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第八話 別れ
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花凛は、現在大学四年生になっていた。大学に行きながらも、作家として活動し自分が作家であることは仕事上で付き合う相手と特定の友人だけが知っていた。
花凛はいつも通り原稿を持ち込んでいた。
「すいません、田中美咲編集者をお願いします。」受付嬢にそう伝える。
「お名前をお伺いしてもよろしいですか?」花凛は自分の名前を伝えると、近くにあった椅子に腰をかけた。
2分後 受付嬢に呼ばれ受付に戻る。
「田中は既に辞職しているそうです。」「は?あの、私田中さんの担当作家なんですけど、・・では編集長をお願いできますか?」
「あ・・・はい。」受付嬢は少し困った様子を見せたが、編集長を呼び出せたようだ。5分後 慌てて編集長が走ってきた。
「いやぁ、林さんすまんねぇ。ささ、こっちへ」編集長はハンカチで汗を拭うと、近くの喫茶店へ花凛を促した。
「あの、ちゃんとお話いただけますか。田中さんがいらっしゃらないとはどういう事です?」 「まぁまぁ、何か頼むかね。」 あからさまに話を逸らす編集長に花凛は少し怒りを覚えた。
「まず、お話をお聞き致します。」花凛はメニューを開こうとする編集長の手を止め、メニューを強引に奪い取る。
「あぁ・・・僕にもよくわからないんだよ。」話を聞くと、2日前田中はいつも通り出社すると、誰もいない会議室に編集長を呼び出し、退職する旨を伝えたという。理由を聞くと、それは話したくないので聞かないでほしいと土下座されたらしい。
「意味わかんない・・・とりあえず田中さんに電話取り次いでください。納得できません。私に何の相談もなしに辞職なんて、理由を聞く権利が私にはあります。」
「いや・・でもね林さん」 「編集長の異論は申し訳ございませんが聞けません。まずは田中さんに電話を取り次いでください」編集長は渋々電話を掛けた。
「・・・あ、田中さん?うん、僕だよ。うん、うん。」つまらない世間話を始めた編集長の携帯を奪い取ると、
「田中さん?はい、林です。辞職のお話は伺いましたが私は納得できません。ちゃんと理由を聞かせてください。・・・残念です。私は田中さんにとって信頼できない存在だったんですね」 田中はそれまで黙っていたが、花凛が電話を切ろうとしないので、渋々電話に応じた。
「・・・すいません。理由は言えないんです。林さんを信頼してないわけではなくて・・・。」 「じゃあ何故なんですか?私にも言えないような事なんですか?」
「・・実は、社内に婚約相手がいるんです。だけど・・・それがきっかけで彼の同期の女性社員達にいじめられるようになって・・・。」
(いじめ)という言葉に過剰に反応してしまったが、喫茶店で聞く話ではないと判断し、鞄を持って喫茶店を出る用意をした。
「すいません、編集長。後で携帯、お返しします」一礼すると花凛は走って店を出た。幸い、近くに漫画喫茶があり、そこに入って部屋を取りトイレに駆け込んだ。
「いじめってどういうこと?」 「・・・近くを通るとクスクス笑われたり、会議書類をカッターで切られたり。本当に子供じみた事で、気にしないようにしてたんですけど、だんだんエスカレートしてきて・・・。もう限界なんです。ごめんなさい。彼との関係をどうするかは後日決めます。だけどとにかく、あの職場にはもう居たくない・・・・。」
いじめをされる人の気持ちは花凛には痛いほど分かった、だからこそ
それ以上彼女を止める事はできなかった。
「・・・そう。分かったわ。こちらこそごめんなさい。これから平和に暮らせる事を願ってる。」 「ありがとうございます・・。じゃあ、失礼します。」
花凛は電話を切ると、漫画喫茶を出て先程の喫茶店へ向かった
「すいません、遅くなりました。携帯ありがとうございました、田中さんには辞めていただくようになりました。それで相談なんですが、移籍について・・・」
「移籍!?だめだよ、林さんはうちの新進気鋭の新人作家として売れてもらわないと!」 「はぁ・・・では、新しい編集者を3日以内に探してください。もしそれが無理なのであれば移籍を考えます。」
