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第八話
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走って帰宅した莉帆は家の前で呼吸を整えると、平常を装って扉を開けた。
「あ、おかえり!」零司は外出用の服に着替えて支度をしていた。
「ごめん!すぐ支度するね。」莉帆は靴を脱いで家にあがろうとした。
「あ、いいんだ。莉帆疲れてるみたいだし、今日はやめとこう。」零司はコップに水を注いで玄関まで持ってきた。
「あっ、ありがとう・・・。」莉帆はコップを受け取ると、喉を潤わせた。
「わざわざバイト先まで行かせてごめん。でもありがとう、おかげでスッキリした気がする。遠かったかな?」
莉帆は水を渡したり、距離の話をしたりまるで疲れているのを察するような会話をする零司に驚いた。
「ううん、全然遠くなかったよ。」莉帆は笑顔を見せた。
「そっか、じゃあ家で適当にゆっくりしてて。」零司は鞄の中を見るとよし、と呟き鞄を持ち上げた。
「どこか出掛けるの?」 「うん、夏帆と話してくる。ちゃんとお別れもね。」
「・・・そっか、分かった。」莉帆は零司を送り出すと自室に籠って勉強に励んだ
「・・・これでよかったのかな・・・。」莉帆は時折、手を止めて考えていた。
夏帆は零司がクビにならないように聖夜を受け入れたにすぎない。偶然零司がキスの現場を見たとしたら弁解のしようがない。脅されてるなどと言えば即クビにされる。やっと掴んだ仕事を彼女のせいでクビにされるなんて夏帆にはできなかった。
夏帆は莉帆と同じ気持ちだったのかもしれない、零司が傷つく事を恐れた。
先輩に裏切られて零司が傷つくなら一層、自分に「浮気女」のレッテルを貼られた方がマシだと。もしそうだとしたら・・・
「二人を別れさせる訳にはいかない・・」莉帆は椅子から立ち上がり何も持たずに家を出た。唯一ポケットに入っていた携帯だけを握り締めて。
もし零司が傷ついたとしても真実を教えてあげたかった。夏帆にも
零司はバイトを辞めた。もう聖夜の言いなりにならなくもいいのだ、と。
「もしもし零司さん!?今どこ!?」走りながら「零司」に電話をかけた。
「え、どこって・・」前にも莉帆と行った事のある喫茶店だった。莉帆がいる所からも近かった。
「え、莉帆もしかして向かってる?」 「うん、今絶対伝えたい事があって・・・だから今から行っても大丈夫?」零司は少し困惑気味だったがうん、と返事をした
莉帆は最大限の速度を保って走った。
その時後ろから声が掛かった。
「莉帆?」莉帆は足を止めて後ろを振り返った。声を出すより先に路地に引き込まれた。
「あ、おかえり!」零司は外出用の服に着替えて支度をしていた。
「ごめん!すぐ支度するね。」莉帆は靴を脱いで家にあがろうとした。
「あ、いいんだ。莉帆疲れてるみたいだし、今日はやめとこう。」零司はコップに水を注いで玄関まで持ってきた。
「あっ、ありがとう・・・。」莉帆はコップを受け取ると、喉を潤わせた。
「わざわざバイト先まで行かせてごめん。でもありがとう、おかげでスッキリした気がする。遠かったかな?」
莉帆は水を渡したり、距離の話をしたりまるで疲れているのを察するような会話をする零司に驚いた。
「ううん、全然遠くなかったよ。」莉帆は笑顔を見せた。
「そっか、じゃあ家で適当にゆっくりしてて。」零司は鞄の中を見るとよし、と呟き鞄を持ち上げた。
「どこか出掛けるの?」 「うん、夏帆と話してくる。ちゃんとお別れもね。」
「・・・そっか、分かった。」莉帆は零司を送り出すと自室に籠って勉強に励んだ
「・・・これでよかったのかな・・・。」莉帆は時折、手を止めて考えていた。
夏帆は零司がクビにならないように聖夜を受け入れたにすぎない。偶然零司がキスの現場を見たとしたら弁解のしようがない。脅されてるなどと言えば即クビにされる。やっと掴んだ仕事を彼女のせいでクビにされるなんて夏帆にはできなかった。
夏帆は莉帆と同じ気持ちだったのかもしれない、零司が傷つく事を恐れた。
先輩に裏切られて零司が傷つくなら一層、自分に「浮気女」のレッテルを貼られた方がマシだと。もしそうだとしたら・・・
「二人を別れさせる訳にはいかない・・」莉帆は椅子から立ち上がり何も持たずに家を出た。唯一ポケットに入っていた携帯だけを握り締めて。
もし零司が傷ついたとしても真実を教えてあげたかった。夏帆にも
零司はバイトを辞めた。もう聖夜の言いなりにならなくもいいのだ、と。
「もしもし零司さん!?今どこ!?」走りながら「零司」に電話をかけた。
「え、どこって・・」前にも莉帆と行った事のある喫茶店だった。莉帆がいる所からも近かった。
「え、莉帆もしかして向かってる?」 「うん、今絶対伝えたい事があって・・・だから今から行っても大丈夫?」零司は少し困惑気味だったがうん、と返事をした
莉帆は最大限の速度を保って走った。
その時後ろから声が掛かった。
「莉帆?」莉帆は足を止めて後ろを振り返った。声を出すより先に路地に引き込まれた。
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