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第一話
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2年前、あいつの妹は突然姿を消した。一文の置き手紙は別れにしては薄い内容だった。
「おい、どうすんだよ。警察とか・・」零司は菊矢に問いかけるが、冷静な顔つきで首を振った。
「・・いいよ、そのうち帰ってくるだろ。母さんと父さんのとこ行ってくるわ。」
菊矢は部屋を出るとリビングに向かった。母と父がソワソワしている。
「菊矢、ねぇ莉帆は・・。莉帆は無事なのかしら、誘拐でもされたんじゃ・・・」
「落ち着けって。誘拐なんてされたら置き手紙なんて置いてくわけないだろ。とりあえず父さん、母さんを頼む。じゃあ俺予備校行ってくる。零司には帰ってもらうし。」
菊矢は零司に帰るよう促すと父にアイコンタクトを取って出掛けた。
「なぁ菊矢、予備校なんて行ってる場合かよ!莉帆ちゃんもし家出とかしたら・・」 「お前も心配性すぎ。大体中2のあいつが家出して何ができるんだよ。金もロクに持ってないのに。すぐ帰ってくる」
「まぁそうだけど・・少し心配してやるとかさ。」
「うざい。つーかお前身内じゃねー奴の事よくそんなに心配できるよな。」
「・・・身内じゃなくても心配だよ。」 「ふーん、じゃあ俺こっちだから。」
菊矢は予備校へ足を進めた。 だがそれから2年弱、莉帆は帰ってこなかった。
母も父も警察に駆け込み、捜索してもらったが結局成果はなく2年の月日が経った
母はショックで寝たきりになり、父は母の看護と仕事に追われノイローゼで死去。
菊矢は地元を離れ、零司と共に上京。現在高校3年生となっていた。
「よっ、菊矢ー」 「ん、じゃあ行こう。」
18の秋、若干の寒さを感じる季節に2人は東京のあるアニメ関連のショップに来ていた。
「うぉっ!可愛いなこれ。」菊矢はアニメが好きでアニメグッズの買い物に付き合わされる事も多かった。
「あ、ごめん。俺今日用事あったんだわ。忘れてた、じゃあ!」
零司は時間を見てわざとらしく抜けた。
「ふぅ・・・。買い物して帰るか・・。」そろそろ日も暮れていたので零司はスーパーに寄って自宅に戻った。
「・・ん?誰だ」遠目から見て、零司のアパートの前に少女が立っているのが見えた。零司の部屋の前だ。
「・・・え!?もしかして・・莉帆ちゃん?」胸の下辺りまで伸びた長く美しい髪の少女が振り返った。
「零司さん・・!」ベージュのコートに白いワンピースを着た彼女は零司を見ると途端に目を潤わせて駆け寄ってきた。
「うわぁ!莉帆ちゃん・・なのか?」潤った目で零司を見つめると、もう一度下を向いて莉帆はこくんと頷いた。
「どこに行ってたの?皆心配してて・・俺の家、何で分かったのかな」
「・・零司さんの家なのは分からなかった。だけどここのアパートに前知り合いが居て、だけど今は住んでないって言われてその人を探してたの。だからここにたどり着いた。どこに行ってたかは・・・聞かないで欲しい。」
「そっか・・分かった。聞かないけど、一旦お兄さんとかご家族に会おう?お父さんの悲報は聞いた?・・・亡くなったんだ。お母さんは俺にも分からないけど」
「・・やだ。お母さんにもお兄ちゃんにも会いたくないの。だからお願い、零司さんの所に泊めて!」
「はっ!?」零司は目を瞠った。
「おい、どうすんだよ。警察とか・・」零司は菊矢に問いかけるが、冷静な顔つきで首を振った。
「・・いいよ、そのうち帰ってくるだろ。母さんと父さんのとこ行ってくるわ。」
菊矢は部屋を出るとリビングに向かった。母と父がソワソワしている。
「菊矢、ねぇ莉帆は・・。莉帆は無事なのかしら、誘拐でもされたんじゃ・・・」
「落ち着けって。誘拐なんてされたら置き手紙なんて置いてくわけないだろ。とりあえず父さん、母さんを頼む。じゃあ俺予備校行ってくる。零司には帰ってもらうし。」
菊矢は零司に帰るよう促すと父にアイコンタクトを取って出掛けた。
「なぁ菊矢、予備校なんて行ってる場合かよ!莉帆ちゃんもし家出とかしたら・・」 「お前も心配性すぎ。大体中2のあいつが家出して何ができるんだよ。金もロクに持ってないのに。すぐ帰ってくる」
「まぁそうだけど・・少し心配してやるとかさ。」
「うざい。つーかお前身内じゃねー奴の事よくそんなに心配できるよな。」
「・・・身内じゃなくても心配だよ。」 「ふーん、じゃあ俺こっちだから。」
菊矢は予備校へ足を進めた。 だがそれから2年弱、莉帆は帰ってこなかった。
母も父も警察に駆け込み、捜索してもらったが結局成果はなく2年の月日が経った
母はショックで寝たきりになり、父は母の看護と仕事に追われノイローゼで死去。
菊矢は地元を離れ、零司と共に上京。現在高校3年生となっていた。
「よっ、菊矢ー」 「ん、じゃあ行こう。」
18の秋、若干の寒さを感じる季節に2人は東京のあるアニメ関連のショップに来ていた。
「うぉっ!可愛いなこれ。」菊矢はアニメが好きでアニメグッズの買い物に付き合わされる事も多かった。
「あ、ごめん。俺今日用事あったんだわ。忘れてた、じゃあ!」
零司は時間を見てわざとらしく抜けた。
「ふぅ・・・。買い物して帰るか・・。」そろそろ日も暮れていたので零司はスーパーに寄って自宅に戻った。
「・・ん?誰だ」遠目から見て、零司のアパートの前に少女が立っているのが見えた。零司の部屋の前だ。
「・・・え!?もしかして・・莉帆ちゃん?」胸の下辺りまで伸びた長く美しい髪の少女が振り返った。
「零司さん・・!」ベージュのコートに白いワンピースを着た彼女は零司を見ると途端に目を潤わせて駆け寄ってきた。
「うわぁ!莉帆ちゃん・・なのか?」潤った目で零司を見つめると、もう一度下を向いて莉帆はこくんと頷いた。
「どこに行ってたの?皆心配してて・・俺の家、何で分かったのかな」
「・・零司さんの家なのは分からなかった。だけどここのアパートに前知り合いが居て、だけど今は住んでないって言われてその人を探してたの。だからここにたどり着いた。どこに行ってたかは・・・聞かないで欲しい。」
「そっか・・分かった。聞かないけど、一旦お兄さんとかご家族に会おう?お父さんの悲報は聞いた?・・・亡くなったんだ。お母さんは俺にも分からないけど」
「・・やだ。お母さんにもお兄ちゃんにも会いたくないの。だからお願い、零司さんの所に泊めて!」
「はっ!?」零司は目を瞠った。
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