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第一章:出逢い
1、楓の後悔
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夏が過ぎ、涼しくなり始めた頃。
その日は近づく季節外れの台風の影響で大雨が降っていて部活がなかったから、久しぶりに2人で帰っていた。
じゃあな、と、いつもの分かれ道で手を振る親友をいつものように見送る。
何故か胸騒ぎがして、気をつけろよ、なんて付け加えるとそいつは振り向いて、笑いながら軽い返事をしたあとに歩いていった。
親友の声が聞こえなくなったあとはザアザアという雨の音がやけに大きく聞こえて、自分も帰路を急ぐ。
…なんで俺は、この時何も出来なかったんだろう。
そう考える度に激しい後悔に襲われて、息苦しくなる。
あの時うちに呼んでいれば、引き止めて話をしていれば。
もし、未来がわかっていれば。
…そしたら、助けられたかもしれないのに。
今更どうしようもない後悔だけが心を蝕んで、心臓が痛い。
痛くて、息が出来ない。
「…なんでだよ…彬音…」
呟いた声は、雨音に消える。
あの日と同じ冷たい雨が街を濡らしていく中、1人の少女が俺の前に現れた。
その日は近づく季節外れの台風の影響で大雨が降っていて部活がなかったから、久しぶりに2人で帰っていた。
じゃあな、と、いつもの分かれ道で手を振る親友をいつものように見送る。
何故か胸騒ぎがして、気をつけろよ、なんて付け加えるとそいつは振り向いて、笑いながら軽い返事をしたあとに歩いていった。
親友の声が聞こえなくなったあとはザアザアという雨の音がやけに大きく聞こえて、自分も帰路を急ぐ。
…なんで俺は、この時何も出来なかったんだろう。
そう考える度に激しい後悔に襲われて、息苦しくなる。
あの時うちに呼んでいれば、引き止めて話をしていれば。
もし、未来がわかっていれば。
…そしたら、助けられたかもしれないのに。
今更どうしようもない後悔だけが心を蝕んで、心臓が痛い。
痛くて、息が出来ない。
「…なんでだよ…彬音…」
呟いた声は、雨音に消える。
あの日と同じ冷たい雨が街を濡らしていく中、1人の少女が俺の前に現れた。
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