妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

文字の大きさ
31 / 107

Folge 31 くちびるの日

しおりを挟む
 ――――はぁ。

 ツィスカのハードになりかけたスキンシップをクリア。
 なりかけた、というのはカルラが止めに入ったからだ。
 お互いにけん制し合っているようだ。
 そのおかげでオレも一線を越えずにいるのだけど。
 って、そんなの無くても越えそうになるなよってとこだよな。
 でもね、こんな妹を二人も相手にしていたら止めるのは大変だ。

 そして現在は咲乃の番。
 嬉し恥ずかしそうにオレの上にいる。
 うう。
 恥ずかしかったら無理にしなくてもいいのに。
 がんばるものではないだろ。
 オレも咲乃を感じたい気持ちはある。
 だからかな、恥ずかしそうにされるとオレも照れてしまう。

「あ、あのさ、いきなり何かしようとせずに、ゆっくりで、いいんじゃないかな」

 オレから咲乃を横に並ぶように下ろす。
 寝返りを打って咲乃を抱えた。
 顔を正面に見る。
 咲乃の顔は真っ赤だ。
 まだ一言も発していない。
 あれだけベタベタとくっついてきた子が恥ずかしいとこうなるのか。
 むちゃくちゃに可愛いんですけど!
 こういう時は別に話さなくてもいい。
 ただ、身体のパーツそれぞれが動きたいようにさせるだけ。
 可愛い顔を見たら頬や頭を撫でたくなる。
 頬ずりをして鼻キス、ひたすら瞳を見つめるとか。
 咲乃はジッとしてオレからされることを楽しんでいるようだ。

「サーちゃん、あのね――――」

 声を聞いたら反射的にキスをしてしまった。
 ダメだ。
 可愛すぎる。
 オレからするのは……二度目だっけ。
 これからはオレからの方が多くなるかも。

「はい、終了! お二人共、朝ごはんだよ~」

 ははは。
 ま、そんなもんだ。

「咲乃、食べようか」
「うふふ。うん」

 二人共緊張の糸が切れてしまって、笑うしかなかった。
 藍原家はこういう所だ。

 ◇

 咲乃に足を絡ませられながら朝食を口にする。
 オレって常に誰かに触れられているな。
 そして咲乃の食事スタイルもこれで固定のようで。
 ツィスカの睨みがたまに飛んできているけど、オレは知らんぞ。
 脚はスリスリされている。
 よくこの状態を維持したまま食事ができるな。
 こっちが気になって食事が進まなくなっちまう。

「むぅ」
「ど、どした、ツィスカ?」
「どした? じゃないわよ」
「何が?」

 なんだか凄く睨まれている。
 もう、なんなんだよ。

「咲乃ちゃんがしているのはわかるんだけど」
「あ、ああこれね」
「そう、それよ」
「これ、オレは悪くないよな」
「そうね、悪くないわ」
「じ、じゃあ何?」
「悪くないけど、悪いの!」
「なんだよそれ!」

 どうしろってんだ!?
 その疑問を解くように、カルラが口を開いた。

「ただのよ」
「ふん!」

 まあ、そうだろうね。
 ツィスカが家でプンスカ怒るときはやきもちぐらいだ。
 なんて口にしたらまた大変なことになりそうだから言わないけどさ。

妬いてもらえるように、ちゃんとあたしを構わないと知らないんだから」
「はいはい、わかっていますよ。ツィスカに嫌われたくはないからね」
「んふふ。そう? 兄ちゃんはあたしに嫌われたくないのね。んふふ」

 ご機嫌が直った、かな?

「咲乃ちゃん。兄ちゃんがあたしに嫌われない程度に抑えてね」
「どれぐらいなら許してもらえるのか分からないから、とりあえず好きなようにするよ?」
「ま、まあ彼女なんだし、その、仕方ないんだけど、あんまりくっついちゃだめ!」

 ははは。
 ツィスカの思う通りじゃないとダメなわけね。
 そうしたら何してもダメって言いそうだけどな。
 オレからは今の所ほとんど動いていないし。
 動く時は妹がいないのを確認しないと。
 待て――なんでコソコソしなきゃならないんだ!?
 監視されながら付き合うって、付き合っているの?
 困ったもんだ。
 たぶん、咲乃がかまわず動くとは思うのだけど。
 それって、人任せになっている……。
 オレ、最低だな。
 自分でなんとかしないと!
 男なんだぞ、サダメ!
 オレが動くべきなんだよ。
 どう動けばいいのか分からないから困っているんだけどな!
 付き合っている時の男はどうしたらいいんだ!?

