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壁の向こうの同じ空
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夜明け前。
リナとレイラは光の手錠で繋がれたまま、境界の高いコンクリート壁の前まで来てしまった。
壁の上には有刺鉄線がぐるぐる巻きで、監視カメラがキラリと光ってる。
リナがぽつりと呟く。
「……これ、私たちがいつも見てる壁だよ」
レイラも小声で。
「私も……毎日見てる」
二人は初めて、壁を挟んで同じ場所に立っていることに気づいた。
リナが、ちょっとだけ説明するような口調で言った。
「私のおばあちゃんは、昔ここに住んでたって言ってた。 でも戦争があって、家を取られちゃったんだって。 だから私たちは『帰りたい』って思ってる」
レイラは目を伏せて、でもちゃんと答える。
「私のおじいちゃんは、戦争で家を爆弾で壊されて、 お父さんとお母さんを亡くしたんだって。 それなのに新しい人が住み始めて…… だから私たちは『出てって』って思ってる」
二人は黙って、壁を見上げる。
リナが続ける。
「だから……私たちは生まれたときから『敵』って教えられてきた」
レイラも頷く。
「学校でも、テレビ、みんながそう言うもん」
でも、壁の上に朝日が当たって、 影が地面に長く伸びたとき、 ふたりの影が、ほんの一瞬だけ重なった。
レイラがびっくりして呟く。
「……同じ長さ」
リナも驚いた。
「同じ形……」
そのとき、空を泳いでいた魚が一匹、 ふたりの間に降りてきて、 泡で文字を書いた。
『壁は高いけど 空はつながってる お前たちが同じ空を見てる限り 世界は完全に壊れない』
リナがちょっとだけ笑った。
「……バカみたい」
レイラも、ほんの少しだけ口元をゆるめた。
「ほんと、バカみたい」
でもすぐにふたりは顔を背けて、 また睨み合う。
「だからって、好きになんかならないから!」
「当たり前でしょ!」
でも、壁の向こうとこちらで、 同じ朝日が昇って、 同じ風が吹いて、 同じ魚が空を泳いでいた。
それだけは、もう変えられない真実だった。
リナとレイラは光の手錠で繋がれたまま、境界の高いコンクリート壁の前まで来てしまった。
壁の上には有刺鉄線がぐるぐる巻きで、監視カメラがキラリと光ってる。
リナがぽつりと呟く。
「……これ、私たちがいつも見てる壁だよ」
レイラも小声で。
「私も……毎日見てる」
二人は初めて、壁を挟んで同じ場所に立っていることに気づいた。
リナが、ちょっとだけ説明するような口調で言った。
「私のおばあちゃんは、昔ここに住んでたって言ってた。 でも戦争があって、家を取られちゃったんだって。 だから私たちは『帰りたい』って思ってる」
レイラは目を伏せて、でもちゃんと答える。
「私のおじいちゃんは、戦争で家を爆弾で壊されて、 お父さんとお母さんを亡くしたんだって。 それなのに新しい人が住み始めて…… だから私たちは『出てって』って思ってる」
二人は黙って、壁を見上げる。
リナが続ける。
「だから……私たちは生まれたときから『敵』って教えられてきた」
レイラも頷く。
「学校でも、テレビ、みんながそう言うもん」
でも、壁の上に朝日が当たって、 影が地面に長く伸びたとき、 ふたりの影が、ほんの一瞬だけ重なった。
レイラがびっくりして呟く。
「……同じ長さ」
リナも驚いた。
「同じ形……」
そのとき、空を泳いでいた魚が一匹、 ふたりの間に降りてきて、 泡で文字を書いた。
『壁は高いけど 空はつながってる お前たちが同じ空を見てる限り 世界は完全に壊れない』
リナがちょっとだけ笑った。
「……バカみたい」
レイラも、ほんの少しだけ口元をゆるめた。
「ほんと、バカみたい」
でもすぐにふたりは顔を背けて、 また睨み合う。
「だからって、好きになんかならないから!」
「当たり前でしょ!」
でも、壁の向こうとこちらで、 同じ朝日が昇って、 同じ風が吹いて、 同じ魚が空を泳いでいた。
それだけは、もう変えられない真実だった。
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