あお

あまえ うる

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プロローグ

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カシャッ

誰もいない路地に寂しく響くシャッター音。

カシャッ カシャッ
と、何度もシャッターをきり
その一瞬一瞬をカメラに収めていく。

今日は夕空が綺麗だ。

夕日の沈む方向だけ燃えるように赤く
反対側の空は少しずつ暗くなっている。
そのグラデーションが綺麗で、思わずカメラを向けてしまった。

けれど、私が好きなのはその間、つまり真上の空。
その空に浮かぶ雲だ。
赤でも青でもない、紫とも言い難い、そんな不思議な色の雲。
寂しそうに、けれど輝いている。
それが私はとても好きだ。

カシャッ

私はカメラから顔を離しもう一度空を見上げる。
「これじゃ…ない…」
私は呟いた。

「そら、キレイだね。」
ぎこちない、日本語が聞こえ私は振り向いた。
そこには、一人の男が立っていた。
美しいブロントの髪を揺らし、男は笑顔で言った。
「そら、すきなの?」
私は何もわからないまま小さく頷く。
「もう行かないと、ごめんネ。
 またネ。」
男はそう言い残すと、路地の陰に消えていった。
不思議に思いながらも私もその場を去った。

ヒューと、夕暮れの風が吹く。
秋が近づいてきたのだろう、
頬に触れる風が冷たい。
秋は夕暮れとはよく言ったものだ。

私はカメラと共に手をポケットへ突っ込んだ。
目の前の空には月が浮かんでいる。
今日は下弦の三日月、もうすぐ新月になりそうだ。
私はさっきしまった手とカメラをポケットから出し、シャッターをきった。

カシャッ

シャッター音が、空へ響く。
私はまたカメラをポケットへ入れた。

(さっきの男の子、
    私と同じくらいかな)
さっき話しかけてきた、男の子を思い出す。
ブロンドの髪をしていた。
外国人であると予想がつく。
近々会いそうな気がする。

これは私のただの勘だが、
こういう時の私の勘はよく当たる。

私は少し身震いをした。

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