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Folge 86 ババ抜き
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「次はわたしね」
「誰がババを持っているんでしょうねえ」
「ツィスカ、それを言う人が持っている確率高いのだけど?」
「そ、そんなことないわよ! 変な事言わないで!」
全員がワイワイと、笑いながらゲームタイム。
ババ抜きですけど。
それもメンバーはオレ以外。
「美咲ちゃん、これなんかどう?」
「ええ!? オススメは遠慮しておきます」
「あたしの言うことは聞いた方が……」
ツィスカ……。
厳しい戦いに自らしているようだぞ。
これは……見ている方が楽しい。
ところで。
なぜ見ているだけかと言うと……。
「はい、咲乃」
「気楽に取れるのは助かるね」
「なんで余裕なのよお。美咲ちゃんが持っているかもしれないでしょ」
「ボクにはカードの裏側が見えるんだよ」
「そんなわけないじゃん。……ま、まあ初戦だし、楽しく兄ちゃんを獲得しましょう」
――――オレの獲得。
そう。
一緒に寝る人を決めようというゲームだそうで。
あのさ。
全員とワチャワチャして寝たいんですけど。
「サダメを独り占め。これは負けられないよね」
咲乃も気合十分。
そういう気になってくれることはありがたいよ、勿論。
一人を愛で捲るのも魅力的ではある。
ではあるのだけどさ。
せっかくの外泊。
全員で、という気持ちが強いんだけどなあ。
「タケル君が一番余裕そう」
「僕は一人で寝るのも慣れているから。それにいつでも一緒に寝られるし」
「あらら。それを言われてしまうと頑張るのは私たちだけね、咲乃」
「そっか。ツィスカちゃん達も頑張る必要ないじゃないかあ」
そうそう。
弟妹はいつでも一緒に寝られる。
今までもそうだった。
権利を得ないと独り占めできないのは、さくみさ。
このゲームはさくみさのため、かな。
「そのいつでもは、この旅行でも同じよ。いつでも独り占めしたいの」
本気でそう思っているツィスカの想い。
受け止め切れているのかな。
さくみさのため、というわけでもないのが分かったね。
「んっと。みなさんは、なんでそんなにオレが好きなの?」
床に座り込んで円を作っている連中。
動きを止めて全員がこちらを向いた。
いや、タケルは一人ニコニコとカードを眺めているな。
「あたしのこと愛してくれて、あたしの愛を受け止めてくれているからよ」
「わたしは愛おし過ぎて絶対に離したくない。そのために生きているから」
「ボクを受け入れることで救ってくれた。それから離れたくなくなって……。たぶん、言葉にするならこの感情は恋も超えて愛なのかなと思ってるよ」
「私はすでに話した通り、最初の出会いで素敵な人だと感じたから。あれから、他の人のことは目に入らなくなって。この人しかいないと思っているので」
――――こ、これは。
全員即答かよ。
曖昧な気持ちの人がいない。
それなら全員の気持ちを受け止めたいよ。
この中の誰か一人とか、決められないし、決める意味が分からない。
全員が想いを伝えたらゲームは再開されていた。
オレは完全に固まってしまったので。
「さあ、本気でやるわよ!」
長女の号令ともとれる一言で気合を入れる女子勢。
タケルがズリズリと床をスライドしながら傍に来た。
「兄ちゃん、考え込まなくて良いよ。今はみんなの気持ちにその都度答えていれば問題無いと思う」
どうしようと悩みかけていた。
それを察したんだな。
すぐにフォローを入れて来たよ。
こんなに助けられてばかりな奴なのに。
みんな、趣味が悪いんじゃないか?
趣味の良し悪し基準なんて知らないな。
悪く無いのかも。
タケルの言う通りにするか。
とりあえず四人と仲良くしていよう。
――――うん、そうしよう。
「誰がババを持っているんでしょうねえ」
「ツィスカ、それを言う人が持っている確率高いのだけど?」
「そ、そんなことないわよ! 変な事言わないで!」
全員がワイワイと、笑いながらゲームタイム。
ババ抜きですけど。
それもメンバーはオレ以外。
「美咲ちゃん、これなんかどう?」
「ええ!? オススメは遠慮しておきます」
「あたしの言うことは聞いた方が……」
ツィスカ……。
厳しい戦いに自らしているようだぞ。
これは……見ている方が楽しい。
ところで。
なぜ見ているだけかと言うと……。
「はい、咲乃」
「気楽に取れるのは助かるね」
「なんで余裕なのよお。美咲ちゃんが持っているかもしれないでしょ」
「ボクにはカードの裏側が見えるんだよ」
「そんなわけないじゃん。……ま、まあ初戦だし、楽しく兄ちゃんを獲得しましょう」
――――オレの獲得。
そう。
一緒に寝る人を決めようというゲームだそうで。
あのさ。
全員とワチャワチャして寝たいんですけど。
「サダメを独り占め。これは負けられないよね」
咲乃も気合十分。
そういう気になってくれることはありがたいよ、勿論。
一人を愛で捲るのも魅力的ではある。
ではあるのだけどさ。
せっかくの外泊。
全員で、という気持ちが強いんだけどなあ。
「タケル君が一番余裕そう」
「僕は一人で寝るのも慣れているから。それにいつでも一緒に寝られるし」
「あらら。それを言われてしまうと頑張るのは私たちだけね、咲乃」
「そっか。ツィスカちゃん達も頑張る必要ないじゃないかあ」
そうそう。
弟妹はいつでも一緒に寝られる。
今までもそうだった。
権利を得ないと独り占めできないのは、さくみさ。
このゲームはさくみさのため、かな。
「そのいつでもは、この旅行でも同じよ。いつでも独り占めしたいの」
本気でそう思っているツィスカの想い。
受け止め切れているのかな。
さくみさのため、というわけでもないのが分かったね。
「んっと。みなさんは、なんでそんなにオレが好きなの?」
床に座り込んで円を作っている連中。
動きを止めて全員がこちらを向いた。
いや、タケルは一人ニコニコとカードを眺めているな。
「あたしのこと愛してくれて、あたしの愛を受け止めてくれているからよ」
「わたしは愛おし過ぎて絶対に離したくない。そのために生きているから」
「ボクを受け入れることで救ってくれた。それから離れたくなくなって……。たぶん、言葉にするならこの感情は恋も超えて愛なのかなと思ってるよ」
「私はすでに話した通り、最初の出会いで素敵な人だと感じたから。あれから、他の人のことは目に入らなくなって。この人しかいないと思っているので」
――――こ、これは。
全員即答かよ。
曖昧な気持ちの人がいない。
それなら全員の気持ちを受け止めたいよ。
この中の誰か一人とか、決められないし、決める意味が分からない。
全員が想いを伝えたらゲームは再開されていた。
オレは完全に固まってしまったので。
「さあ、本気でやるわよ!」
長女の号令ともとれる一言で気合を入れる女子勢。
タケルがズリズリと床をスライドしながら傍に来た。
「兄ちゃん、考え込まなくて良いよ。今はみんなの気持ちにその都度答えていれば問題無いと思う」
どうしようと悩みかけていた。
それを察したんだな。
すぐにフォローを入れて来たよ。
こんなに助けられてばかりな奴なのに。
みんな、趣味が悪いんじゃないか?
趣味の良し悪し基準なんて知らないな。
悪く無いのかも。
タケルの言う通りにするか。
とりあえず四人と仲良くしていよう。
――――うん、そうしよう。
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