俺の居候はあいつの妹

乃愛

文字の大きさ
1 / 10

第一話

しおりを挟む
2年前、あいつの妹は突然姿を消した。一文の置き手紙は別れにしては薄い内容だった。
「おい、どうすんだよ。警察とか・・」零司は菊矢に問いかけるが、冷静な顔つきで首を振った。
「・・いいよ、そのうち帰ってくるだろ。母さんと父さんのとこ行ってくるわ。」
菊矢は部屋を出るとリビングに向かった。母と父がソワソワしている。
「菊矢、ねぇ莉帆は・・。莉帆は無事なのかしら、誘拐でもされたんじゃ・・・」
「落ち着けって。誘拐なんてされたら置き手紙なんて置いてくわけないだろ。とりあえず父さん、母さんを頼む。じゃあ俺予備校行ってくる。零司には帰ってもらうし。」
菊矢は零司に帰るよう促すと父にアイコンタクトを取って出掛けた。
「なぁ菊矢、予備校なんて行ってる場合かよ!莉帆ちゃんもし家出とかしたら・・」 「お前も心配性すぎ。大体中2のあいつが家出して何ができるんだよ。金もロクに持ってないのに。すぐ帰ってくる」
「まぁそうだけど・・少し心配してやるとかさ。」
「うざい。つーかお前身内じゃねー奴の事よくそんなに心配できるよな。」
「・・・身内じゃなくても心配だよ。」 「ふーん、じゃあ俺こっちだから。」
菊矢は予備校へ足を進めた。 だがそれから2年弱、莉帆は帰ってこなかった。
母も父も警察に駆け込み、捜索してもらったが結局成果はなく2年の月日が経った
母はショックで寝たきりになり、父は母の看護と仕事に追われノイローゼで死去。
菊矢は地元を離れ、零司と共に上京。現在高校3年生となっていた。
「よっ、菊矢ー」 「ん、じゃあ行こう。」
18の秋、若干の寒さを感じる季節に2人は東京のあるアニメ関連のショップに来ていた。
「うぉっ!可愛いなこれ。」菊矢はアニメが好きでアニメグッズの買い物に付き合わされる事も多かった。
「あ、ごめん。俺今日用事あったんだわ。忘れてた、じゃあ!」
零司は時間を見てわざとらしく抜けた。
「ふぅ・・・。買い物して帰るか・・。」そろそろ日も暮れていたので零司はスーパーに寄って自宅に戻った。
「・・ん?誰だ」遠目から見て、零司のアパートの前に少女が立っているのが見えた。零司の部屋の前だ。
「・・・え!?もしかして・・莉帆ちゃん?」胸の下辺りまで伸びた長く美しい髪の少女が振り返った。
「零司さん・・!」ベージュのコートに白いワンピースを着た彼女は零司を見ると途端に目を潤わせて駆け寄ってきた。
「うわぁ!莉帆ちゃん・・なのか?」潤った目で零司を見つめると、もう一度下を向いて莉帆はこくんと頷いた。
「どこに行ってたの?皆心配してて・・俺の家、何で分かったのかな」
「・・零司さんの家なのは分からなかった。だけどここのアパートに前知り合いが居て、だけど今は住んでないって言われてその人を探してたの。だからここにたどり着いた。どこに行ってたかは・・・聞かないで欲しい。」
「そっか・・分かった。聞かないけど、一旦お兄さんとかご家族に会おう?お父さんの悲報は聞いた?・・・亡くなったんだ。お母さんは俺にも分からないけど」
「・・やだ。お母さんにもお兄ちゃんにも会いたくないの。だからお願い、零司さんの所に泊めて!」
「はっ!?」零司は目を瞠った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写と他もすべて架空です。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...