妖戦刀義

和山忍

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九十五話 後ろからくるなんて卑怯じゃない?

 横から竹とんぼの羽根を大きくしたような風でできた風蜻蛉が結衣に迫ってきた。 

 結衣は後ろへと跳ねるように下がって風蜻蛉を避ける。

 しかし、結衣の避けた先には風でできた風独楽が近づいていた。

 結衣は後ろを向かず、そのまま風独楽の高さくらいに跳んで避ける。そして、そのまま後ろに回転して着地する瞬間──

 結衣は持っていた鍔のない刀で後ろから両手の刀に風を纏わせ、まるではさみのようにして斬りかかる風太の斬撃を防いだ。 

「!」

「後ろからくるなんて卑怯じゃない?」

「悪かったな。わざわざまわり道をする余裕がなかったもんで」

 風太は両手の刀と結衣の鍔のない刀を合わせたまま、斜めに移動した。

 そして、結衣はそれに合わせるかのように鍔のない刀を動かした。

 その結果、風太は結衣の正面へと移動した。

 風太は後ろへと下がって、結衣から離れた。

 そして、結衣に向けて二本の刀を構えた。

「水希さん。大丈夫ですか?」

 と風太は後ろにいた水希に声を掛けた。

「うん。鳥黐のような糸で身動きがとれない以外は大丈夫」

「ほんとですか?さっき遠くから見た時、どこか蹴られたように見えたんですけど、大丈夫ですか?」

「うん。なんとか大丈夫。それよりもあたしのことはいいから早く逃げて!そいつは玉穂の仲間なの!あたし、そうと知らず風太のことをいろいろと話しちゃったの!だから・・・・・・」

「それはできません。そんなことしたら、水希を育て守ってくれたみんなに顔向けできなくなる」

「でも・・・・・・」

「気にしないで下さい!そんな簡単にオイラは殺されないから!」

「わかった・・・・・・ごめん」

「・・・・・・今すぐその糸をとってあげたいけど、こいつからはどうしても目が離せません。もう少し待ってて下さい!」

「・・・・・・うん」

 風太と水希が会話をしてると、

「ねえ?」

 と結衣は手を後ろに組みながら、風太に声掛ける。

「なんだ?」

「あたしには敬語じゃないんだ・・・・・・あんたより目上なんだけど」

「ああ。玉穂の仲間で人に危害を加える妖怪に敬語を使う義理なんてないからな」

「はは、言うね・・・・・・人間のくせに!」
 
 結衣が風太に向かってくる。それに対して風太は、

「風独楽!」

 と約三十五寸(約百五センチメートル)の風独楽を放った。

 しかし、結衣は風独楽を持っていた鍔のない刀ではらった。

「!」

 風独楽はそのまま消え、風太は次に、

「風車!」

 約三十五寸(約百五センチメートル)の風車を放った。

 それを結衣は避ける。
    
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