浮気されたくない幸の恋愛奮闘記

和山忍

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第十ニ話 まさかの・・・・・・その六

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 プルプルしていた手が止まった。

「幸の表情に惚れたんだ!」

「表情?」

「そう、幸は感情が表情に出る。そして、その表情はどれもこれもが素敵で癒やされる」

 ・・・・・・なんだろ。褒められて悪い気はしない・・・・・・けど──

「これからもいろんな素敵で癒やされる表情を見ていきたい!だから・・・・・・早苗と離婚したら、結婚してほしい!」

「・・・・・・嫌です!」

 さすがに無理だから!

 駿河はゆっくりと幸に背中を向ける。

「・・・・・・はははははははは!・・・・・・はぁ」

 高笑いをした後、溜め息をつきながら猫背になり、

「・・・・・・ちくしょー!」

 叫びながら、駿河が逃げ出すように走り出した。

「あ!」

 思わず、幸が追いかけようとするが、早苗に止められる。

「大丈夫。探偵に頼んであるから」

 すると、建物の影に隠れていた探偵らしき男が後を追いかける。

「仮に巻かれても、主人のスマホにGPSをこっそりつけてあるから心配ないわ。まあ、巻かれないとは思うけど」

「・・・・・・あの」

「何?」

「知らなかったとはいえ、駿河さんと交際していてごめんなさい。しかも、そのせいでこんなことに・・・・・・」

「いいのよ!遅かれ早かれ、多分こうなっていたし、あなたが悪いわけじゃないんだから!こちらこそ、主人が嫌な思いさせちゃってごめんなさいね」

「いえ、そんな・・・・・・」

「それより、少しは落ち着いたかしら」

「・・・・・・はい」

「よかった」

「あの、聞きたいことがあるんですが・・・・・・」

「何かしら?」


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