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1.暗い思い出
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僕らミラ族にとって1000年なんてあっという間。
ずっとそう思ってきたのにどうしてか、彼女にあってからそう思えなくなった。
彼女というのは、この一族の族長の一人娘ステラ・ミラ。
美しい蜜柑色の髪に、真っ白な肌、美しい顔に光り輝く翡翠のような瞳、そして真っ赤な唇。
誰が見ても彼女を美しいと言ってしまうだろう。
ステラに出会ったのは僕が11歳の時。今から989年前かな。
僕らミラ族には、寿命はない。怪我だって大抵のものはすぐに治ってしまう。
戦闘能力は人間達の約5倍。
今戦争真っ只中の人間達にとって僕らはとっても素晴らしい兵器。
そりゃあ、世界中から勧誘される。
だけど、争いごとが嫌いな族長、つまりステラのお父さんリーヴァ・ミラは勧誘を全て断った。
すると人間は、そのミラ族の力を何としてでも手に入れようとした。
ミラ族の実力、生態、そして弱点。
人間達はそれを知ろうと、ミラ族の子ども(10歳未満)や女を連れ去り、人体実験を行った。
そのうちの一人が、僕を身ごもった僕の母だった。
人体実験の最中、僕を産んだ母は僕が乳離れするとそのまま死んでしまった。
そう、僕の母が人間の実験の初の成功例、悪魔の薬「ディアボ」が完成したのだった。
それからは見るに堪えない大虐殺。
人間達は脅しという名目で、ミラ族をどんどん殺していった。
僕は何故か殺されなかった。
死というものが理解できない歳で、ただ目の前でくり広げられる、争いを眺めていた。
ようやく、全てを理解した時には僕は最後の実験体になっていた。
殺さないように細心の注意が払われる中、僕は爪をはがれ、指を切られたが、どんなことをしても死なず指も爪もまた生えてきた。
次は腕、次は脚、痛みさえ日常になりかけていた11歳の時、人間は言った
「次は目を潰そう。」
僕は、何が何だかわからなかった。
目の前には先のとがったメスを持つ人。
それを僕の左目に近づける。
「やめっ、やめてっ……。
やめてくだっ…さい…」
震える僕声さえも彼らの笑いのネタになり、彼らは一切の躊躇なく、僕の左目をメスで突き刺した。
「ゔぁ!!」
僕の視界の左半分はこの日永久に消えた。
治らなかったのだ。
いつもように、傷も痛みも、消えなかったのだ。
僕が彼ら人間を心底憎み、もう生きる気力さえなくした時、一人の男が現れた。
それが、リーヴァ・ミラだった。
リーヴァ・ミラは、そこにいた人間を殴り飛ばすと僕に近づいて言った。
「もう大丈夫。君はもう苦しまなくていい。」
左目が見えなくても、リーヴァの目が今まで会ってきた誰よりも優しい目をしていたことは分かった。
潰された左目から血と涙が溢れた。
その後、僕はリーヴァに村へ連れて行ってもらった。
11年間、ミラ族がまだ生きてるなんて思いもしなかった僕にとって、森の奥深くで100人 ものミラ族が生きていたなんて驚きだった。
驚き立ち止まった僕に近づき
「その目大丈夫?」
と言って僕の顔をのぞき込んだ女の子がいた。その子がステラだった。
一目惚れだった。
僕はこの村で989年過ごした。
僕の左目は今も治らず見えない。
普段は包帯を巻き、過ごしている。
「アデル!」
丘の上でたそがれていると、聞きなれた声が耳の飛んでくる。
僕がゆっくり振り向くと、僕の方へ走ってくるステラがいた。
「何してるの?もう1週間も家に帰ってこないで。
お父さんが心配してるわ。」
「そう、ならそろそろ帰らないと。
リーヴァさんに心配をかけてはいけないな。」
僕はそう言って立ち上がった。
僕はあれからステラのうちでお世話になっている。
リーヴァさんが、あれから僕を育ててくれたのだ。
「何よ、私も心配してたのよ?」
「そうか、ありがと」
僕はそう微笑んでみせる。
