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メイドが走り去ってから数分。考えることすら億劫だったアイリーンは、ボーっと天井をみて彼女が戻ってくるのを待っていた。
すると程なくして、今度はドタバタと数人分の足音が聞こえてきた。
おや、と思った次の瞬間にはもう、勢いよく自室のドアが開かれていた。
「アイリーン、目が覚めたのか!?」
「よかった、本当に良かった!心配していたのよ……!!」
部屋に飛び込んできた両親に思いっきり抱きしめられたアイリーンは、少し大袈裟だなと思っていたのだが、彼らの背後でそっと涙ぐむメイドを見て、そして何よりこの場に妹のクラリスがいないことに、彼女の嫌な予感は最高潮に達した。
「お……お母様、お父様……。私は一体、どれほどの間眠っていたのですか…………?」
そう聞くと、どうやら自分は自宅の窓から転落して意識を失ってしまったのだと言う。3階にあるティールームの窓の下は運よく茂みになっていたおかげでなんとか一命を取り留めたのだという。さらに幸運なことに、大きな傷跡は一つも残らず、ただアイリーンがいつまでも目覚めないことに不安と焦燥を感じていたという。
そこまで言ったのち、なぜか二人は黙り込んでしまった。互いに視線を交わし、まるでどちらが次に続く言葉を言うのか目線で相談しているようだ。
続きを促すように彼らを見つめていると、なぜか二人は言いずらそうに何度か口を開閉したのち、聞き取るのがやっとなほどの声量で、アイリーンは「ひと月の間眠っていた」のだと言った。
「ひと月…………?それでは私とギルバート殿下の婚約式は……。」
「三日前だった。だが安心しろ。『スチュアート侯爵家の令嬢と王太子の婚約式』は、滞りなく完了した。わがスチュアート侯爵家からはクラリスが出席してくれたからな。」
メイドが走り去ってから数分。考えることすら億劫だったアイリーンは、ボーっと天井をみて彼女が戻ってくるのを待っていた。
すると程なくして、今度はドタバタと数人分の足音が聞こえてきた。
おや、と思った次の瞬間にはもう、勢いよく自室のドアが開かれていた。
「アイリーン、目が覚めたのか!?」
「よかった、本当に良かった!心配していたのよ……!!」
部屋に飛び込んできた両親に思いっきり抱きしめられたアイリーンは、少し大袈裟だなと思っていたのだが、彼らの背後でそっと涙ぐむメイドを見て、そして何よりこの場に妹のクラリスがいないことに、彼女の嫌な予感は最高潮に達した。
「お……お母様、お父様……。私は一体、どれほどの間眠っていたのですか…………?」
そう聞くと、どうやら自分は自宅の窓から転落して意識を失ってしまったのだと言う。3階にあるティールームの窓の下は運よく茂みになっていたおかげでなんとか一命を取り留めたのだという。さらに幸運なことに、大きな傷跡は一つも残らず、ただアイリーンがいつまでも目覚めないことに不安と焦燥を感じていたという。
そこまで言ったのち、なぜか二人は黙り込んでしまった。互いに視線を交わし、まるでどちらが次に続く言葉を言うのか目線で相談しているようだ。
続きを促すように彼らを見つめていると、なぜか二人は言いずらそうに何度か口を開閉したのち、聞き取るのがやっとなほどの声量で、アイリーンは「ひと月の間眠っていた」のだと言った。
「ひと月…………?それでは私とギルバート殿下の婚約式は……。」
「三日前だった。だが安心しろ。『スチュアート侯爵家の令嬢と王太子の婚約式』は、滞りなく完了した。わがスチュアート侯爵家からはクラリスが出席してくれたからな。」
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