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第七話
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「ごめんね、零司さん。私・・・零司さんと離れて暮らして、零司さんが私を居候として迎え入れてくれたことがどんなに大切だったか気付いた。だからもう一度、私を居候にしてください・・・」鍵を開けて中に入ると、莉帆は頭を下げた。
「莉帆ちゃん・・・!!!」零司は莉帆を強く抱き締めた。
「え、れ、零司さん?」莉帆は焦りながら一生懸命零司の体を支えた。
「俺も莉帆ちゃんがいなくなって、どんなに大切だったか気付いた。部屋の灯りがついてることも、ご飯作っててくれることも、おかえりって微笑んでくれる事も。当然のように交わしてた会話も全部、失っちゃいけないものだったんだって。」
「零司さん・・・何があった?とりあえず部屋入らない?ここ玄関だし・・」
莉帆が体を離そうとしたとき、零司の唇が莉帆の唇に触れた。
「れい・・・じさ・・・」 「・・・もう失いたくない。俺とずっと一緒に居てくれない?」零司は潤んだ瞳を莉帆に向けると、もう一度交わした。莉帆の首筋に唇をつけようとした時、莉帆が零司を離した。
「夏帆さんと・・何かあったんだよね。私も零司さんの事好きだし、とっても嬉しいんだけど、私はちゃんとけじめつけてからがいいな。夏帆さんと何があったかは聞かないけど、何かあったからってすぐに好きだった人忘れられる?私だったら無理かな・・って。」
「・・・夏帆は浮気してた。俺のバイト先の先輩と合コンで知り合って今日偶然キスしてるとこ見たんだ。だからもう夏帆の事信じられない。一番信頼してた相手に裏切られた・・だから俺はもう莉帆ちゃんしかいないんだ。
・・・こんな理由じゃ、だめかな。」
零司は物欲しげな表情を浮かべて莉帆の体を引き寄せた。
「私は、好きな人とだったら理由なんて関係ないって思ってたけど今回ばかりは違うみたい。」莉帆は引き寄せられた体を離して零司の目を見た。
「恋人に裏切られたから私しかいないってどういうこと?それって恋人に裏切られたから何かに縋りたいだけじゃない。つまり中途半端な気持ちだって言ってるの。
そんな中途半端な気持ちで何かされて、後から忘れてって言われたってされた方は忘れられないのよ。・・落ち着いて考えて。夏帆さんと本当に別れていいのかも。
しっかり考えた上で私を選んでくれるっていうなら大歓迎だわ。」
莉帆は靴を脱いで自室に入った。零司は悲しい気持ちだけを残され玄関で立ち尽くした。そして数時間後、夜が明けた。
「おはよう、零司さん。」いつも通りの朝食、いつも通りの朝がやってきた。
仮眠を一時間程取ったが、まだ頭に頭痛が残り寝不足のようだった。
「ごめん莉帆。」突然いつもとは違う呼び方で呼ばれ、莉帆は振り返った。
「え?」 「俺バイト辞める。先輩に報告してきてほしい。あと・・・先輩のせいじゃないって。あとで先輩の名前教えるからすぐ分かるはずだよ。新しいバイト探すから。」
「うん、分かった。じゃあ早く朝ごはん食べよう。私も今日暇なの。どっか遊びに行く?」
「いいね、気分転換に。」
莉帆は急いで朝食を食べると、着替えて零司の職場に出掛けた。
「あの関本聖夜さんですか?」聖夜は声を掛けられて振り返った。
「あれ、かわいー女の子。何で俺の名前知ってるの?」
「えーっと・・篠原零司の妹です。今日は関本さんに伝えて欲しいと伝言を兄から預かってて。少しお時間ありますか?」
「零司の?あー・・もしかして昨日の事だったりする?あと、名前と連絡先聞かせて!」聖夜は後ろめたさなどないように携帯を取り出した。
「連絡先は結構です。名前は篠原莉帆です。それで用件は・・こちらを辞めたいとの事で。関本さんの事は全く関係ないと伝えて欲しいらしいです。」
「関係ないのにいきなり辞めるわけないよな。まぁいいや、俺から店長に伝えとく。わざわざありがと。零司によろしく伝えて。あと・・」
聖夜は莉帆の頬に唇を当てた。
「わざわざ報告来てくれたご褒美♪」
「・・・夏帆さんとお付き合いしてるんじゃないんですか。」
「んー、あの子はただ可愛かったっていうかさ。友達に自慢するには顔面偏差値高いしいいかなーって。俺と付き合わないと零司クビにするって脅かしたら一瞬でキス承諾してさー、純粋すぎて可愛かったんだよな。」
「・・・」「ん?莉帆ちゃん?」