「分かった。じゃあ3日後うちに来てくれ。」 「えぇ、分かりました。では失礼します。」 再び一礼して喫茶店を後にする。
3日後 花凛の人生が変わる。
花凛はいつも通り原稿を持ち込んでいた。
「すいません、田中美咲編集者をお願いします。」受付嬢にそう伝える。
「お名前をお伺いしてもよろしいですか?」花凛は自分の名前を伝えると、近くにあった椅子に腰をかけた。
2分後 受付嬢に呼ばれ受付に戻る。
「田中は既に辞職しているそうです。」「は?あの、私田中さんの担当作家なんですけど、・・では編集長をお願いできますか?」
「あ・・・はい。」受付嬢は少し困った様子を見せたが、編集長を呼び出せたようだ。5分後 慌てて編集長が走ってきた。
「いやぁ、林さんすまんねぇ。ささ、こっちへ」編集長はハンカチで汗を拭うと、近くの喫茶店へ花凛を促した。
「あの、ちゃんとお話いただけますか。田中さんがいらっしゃらないとはどういう事です?」 「まぁまぁ、何か頼むかね。」 あからさまに話を逸らす編集長に花凛は少し怒りを覚えた。
「まず、お話をお聞き致します。」花凛はメニューを開こうとする編集長の手を止め、メニューを強引に奪い取る。
「あぁ・・・僕にもよくわからないんだよ。」話を聞くと、2日前田中はいつも通り出社すると、誰もいない会議室に編集長を呼び出し、退職する旨を伝えたという。理由を聞くと、それは話したくないので聞かないでほしいと土下座されたらしい。
「意味わかんない・・・とりあえず田中さんに電話取り次いでください。納得できません。私に何の相談もなしに辞職なんて、理由を聞く権利が私にはあります。」
「いや・・でもね林さん」 「編集長の異論は申し訳ございませんが聞けません。まずは田中さんに電話を取り次いでください」編集長は渋々電話を掛けた。
「・・・あ、田中さん?うん、僕だよ。うん、うん。」つまらない世間話を始めた編集長の携帯を奪い取ると、
「田中さん?はい、林です。辞職のお話は伺いましたが私は納得できません。ちゃんと理由を聞かせてください。・・・残念です。私は田中さんにとって信頼できない存在だったんですね」 田中はそれまで黙っていたが、花凛が電話を切ろうとしないので、渋々電話に応じた。
「・・・すいません。理由は言えないんです。林さんを信頼してないわけではなくて・・・。」 「じゃあ何故なんですか?私にも言えないような事なんですか?」
「・・実は、社内に婚約相手がいるんです。だけど・・・それがきっかけで彼の同期の女性社員達にいじめられるようになって・・・。」
(いじめ)という言葉に過剰に反応してしまったが、喫茶店で聞く話ではないと判断し、鞄を持って喫茶店を出る用意をした。
「すいません、編集長。後で携帯、お返しします」一礼すると花凛は走って店を出た。幸い、近くに漫画喫茶があり、そこに入って部屋を取りトイレに駆け込んだ。
「いじめってどういうこと?」 「・・・近くを通るとクスクス笑われたり、会議書類をカッターで切られたり。本当に子供じみた事で、気にしないようにしてたんですけど、だんだんエスカレートしてきて・・・。もう限界なんです。ごめんなさい。彼との関係をどうするかは後日決めます。だけどとにかく、あの職場にはもう居たくない・・・・。」
いじめをされる人の気持ちは花凛には痛いほど分かった、だからこそ
それ以上彼女を止める事はできなかった。
「・・・そう。分かったわ。こちらこそごめんなさい。これから平和に暮らせる事を願ってる。」 「ありがとうございます・・。じゃあ、失礼します。」
花凛は電話を切ると、漫画喫茶を出て先程の喫茶店へ向かった
「すいません、遅くなりました。携帯ありがとうございました、田中さんには辞めていただくようになりました。それで相談なんですが、移籍について・・・」
「移籍!?だめだよ、林さんはうちの新進気鋭の新人作家として売れてもらわないと!」 「はぁ・・・では、新しい編集者を3日以内に探してください。もしそれが無理なのであれば移籍を考えます。」
「分かった。じゃあ3日後うちに来てくれ。」 「えぇ、分かりました。では失礼します。」 再び一礼して喫茶店を後にする。
3日後 花凛の人生が変わる。
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