「でも、リーヴァさんの護衛が1週間もいなくなってすまなかったよ。」
僕は剣を肩にかけた。
リーヴァさんは、僕に自身の護衛を命じた。
僕はリーヴァさんに恩があるため、快くひきうけた。
が、僕の左目は見えない。
そんな半端な護衛でいいのかと思いリーヴァさんにも、そう尋ねたことがある。
けれど、いつも笑って誤魔化す。
ほんとに僕でいいのか。
そんな疑問を浮かべながらも、僕はリーヴァさんを護るため日々鍛錬し、今では誰よりも強くなった。(リーヴァさんには劣るかもだが、)
「いや、お父さんには護衛なんていなくても大丈夫よ。
なんてったって、最強なんだから。」
ステラはそう誇らしげに言う。
「そうだな。」
「ただ今戻りました。」
僕は村の中心にある、ステラの家(僕の家でもある)の扉を開けた。
「帰ったか、アデル。」
そう言ってリーヴァさんが出迎えてくれた。
「お前がいない間大変だったんだぞ。」
「? すみません。
何か問題があったんですか?」
リーヴァさんが大変と言うくらいなのだから随分な問題があったのだろう。
「あぁ、お前がいない間、ステラが飯を作ったんだ。」
リーヴァさんはそう言ってステラを見つめる。
「だって、料理って難しいんだもん」
リーヴァさんに見つめられたステラはそう言って頬を膨らませる。
そういえば、ステラの料理は酷かった。
以前カレーを作った時、色はどす黒く、具はありえないほど大きかった。
もちろん味は言うまでもない。
「はぁ、」
僕はため息をついた。
「ステラ、」
「な、何よ」
「僕のいない時に、調理場に立たないでって言っただろ。」
「だって…」
「だってもクソもない。」
「うぅぅ」
ステラは俯く。
「また料理教えてやるから」
「ほんと!?」
さっきと打って変わって、瞳を輝かせながらステラは僕を見つめた。
「ーっー」
その表情に不覚にもキュンとしてしまう。
「う、うん。
また今度な」
僕はさりげなく視線を逸らす。
僕の心情を見透かしてか、リーヴァさんが心なしかニヤニヤしている。
「それより、アデル。
話がある。」
ずっとそう思ってきたのにどうしてか、彼女にあってからそう思えなくなった。
彼女というのは、この一族の族長の一人娘ステラ・ミラ。
美しい蜜柑色の髪に、真っ白な肌、美しい顔に光り輝く翡翠のような瞳、そして真っ赤な唇。
誰が見ても彼女を美しいと言ってしまうだろう。
ステラに出会ったのは僕が11歳の時。今から989年前かな。
僕らミラ族には、寿命はない。怪我だって大抵のものはすぐに治ってしまう。
戦闘能力は人間達の約5倍。
今戦争真っ只中の人間達にとって僕らはとっても素晴らしい兵器。
そりゃあ、世界中から勧誘される。
だけど、争いごとが嫌いな族長、つまりステラのお父さんリーヴァ・ミラは勧誘を全て断った。
すると人間は、そのミラ族の力を何としてでも手に入れようとした。
ミラ族の実力、生態、そして弱点。
人間達はそれを知ろうと、ミラ族の子ども(10歳未満)や女を連れ去り、人体実験を行った。
そのうちの一人が、僕を身ごもった僕の母だった。
人体実験の最中、僕を産んだ母は僕が乳離れするとそのまま死んでしまった。
そう、僕の母が人間の実験の初の成功例、悪魔の薬「ディアボ」が完成したのだった。
それからは見るに堪えない大虐殺。
人間達は脅しという名目で、ミラ族をどんどん殺していった。
僕は何故か殺されなかった。
死というものが理解できない歳で、ただ目の前でくり広げられる、争いを眺めていた。
ようやく、全てを理解した時には僕は最後の実験体になっていた。
殺さないように細心の注意が払われる中、僕は爪をはがれ、指を切られたが、どんなことをしても死なず指も爪もまた生えてきた。
次は腕、次は脚、痛みさえ日常になりかけていた11歳の時、人間は言った
「次は目を潰そう。」
僕は、何が何だかわからなかった。
目の前には先のとがったメスを持つ人。
それを僕の左目に近づける。
「やめっ、やめてっ……。