「さい・・・ってい・・」莉帆は聖夜の顔を思い切り叩いた。
「あんた最低!」莉帆は早足で店を出た。
「うっわー・・強烈。」
莉帆は全てが繋がった。だが、この事実を零司に伝えるべきか否か迷っていた。
「莉帆ちゃん・・・!!!」零司は莉帆を強く抱き締めた。
「え、れ、零司さん?」莉帆は焦りながら一生懸命零司の体を支えた。
「俺も莉帆ちゃんがいなくなって、どんなに大切だったか気付いた。部屋の灯りがついてることも、ご飯作っててくれることも、おかえりって微笑んでくれる事も。当然のように交わしてた会話も全部、失っちゃいけないものだったんだって。」
「零司さん・・・何があった?とりあえず部屋入らない?ここ玄関だし・・」
莉帆が体を離そうとしたとき、零司の唇が莉帆の唇に触れた。
「れい・・・じさ・・・」 「・・・もう失いたくない。俺とずっと一緒に居てくれない?」零司は潤んだ瞳を莉帆に向けると、もう一度交わした。莉帆の首筋に唇をつけようとした時、莉帆が零司を離した。
「夏帆さんと・・何かあったんだよね。私も零司さんの事好きだし、とっても嬉しいんだけど、私はちゃんとけじめつけてからがいいな。夏帆さんと何があったかは聞かないけど、何かあったからってすぐに好きだった人忘れられる?私だったら無理かな・・って。」
「・・・夏帆は浮気してた。俺のバイト先の先輩と合コンで知り合って今日偶然キスしてるとこ見たんだ。だからもう夏帆の事信じられない。一番信頼してた相手に裏切られた・・だから俺はもう莉帆ちゃんしかいないんだ。
・・・こんな理由じゃ、だめかな。」
零司は物欲しげな表情を浮かべて莉帆の体を引き寄せた。
「私は、好きな人とだったら理由なんて関係ないって思ってたけど今回ばかりは違うみたい。」莉帆は引き寄せられた体を離して零司の目を見た。
「恋人に裏切られたから私しかいないってどういうこと?それって恋人に裏切られたから何かに縋りたいだけじゃない。つまり中途半端な気持ちだって言ってるの。
そんな中途半端な気持ちで何かされて、後から忘れてって言われたってされた方は忘れられないのよ。・・落ち着いて考えて。夏帆さんと本当に別れていいのかも。
しっかり考えた上で私を選んでくれるっていうなら大歓迎だわ。」
莉帆は靴を脱いで自室に入った。零司は悲しい気持ちだけを残され玄関で立ち尽くした。そして数時間後、夜が明けた。
「おはよう、零司さん。」いつも通りの朝食、いつも通りの朝がやってきた。
仮眠を一時間程取ったが、まだ頭に頭痛が残り寝不足のようだった。
「ごめん莉帆。」突然いつもとは違う呼び方で呼ばれ、莉帆は振り返った。
「え?」 「俺バイト辞める。先輩に報告してきてほしい。あと・・・先輩のせいじゃないって。あとで先輩の名前教えるからすぐ分かるはずだよ。新しいバイト探すから。」
「うん、分かった。じゃあ早く朝ごはん食べよう。私も今日暇なの。どっか遊びに行く?」
「いいね、気分転換に。」
莉帆は急いで朝食を食べると、着替えて零司の職場に出掛けた。
「あの関本聖夜さんですか?」聖夜は声を掛けられて振り返った。
「あれ、かわいー女の子。何で俺の名前知ってるの?」
「えーっと・・篠原零司の妹です。今日は関本さんに伝えて欲しいと伝言を兄から預かってて。少しお時間ありますか?」
「零司の?あー・・もしかして昨日の事だったりする?あと、名前と連絡先聞かせて!」聖夜は後ろめたさなどないように携帯を取り出した。
「連絡先は結構です。名前は篠原莉帆です。それで用件は・・こちらを辞めたいとの事で。関本さんの事は全く関係ないと伝えて欲しいらしいです。」
「関係ないのにいきなり辞めるわけないよな。まぁいいや、俺から店長に伝えとく。わざわざありがと。零司によろしく伝えて。あと・・」
聖夜は莉帆の頬に唇を当てた。
「わざわざ報告来てくれたご褒美♪」
「・・・夏帆さんとお付き合いしてるんじゃないんですか。」
「んー、あの子はただ可愛かったっていうかさ。友達に自慢するには顔面偏差値高いしいいかなーって。俺と付き合わないと零司クビにするって脅かしたら一瞬でキス承諾してさー、純粋すぎて可愛かったんだよな。」
「・・・」「ん?莉帆ちゃん?」
「さい・・・ってい・・」莉帆は聖夜の顔を思い切り叩いた。
「あんた最低!」莉帆は早足で店を出た。
「うっわー・・強烈。」
莉帆は全てが繋がった。だが、この事実を零司に伝えるべきか否か迷っていた。
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