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「憎しみの練習」
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世界が正立した途端、二人は同時に背を向けて走り出した。
リナは西へ。レイラは東へ。
オリーブの木の下に、落ちた葉が一枚だけ残る。
でも、三歩走ったところで、 二人の足首に青と赤の光の輪がぱちんと出現。 まるで手錠みたいに繋がれた。
リナが振り向いて叫ぶ。
「ちょっと! なにこれ!?」
レイラも振り向いて叫ぶ。
「知るか! あんたが離したせいよ!」
二人が睨み合うと、光の輪がぎゅっと縮んで、 強制的に距離が三メートルまで縮まる。
これ以上離れられない。
鯉の声が頭の中に直接響いた。
『これからは、半径三メートル以内。 離れすぎると世界がまた傾く。 慣れろ。』
リナが絶叫。
「冗談でしょ!? 一生この距離!?」
レイラも絶叫。
「死んでも嫌! 殺す!」
すると光の輪が火花を散らし、 二人の間に小さな魔法陣が浮かぶ。
六芒星と三日月が絡まって、 逆さに泳ぐ魚が一匹、ぽっと出現。
魚は口をパクパクさせて言った。
「憎しみを言葉にしないと、俺たちは増えない。 増えないと、お前たちの魔法は強くならない。 だから、もっと罵り合え。 それが今日からの“練習”だ」
リナとレイラは顔を見合わせ、 同時に叫んだ。
「「ふざけんな!!」」
瞬間、魔法陣が爆発的に広がり、 夜空に虹色の魚が100匹、逆さに泳ぎ始めた。
魚たちが一斉に囃し立てる。
「いいぞー! もっと! もっと憎しみを!!」
リナが歯を食いしばる。
「……レイラ、臭い」
レイラが即座に返す。
「リナ、汚い」
魚が200匹に増えた。
「リナ、頭悪そう」
「レイラ、性格最悪」
500匹。
「リナ、死ねばいい」
「レイラ、消えろ」
1000匹。
夜空が魚で埋まる。
二人は息を切らしながら、 涙目で睨み合って、 同時に気づいた。
……これ、めっちゃ魔法強くなってる。
レイラが小声で呟く。
「……最悪」
リナも小声で返す。
「……最低」
魚がさらに増えて、 今度は二人の頭の上をぐるぐる回りながら歌い始めた。
「憎しみの練習~♪ 毎日続けろ~♪ 世界を救うには~ もっと罵り合え~♪」
二人は顔を背け合いながら、 光の輪で繋がれたまま、 同じ方向に歩かざるを得なかった。
どこへ行くのかもわからない、 ただ半径三メートルの、 憎しみで繋がれた夜が始まった。
リナは西へ。レイラは東へ。
オリーブの木の下に、落ちた葉が一枚だけ残る。
でも、三歩走ったところで、 二人の足首に青と赤の光の輪がぱちんと出現。 まるで手錠みたいに繋がれた。
リナが振り向いて叫ぶ。
「ちょっと! なにこれ!?」
レイラも振り向いて叫ぶ。
「知るか! あんたが離したせいよ!」
二人が睨み合うと、光の輪がぎゅっと縮んで、 強制的に距離が三メートルまで縮まる。
これ以上離れられない。
鯉の声が頭の中に直接響いた。
『これからは、半径三メートル以内。 離れすぎると世界がまた傾く。 慣れろ。』
リナが絶叫。
「冗談でしょ!? 一生この距離!?」
レイラも絶叫。
「死んでも嫌! 殺す!」
すると光の輪が火花を散らし、 二人の間に小さな魔法陣が浮かぶ。
六芒星と三日月が絡まって、 逆さに泳ぐ魚が一匹、ぽっと出現。
魚は口をパクパクさせて言った。
「憎しみを言葉にしないと、俺たちは増えない。 増えないと、お前たちの魔法は強くならない。 だから、もっと罵り合え。 それが今日からの“練習”だ」
リナとレイラは顔を見合わせ、 同時に叫んだ。
「「ふざけんな!!」」
瞬間、魔法陣が爆発的に広がり、 夜空に虹色の魚が100匹、逆さに泳ぎ始めた。
魚たちが一斉に囃し立てる。
「いいぞー! もっと! もっと憎しみを!!」
リナが歯を食いしばる。
「……レイラ、臭い」
レイラが即座に返す。
「リナ、汚い」
魚が200匹に増えた。
「リナ、頭悪そう」
「レイラ、性格最悪」
500匹。
「リナ、死ねばいい」
「レイラ、消えろ」
1000匹。
夜空が魚で埋まる。
二人は息を切らしながら、 涙目で睨み合って、 同時に気づいた。
……これ、めっちゃ魔法強くなってる。
レイラが小声で呟く。
「……最悪」
リナも小声で返す。
「……最低」
魚がさらに増えて、 今度は二人の頭の上をぐるぐる回りながら歌い始めた。
「憎しみの練習~♪ 毎日続けろ~♪ 世界を救うには~ もっと罵り合え~♪」
二人は顔を背け合いながら、 光の輪で繋がれたまま、 同じ方向に歩かざるを得なかった。
どこへ行くのかもわからない、 ただ半径三メートルの、 憎しみで繋がれた夜が始まった。
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