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第10話
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『絢芽へ
今日で俺たちが付き合って一年になるね。俺は絢芽と付き合えて本当によかった、いつもありがとう!絢芽はいつも静かで真面目で勉強も運動も得意で、非の打ち所がない女の子だなって付き合う前は思ってたけど、付き合ってみると苦手なこととか意外とおっちょこちょいなとことか分かって改めてかわいいなって思うことが増えたよ。けど最近、絢芽に避けられているような気がして不安な毎日を送ってるんだ。絢芽は本当にかわいいし優しいし、褒めたら止まらないくらいいいところがいっぱいあるから、時々思うんだ。もし俺じゃない誰かに言い寄られて、絢芽がその人を好きになったらどうしようって。絢芽の隣にいるのが恥ずかしいくらい俺ってだめな人間だからさ。
俺よりかっこいいやつなんていっぱいいるし、優しいやつもいっぱいいるから、時々怖くなるんだ。もし、俺以外の人が好きなら言ってほしい。俺は絢芽の気持ちが知りたいんだ。
長くなったけど、一緒にいてくれてありがとう。好きだよ。 修』
「修…」
小宮さんはずっと自分だけが劣等感を抱き、不安になっていると思っていた。だから手紙に綴られた修の思いを初めて知り、自らの自分本位な行動が嫌になった。
「なんで…なんで私は…っ」
涙が止まらなかった。拭っても拭っても溢れる涙とやるせない思いが小宮さんを襲った。
愛する恋人を失った絶望感はその後も彼女に付きまとった。
以前の明るい笑顔は取り戻されることはなく、彼女は元気に笑顔を振りまいていたつもりでも、家族にはわかってしまったのだ。彼女の笑顔はもう、以前のように輝いていない。
どう頑張ろうとすべて作り笑顔のように見えてしまう。そして彼女はいつも、部屋で静かに泣いているそうだ。時折隣の部屋にも、修…と呟く声が聞こえるという。
小宮さんは今でも彼を忘れられずにいる。だから絢香ちゃんは僕が彼女を想い続ける事をやめた方がいいと言った。
「お姉ちゃんはもう、昔のお姉ちゃんじゃないんです。もう…一人で生きていくって決めてるんです。たとえどんなに、気になる人ができても。」
「…そっか。でも、それでも僕、小宮さんが好きなんだ。簡単に忘れられるほど中途半端な気持ちで好きになってないから、ごめん。」
「…そうですよね。…行って…くれませんか。」
「え?」
「私、小動さんを試したんです。本当にお姉ちゃんが好きなのかどうか。でも小動さんの想いは本物です。だから早くお姉ちゃんに想い伝えてくれませんか。もう一度お姉ちゃんの笑顔が見たいんです。…昨日の夜、お姉ちゃんの部屋から聞こえたんです。」
ああ、だから今日絢香ちゃんは僕に会いに来たんだ。僕に助けを求めて。
”修、私そろそろそっちに行くねって”
今日で俺たちが付き合って一年になるね。俺は絢芽と付き合えて本当によかった、いつもありがとう!絢芽はいつも静かで真面目で勉強も運動も得意で、非の打ち所がない女の子だなって付き合う前は思ってたけど、付き合ってみると苦手なこととか意外とおっちょこちょいなとことか分かって改めてかわいいなって思うことが増えたよ。けど最近、絢芽に避けられているような気がして不安な毎日を送ってるんだ。絢芽は本当にかわいいし優しいし、褒めたら止まらないくらいいいところがいっぱいあるから、時々思うんだ。もし俺じゃない誰かに言い寄られて、絢芽がその人を好きになったらどうしようって。絢芽の隣にいるのが恥ずかしいくらい俺ってだめな人間だからさ。
俺よりかっこいいやつなんていっぱいいるし、優しいやつもいっぱいいるから、時々怖くなるんだ。もし、俺以外の人が好きなら言ってほしい。俺は絢芽の気持ちが知りたいんだ。
長くなったけど、一緒にいてくれてありがとう。好きだよ。 修』
「修…」
小宮さんはずっと自分だけが劣等感を抱き、不安になっていると思っていた。だから手紙に綴られた修の思いを初めて知り、自らの自分本位な行動が嫌になった。
「なんで…なんで私は…っ」
涙が止まらなかった。拭っても拭っても溢れる涙とやるせない思いが小宮さんを襲った。
愛する恋人を失った絶望感はその後も彼女に付きまとった。
以前の明るい笑顔は取り戻されることはなく、彼女は元気に笑顔を振りまいていたつもりでも、家族にはわかってしまったのだ。彼女の笑顔はもう、以前のように輝いていない。
どう頑張ろうとすべて作り笑顔のように見えてしまう。そして彼女はいつも、部屋で静かに泣いているそうだ。時折隣の部屋にも、修…と呟く声が聞こえるという。
小宮さんは今でも彼を忘れられずにいる。だから絢香ちゃんは僕が彼女を想い続ける事をやめた方がいいと言った。
「お姉ちゃんはもう、昔のお姉ちゃんじゃないんです。もう…一人で生きていくって決めてるんです。たとえどんなに、気になる人ができても。」
「…そっか。でも、それでも僕、小宮さんが好きなんだ。簡単に忘れられるほど中途半端な気持ちで好きになってないから、ごめん。」
「…そうですよね。…行って…くれませんか。」
「え?」
「私、小動さんを試したんです。本当にお姉ちゃんが好きなのかどうか。でも小動さんの想いは本物です。だから早くお姉ちゃんに想い伝えてくれませんか。もう一度お姉ちゃんの笑顔が見たいんです。…昨日の夜、お姉ちゃんの部屋から聞こえたんです。」
ああ、だから今日絢香ちゃんは僕に会いに来たんだ。僕に助けを求めて。
”修、私そろそろそっちに行くねって”
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