【完結】婚約者を奪われましたが、彼が愛していたのは私でした

珊瑚

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「侯爵家と縁を切るつもりは無いか?」
「……え?いやでも、ですから領民が……。」
「まあまあ、少しだけ耳を傾けて欲しい。」

人の話、聞いてたか?とでも思っているであろう胡乱な視線を向けてくるアイリーンをなんとか宥めすかして話を聞いてもらうことにした。

アイリーンとギルバートは、婚約が内定したすぐ後から、いくつかの政策を推し進めていた。それは、地方都市の再開発であったり、新たな交易路の確保など、中にはハイリスクなものも多く、即位前の、ある程度融通のきく身分をうまく活用したものが多かった。それは、数年から数十年を見据えたものが多く、全ては彼らが結婚し、即位したのちに結果を出すつもりでいたものがほとんどであった。だが、前述した二つの事業の相乗効果で、思わぬ副産物が生み出されたのだ。彼らが婚約最初に取り組んだ事業だ。
彼らが目をつけたのは北方の港町だった。一年を通して涼しく、だが冬に港が凍ることもない。だが伝統を大切にするあまり若者の都市への流出が止まらず、後継がいないことが大きな問題だった。
そこだ二人は、巨額の資金を投じて地元住民と話し合いを重ね、景観を損なわないことを条件に国営企業の大きな工場をたて、輸出港までの輸送コストを抑えることに成功した。それを聞きつけた大企業も港町に同様の工場や支店を設け、若者の流出が比較的収まってきたかに見えた。
そして、港町の特性上、多くの外国人が訪れ、治安問題も抱えていたが、企業が増えたことで常駐する警備員、及び国営企業もあることで合法的に兵士の配置も増やすことができたため、徐々に改善しているという。
そして、予想外だったのは観光客の増加だ。
彼らの伝統や景観を大切にしたいとの意見に耳を傾け、彼らを尊重したのが功を奏し、一種の観光スポットと化した。都市の収入が増えれば自然、納税額も増える。特に今回は国が介入したことが大きな要因となっているため、収入が増えると一定数現れる、脱税しようとする者も現れなかった。

そこで、国に莫大な利益をもたらしたアイリーンに新たな爵位を与えようとの話が持ち上がっている。

そこでギルバートは一度話を切った。
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