隣はやっぱり君がいい

乃愛

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第七話 克己

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花凛は、返事をせず黙っていた。すると扉の向こうから、先程とは違う声が聞こえた。
「あの、林花凛さんですか?」か弱く花凛に寄り添うような優しい声だった。
「・・え?」「私、隣のクラスの松嶺子です。いつもここで本読んでる人がいるの気付いてて、話してみたいなって思ってたんです。でも、さっきの子達が来ててお話を聞いたら名前を教えてくれて。」
「・・なんなの。あいつらに連れてこいとでも頼まれたわけ?」花凛は棘のある声で警戒した。
「違います!あの・・・一回出てきて頂けませんか?先生にも報告して保健室で休めるように話をつけてきたので。」話を聞くと、彼女は1年で生徒会長をしていて先生たちからの信頼も厚いらしい。今日は彼女も保健室の付き添いとして授業を休めるようになったらしい。  花凛はそっと扉を開くと彼女の顔を見た。泣き腫らした目だったので少し恥ずかしかったが、彼女は花凛の顔を見て安心したような顔をした。
「はぁ・・よかった。さぁ、行きましょう。」嶺子は微笑んで花凛を保健室へ案内した。
保健室に着くと、先生は不在で二人きりになった。
「あのさ・・何で私の事、助けてくれたの?」花凛はまだ彼女を警戒していた。
「うーん・・・あの現場を見て助けないような臆病な自分には負けたくなかった、って言えばいいんですかね。言っちゃえば自己満足なんですけど。助けたかった気持ちもありますよ勿論。でも、あの場で逃げたくなかったんです。」
嶺子は立ち尽くしていた花凛をベッドへ促した。
「・・・でもさ、怖かったでしょ。私に話しかけるの。だって助けたらあなたまで被害に遭うかもしれない。生徒会長だろうが、負う傷は一緒じゃない?」
「元々責任感は強くって。いじめられても全く動じないんですよね、不思議でしょ、いじめてる側の人が飽きるくらいに屈さないんですよねー。ふふっ」
メンタルが強い子だと思った。今の花凛とは真反対と言える。花凛はだんだん彼女に自分のことを打ち明けた。
「大変でしたよね、そんな不幸な出来事が連続で。」半分泣きべそをかいていた花凛は素直に頷いた。
「その人達に弁解とかしなかったんですか?」 「きっとあの子達に何を言っても言い訳にしか取ってもらえないと思う。無駄なんだよ、ああいう子達には正論なんか通らない。」
「・・・私、今度の先生達を交えた会議で報告しましょうか?」花凛は首を横に振った。 「絶対だめ、私も嶺子みたいに強くなれるように努力する。だから大丈夫
今日、嶺子に出会って話を聞いてもらって、すごい元気出たし。ありがとう。」
「いえ、私いつもお昼休憩にはカウンセラールームにいるのできてください。」
「うん。ありがと。じゃあ・・・そろそろ教室に戻るね」花凛はもう一度お礼を言って、保健室を後にした。

それから二人は仲良くなり、卒業後も二人の仲は続いた。
いじめは自然と消えて、元友人らと話す事はそれ以降なかった。そして 匠とも
花凛は大学へ進学し、夢だった作家になった。
誰もが彼女は将来有望な作家だと信じていた。そして彼女は生涯永遠に作家だと。
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