浮気されたくない幸の恋愛奮闘記

和山忍

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第七十五話 幸せからの・・・・・・その一

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 それから、二十日後──アナグマ幼稚園。

「幸先生、さよなら」

「うん。さよなら」

 母親と手を繋ぎながら、手を振る幼児に笑顔で手を振り返す幸。

 幼児がいなくなったクラスルームを見る。

「幸ちゃん」

「舞先生」

「みんな帰った?」

「はい」

「そう。じゃあ休憩しようか」

「はい」

 幸と舞と他の先生達が職員室で休憩する。

「最近、暑くなってきたね」

「そうですね。もう七月ですからね」

 幸が笑顔で答える。

「・・・・・・」

 舞は幸の顔を見る。

「そう言えば幸ちゃん?」

「なんですか?」

「・・・・・・三週間くらい前から何か良いことあった?」

「え⁉・・・・・・どうしたんですか?急に⁉」

「ここ三週間くらい、休憩時間になると、なんだか嬉しそうな顔をしてるから」

 また、顔に出てたか・・・・・・。

「実を言うとありました」

「やっぱり~」

 と舞が笑顔で言う。

「それでどんな良いことがあったの?」

「その・・・・・・新しく彼氏が出来まして」

「えっ⁉ほんとに?」

 舞と他の先生達が笑顔で驚く。

「なんで、黙ってたの?」

「自分から言うと自慢みたいですし・・・・・・」

「大丈夫!私達はそんなふうには思わないから!ですよね?」

 舞は他の先生達に訊ねる。

 すると、うんうんと他の先生が頷く。

「で?どこまでいったの?」

 まだ、キスすらもしてないんだけど・・・・・・。 

「それは・・・・・・恥ずかしいので、ご想像にお任せします」

「もう幸ちゃんったら、ふふ」

 舞が笑い、他の先生達もつられるように微笑む。

 前にもこんなことあったような・・・・・・。

 時が流れ夜──幸のアパートの駐車場。

 幸は車から出て、鍵を閉める。すると、

「幸!」

 どこからか、声がした。

 声のする方に向く。

「!」

 そこには、五十代くらいの眼鏡をかけた中年の男がいた。

 歳をとっていたものの、幸はその姿を見て、気づく。

 嘘でしょ⁉なんでこんな所にいるの⁉・・・・・・。

「久しぶりだね。幸」

「お父・・・・・・雅彦!」
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