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6.言いたいこと
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「ありがとう、みんな」
リーヴァさんは今までに見た事のないような笑顔で言った。
「お、お父さん?
この騒ぎはなんです?」
僕達のその明るさは、ステラのその声で一瞬にして消えた。
今までの騒ぎに気づいてなかったのだろう、不思議な顔をして僕らに近づいてくる。
「ステラ…」
リーヴァさんが、言いよどむ。
ここにいる全員がそうだ。
ステラには言いたくないのだ。
なぜかと聞かれれば答えられないが、何故だろう。
ステラにはずっと笑っていて欲しい。
「お父さん?」
ステラは眠たげな目をこすり、首をかしげている。
「―っ―」
リーヴァさんが、完全に黙ってしまう。
「も、もしかして…!」
ステラが何かに勘づいた。
「ステラ!!」
僕はステラが何かを言う前に口を挟んだ。
「丘…、そう!丘にね、
滅多に咲かない月下美人が咲いていたんだ。
い、今から見に行こう!ね?」
僕の慌てぶりにステラは疑い始める。
「どうして今なのです?
どうしてみんな出てきているのです?」
「ほ、ほら!
今日見に行かないと、次見られるのはいつになるか…」
僕は、ステラの疑問に答えることなく言葉を続ける。
「そうよ!ステラ様。
アデルと見に行ってらっしゃいよ。」
気を利かせて、近所のおばちゃんが言う。
「そうさ!月下美人が見れるなんてね
しっかり見ておいでよ、ステラ様」
続けておじちゃんも言う。
気づくなとまでは言わない。
逆に気づいて欲しい。
今、我々が何を望むか。
なんのためにこんなくさい芝居をしているのか。
ステラ、お願いだから気づいて欲しい。
みんなの思いに。
「ステラ」
黙りきっていたリーヴァさんが、口を開いた。
「は、い?」
ステラはリーヴァさんの方へ向く。
「行っておいで、
アデルから離れないようにな」
リーヴァさんは、そう言うと直ぐにステラから目を逸らした。
もう、人間達がここまで入ってきてもおかしくない。
(急がないと…)
「ステラ、行くよ。」
僕はステラの手を握り、引いて歩き出した。
「あ、アデル…?」
僕はステラの瞳も村の人々のほうも、リーヴァさんの顔も見なかった。
振り返らずに、真っ直ぐ丘へ向かって歩き出した。
なんてムードのないお別れなのだろう。
いや、お別れなど縁起でもないことを言うもんじゃないな。
きっと人間達と仲良くなって、生きて僕達の元へ帰ってきてくれるはず。
僕はステラを握る手に力を入れた。
「アデル…い、痛い」
「え、ご、ごめん。」
僕はステラから手を離した。
僕が掴んでいたステラの腕が、赤くなっている。
無意識のうちに力が入っていたのだろうか。
ここは丘のすぐ手前。
村から少し離れている、が、安心はできない。
「ねぇ、アデル。」
ステラは僕を真剣に見つめる。
「君は生きないといけないんだよ。」
またもや、僕はステラが言う前に口を開いた。
「僕だって、あの場にいたかった…。」
リーヴァさんは今までに見た事のないような笑顔で言った。
「お、お父さん?
この騒ぎはなんです?」
僕達のその明るさは、ステラのその声で一瞬にして消えた。
今までの騒ぎに気づいてなかったのだろう、不思議な顔をして僕らに近づいてくる。
「ステラ…」
リーヴァさんが、言いよどむ。
ここにいる全員がそうだ。
ステラには言いたくないのだ。
なぜかと聞かれれば答えられないが、何故だろう。
ステラにはずっと笑っていて欲しい。
「お父さん?」
ステラは眠たげな目をこすり、首をかしげている。
「―っ―」
リーヴァさんが、完全に黙ってしまう。
「も、もしかして…!」
ステラが何かに勘づいた。
「ステラ!!」
僕はステラが何かを言う前に口を挟んだ。
「丘…、そう!丘にね、
滅多に咲かない月下美人が咲いていたんだ。
い、今から見に行こう!ね?」
僕の慌てぶりにステラは疑い始める。
「どうして今なのです?
どうしてみんな出てきているのです?」
「ほ、ほら!
今日見に行かないと、次見られるのはいつになるか…」
僕は、ステラの疑問に答えることなく言葉を続ける。
「そうよ!ステラ様。
アデルと見に行ってらっしゃいよ。」
気を利かせて、近所のおばちゃんが言う。
「そうさ!月下美人が見れるなんてね
しっかり見ておいでよ、ステラ様」
続けておじちゃんも言う。
気づくなとまでは言わない。
逆に気づいて欲しい。
今、我々が何を望むか。
なんのためにこんなくさい芝居をしているのか。
ステラ、お願いだから気づいて欲しい。
みんなの思いに。
「ステラ」
黙りきっていたリーヴァさんが、口を開いた。
「は、い?」
ステラはリーヴァさんの方へ向く。
「行っておいで、
アデルから離れないようにな」
リーヴァさんは、そう言うと直ぐにステラから目を逸らした。
もう、人間達がここまで入ってきてもおかしくない。
(急がないと…)
「ステラ、行くよ。」
僕はステラの手を握り、引いて歩き出した。
「あ、アデル…?」
僕はステラの瞳も村の人々のほうも、リーヴァさんの顔も見なかった。
振り返らずに、真っ直ぐ丘へ向かって歩き出した。
なんてムードのないお別れなのだろう。
いや、お別れなど縁起でもないことを言うもんじゃないな。
きっと人間達と仲良くなって、生きて僕達の元へ帰ってきてくれるはず。
僕はステラを握る手に力を入れた。
「アデル…い、痛い」
「え、ご、ごめん。」
僕はステラから手を離した。
僕が掴んでいたステラの腕が、赤くなっている。
無意識のうちに力が入っていたのだろうか。
ここは丘のすぐ手前。
村から少し離れている、が、安心はできない。
「ねぇ、アデル。」
ステラは僕を真剣に見つめる。
「君は生きないといけないんだよ。」
またもや、僕はステラが言う前に口を開いた。
「僕だって、あの場にいたかった…。」
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