やめてくだっ…さい…」
震える僕声さえも彼らの笑いのネタになり、彼らは一切の躊躇なく、僕の左目をメスで突き刺した。
「ゔぁ!!」
僕の視界の左半分はこの日永久に消えた。
治らなかったのだ。
いつもように、傷も痛みも、消えなかったのだ。
僕が彼ら人間を心底憎み、もう生きる気力さえなくした時、一人の男が現れた。
それが、リーヴァ・ミラだった。
リーヴァ・ミラは、そこにいた人間を殴り飛ばすと僕に近づいて言った。
「もう大丈夫。君はもう苦しまなくていい。」
左目が見えなくても、リーヴァの目が今まで会ってきた誰よりも優しい目をしていたことは分かった。
潰された左目から血と涙が溢れた。
その後、僕はリーヴァに村へ連れて行ってもらった。
11年間、ミラ族がまだ生きてるなんて思いもしなかった僕にとって、森の奥深くで100人 ものミラ族が生きていたなんて驚きだった。
驚き立ち止まった僕に近づき
「その目大丈夫?」
と言って僕の顔をのぞき込んだ女の子がいた。その子がステラだった。
一目惚れだった。
僕はこの村で989年過ごした。
僕の左目は今も治らず見えない。
普段は包帯を巻き、過ごしている。
「アデル!」
丘の上でたそがれていると、聞きなれた声が耳の飛んでくる。
僕がゆっくり振り向くと、僕の方へ走ってくるステラがいた。
「何してるの?もう1週間も家に帰ってこないで。
お父さんが心配してるわ。」
「そう、ならそろそろ帰らないと。
リーヴァさんに心配をかけてはいけないな。」
僕はそう言って立ち上がった。
僕はあれからステラのうちでお世話になっている。
リーヴァさんが、あれから僕を育ててくれたのだ。
「何よ、私も心配してたのよ?」
「そうか、ありがと」
僕はそう微笑んでみせる。
「でも、リーヴァさんの護衛が1週間もいなくなってすまなかったよ。」
僕は剣を肩にかけた。
リーヴァさんは、僕に自身の護衛を命じた。
僕はリーヴァさんに恩があるため、快くひきうけた。
が、僕の左目は見えない。
そんな半端な護衛でいいのかと思いリーヴァさんにも、そう尋ねたことがある。
けれど、いつも笑って誤魔化す。
ほんとに僕でいいのか。
そんな疑問を浮かべながらも、僕はリーヴァさんを護るため日々鍛錬し、今では誰よりも強くなった。(リーヴァさんには劣るかもだが、)
「いや、お父さんには護衛なんていなくても大丈夫よ。
なんてったって、最強なんだから。」
ステラはそう誇らしげに言う。
「そうだな。」
「ただ今戻りました。」
僕は村の中心にある、ステラの家(僕の家でもある)の扉を開けた。
「帰ったか、アデル。」
そう言ってリーヴァさんが出迎えてくれた。
「お前がいない間大変だったんだぞ。」
「? すみません。
何か問題があったんですか?」
リーヴァさんが大変と言うくらいなのだから随分な問題があったのだろう。
「あぁ、お前がいない間、ステラが飯を作ったんだ。」
リーヴァさんはそう言ってステラを見つめる。
「だって、料理って難しいんだもん」
リーヴァさんに見つめられたステラはそう言って頬を膨らませる。
そういえば、ステラの料理は酷かった。
以前カレーを作った時、色はどす黒く、具はありえないほど大きかった。
もちろん味は言うまでもない。
「はぁ、」
僕はため息をついた。
「ステラ、」
「な、何よ」
「僕のいない時に、調理場に立たないでって言っただろ。」
「だって…」
「だってもクソもない。」
「うぅぅ」
ステラは俯く。
「また料理教えてやるから」
「ほんと!?」
さっきと打って変わって、瞳を輝かせながらステラは僕を見つめた。
「ーっー」
その表情に不覚にもキュンとしてしまう。
「う、うん。
また今度な」
僕はさりげなく視線を逸らす。
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「それより、アデル。
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