい。
セイフィード様でも、ミスすることもあるんだな⋯⋯、そのことがなぜか嬉しい。
「アンナ、下ではなく、上を見ろ」
「はっ、はい」
私は、セイフィード様に言われるがまま、上を見た。
すると、私の目の前には、まん丸の大きな月が迫っている。
ここの月は前世の世界と少し違い、黄色ではなく、真っ白だ。
「わぁ、大きい。手を伸ばせば月まで届きそうですね」
「そうだな」
「あの、セイフィード様、私、セイフィード様のお母様と、お話ができて楽しかったです。またお見舞いに行くとき一緒に連れてって下さい」
「あぁ」
「それと、私、目標ができたんです」
「なんだ?」
「私、医術を研究しようと思います」
セイフィード様は何か言いげな表情をする。
おそらく、魔力がない私には無理だと言いたいのだろう。
「私、帰ったら早速、医術系の学科を専攻できるか問い合わせてみます」
「恐らく、難しいと思うが、やるだけやってみればいい」
「はい」
「そろそろ、降りるか」
「⋯⋯⋯⋯あの、これ、降りる時はどんな感じなんでしょうか? まさかとは思いますが、落下するようなスピードじゃないですよね?」
「次は問題ない。ゆっくり下に降りられる」
セイフィード様の言うように、お花はゆっくり下に下がる。
振動も、落ちている感覚も全くないので、ゆっくりと外の景色を眺めることができる。
セイフィード様の温もりに包まれながら、遠くの方の街の明かりが見ていると、心がとろけてしまいそう。
結局、不意打ちキスはできなかった。
いや、まだチャンスはある。
フフフ⋯⋯、今夜こそ、私がセイフィード様をドキドキさせる番。
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