お望み通り、別れて差し上げます!

珊瑚

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何故、あれ程までに伯爵が激怒していたのか、リオルにはさっぱり理解出来なかった。しかし、ファルコの話を聞いた後ならばどうだろうか。彼は今、自身がやらかした事の重大さに初めて気が付いたのだった。もしもリオルとフェリアの婚約が、リオルの意思を完全に無視して、恋人同士であったカミラとリオルの仲を引きざいて結ばれたものだったとしたら、まだ同情の余地も少しは
あったかもしれない。しかしリオルには、その婚約話が持ち上がった時、二つ返事で了承した覚えがあった。その時は、カミラとリオルは恋仲でも何でもなかった。つまりはただの不倫。それによって、伯爵家の将来図をめちゃくちゃにしてしまったのだ。

「お、お待ち下さい、それならばもう一度…………。」
「まぁ、だが今更考えたって仕方のない事だ。」

リオルが慌てて何かを言おうとしたが、それに聞こえない振りをしてさえぎる。

「お前にとってはブレイズ伯爵家の繁栄よりも、将来の地位よりも、自分の社会的な信用よりもそこの女の方が大切だった。そういう事だったんだろう?」

リオルが何を言おうとするかなんてこと、ファルコにはお見通しだったのである。カミラはどうだか知らないが、リオルは何となく都合の良い場所にカミラがいて、禁断の恋という状況に酔っているだけなのだ。そこに明確な不都合が生じてしまった時、とてつもなく大きなものを失ったと気付いてしまった時、きっと大慌てでヨリを戻そうとして来るなんてこと、分かりきっていたのだ。

「ま、待ってくれ…………。そうだ、 なぁフェリア、僕達、やり直そう!お前だってまだ僕の事が好きだろう……………?」

ファルコに取り付く島もないと気が付くと、リオルは標的をフェリアに変更した。
婚約期間の中で、フェリアが自分の事を異性として好いていることを見抜いていたリオルは、取り入る隙があるとしたらそこだと考えたのだ。きっと自分と復縁できると分かったフェリアは泣いて喜んでくれるだろう。そうすれば伯爵家の問題を解決である。そうリオルは考えていたのだった。
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