 ◇

 食事も終わっていつも通りソファでくつろぐ。
 優雅に聞こえるな。

「サダメ! 好き!」

 へ?
 カルラ?
 いや、咲乃だ。

「咲乃、呼び方変えたの?」
「うん、もっと近づきたいなと思ってさ」
「一瞬カルラかと思ったよ。これも慣れないとなあ」

 カルラも驚いている。

「今わたしもびっくりしたわ。わたし、言っていないのにって」
「カルラちゃん許してね。ボクも呼び方はサダメにするよ」
「ライバル感が増すわね」

 敢えて仕掛けていく咲乃。
 咲乃らしいんだけど、その、色々と荒れそう……。

「カルラ、咲乃ちゃんのコントロールがんばろうね!」
「同意。わたしたち以上には近づかせないようにしないとね」
「ボクは彼女だからサダメに思いっきり甘えるんだぁ」

 うわぁ。
 むやみに荒れそう。
 おっと! 咲乃がオレの膝に乗ってきた。
 思わずゴクっと唾を飲み込んでしまう。
 両手で顔を優しく挟まれた。
 ――するのか?
 こうされると全く逃げられないオレ。
 こういう時とか、みんなどうするの?
 オレのこと好きで寄ってきている人なんだから、拒まないよね?
 好きな人だったら好きなようにさせてあげるものだと思っているけどさ。
 なんて考えているうちにしっかりとキスをされた。
 当然のようにツィスカが叫んでいるけど、止めには来ない。
 ははは、なんだか笑える。
 認めているけど認めていないっていう、どちらにも振り切れていない妹たち。
 それを見て楽しむオレがいる。
 悪い遊びを知ってしまったような。
 そうか。
 とりあえずそれを楽しんでみよう。
 せっかくできた彼女だ、彼女との時間を楽しまないと勿体ない。
 彼女ができたから、妹たちの反応も変わって面白くなってきたんだ。
 そうと決まれば!

「兄ちゃん!? ちょっと、え、カルラぁ、兄ちゃんがぁ」
「し、仕方ないじゃない。わたし達にもしていることだから、その、目を閉じて!」
「目を閉じるの? 声とか音が聞こえて落ち着かないよ?」
「ごめん、間違えた。眼を瞑るのよ」
「同じじゃない!」
「そうじゃなくって、ってもう、知らないふりをするの!」
「ああ、そういうことね――――ってそれ、ツラくない?」
「もお、我慢しなさいって! わたしもツラいんだからツィスカも我慢!」
「ツラいなら今止めようよお」
「夜に二人でサダメを浄化しましょう」
「なるほど! それまで我慢して、我慢した分思いっきり甘えるんだね! わかった!」

 うっわぁ、結局そこが着地点か。
 オレに休息は訪れない。
 そういえば、さっきから一人家族が足りない……タケルだ。
 咲乃とのキスを中断して妹に聞いてみる。

「なあ、タケルは?」
「部屋で美咲ちゃんとお話していると思うけど」
「そうなのか」

 咲乃に顔をグイっと正面に向けられる。

「美咲が気になるの? ボクが彼女だからね、いい?」

 こちらの双子は姉妹で争っているようだ。
 そうなのかと思っていると、キスが再開された。
 こういう所が可愛くなっちゃうから身体は自然と受け入れてしまう。
 むしろこちらからも動いてしまって。

「ああもう! またやってる! あたし部屋へ行くね」

 ツィスカは怒って部屋へ逃げちゃった。
 カルラは家事を続けている。
 これからはこのパターンも増えるのかな。
 タケルが気にはなるけど、咲乃の気持ちに答えていよう。
 今日はキスの日だ。
 あ、いつもキスばっかりしていたっけ。
 これは裕二に聞かせてはいけないやつだ。
 口を滑らさないように気を付けよう。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

サクラブストーリー

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。  しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。  桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。  ※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

処理中です...