妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

文字の大きさ
87 / 107

Folge 87 朝焼けと白い腕

しおりを挟む
 んがぁー。
 なんだかひんやりするなあ。
 ありゃ?
 これって寝ているのでは?
 別荘は高原にある。
 夏でも夜中になれば冷えるわけだ。
 寒さを感じて起きるってことは……。
 誰とも一緒に寝ていないじゃないか!
 緊急事態だ。
 状況確認のために慌てて目を開けてみる。

 ――――ふむ。

 食卓に突っ伏していたようだ。
 連中はどうしているんだろう。
 まだゲームをしているのかな。
 白熱していそうな気はするが。
 固い天板に押し付けたおでこを摩りながら身を起こす。

「……全員寝ている、のか」

 トランプ数枚を持ったままその場に倒れている。
 集団寝落ちだ。

「よく頭を打たなかったな」

 変な感心と安堵をしながらイスから離れる。
 時間……。
 そう、今何時だ?
 寝落ち現場へ向かいつつ時計を見つける。

「……三時半。こいつら、オレの待っていた楽しみを台無しにしたな」

 眠たかったらオレの所へ来いよ。
 オレのことが好きなんだろ?
 なんだよ。

 ――――寂しくさせるなよ。

「タケルもこうなるまで付き合うなよ。お前は大切な弟なんだから」

 辺りを見渡して寒さを凌ぐものを探す。
 ……無い。
 上着はあるけど、オレの一枚じゃ足りない。

「寝室へ行くか」

 一人一人運ぶのは少々厳しい。
 いや、みんな軽いから運ぶのも楽しそうだけどさ。
 それで起こしてしまうのも可哀そうだ。
 毛布を持って来る方が無難だろう。
 と言っても、五人分の毛布を一度に運ぶのは辛い。
 未明に一人で毛布を抱えて二往復。
 何をしているんだか。
 全員に掛けてあげてとりあえず風邪予防完了。
 一人ずつ頭は撫でてあげた。
 だってさ、寝顔が可愛いのなんの。
 キスしたいところだけど、それも起こしそうで我慢した。

「結局一時間近く経っちまった。これから寝るのもなあ」

 さてどうしようか。
 朝食の用意をするにもオレにその腕は無い。
 う~。
 本当に何もできない奴だな、オレは。
 情けなさを感じながら窓の外へ目をやる。
 少しだけ空が明るくなっている。

「山の景色でも見るか」

 せっかくなので、この時間の外を見に玄関から出てみた。

「ほえ~、綺麗だな。うっ、寒っ! 上着上着」

 山と言うことで持参しておいたスタジャン。
 妹達に似合うとそそのかされて買ったやつ。
 そもそも外に出ることが少ない奴に買わせるなよ。
 また派手なワッペンが付いているしさ。
 絶対遊ばれたんだよな。
 これ使ったのは……。
 妹とクリスマスケーキを買いに行く時と初詣ぐらいだったかな。
 今回の話が無ければそれ以外に着ないぞ。
 でも、今こそ出番が来たって感じ。
 結果、買って良かったとしておこうか。

「改めてっと。こんな時間は地元でも体験しないから新鮮過ぎる」

 空ってこんな色するのか。
 山の色もコロコロ変わるんだな。
 その中で見る別荘の明かりが妙に暖かそう。
 写真か絵でしか見ない光景を目の当たりにしている。
 へへへ。
 こういうのを一人で堪能するのもいいね。

「一人で見るのはズルくない? サダメ」

「咲乃……。起きたのか」

「冷たい風を感じたから起きた。みんな寝ちゃっているのはびっくりしたよ」

「ああ、玄関の出入りで寒くしちゃったかな。ごめん」

「いいよ。なんだかぐっすり眠れたみたいだし……はわぁ」

 思いっきり両腕を空へ伸ばしている。
 小さい口を大きく開けて。
 写真撮りたいぐらい綺麗だな。
 なんだ、この子。

「何? 欠伸の途中で視線を感じると止まっちゃうじゃん」

「綺麗だなあと思ってさ」

「え、ちょっと……寝起きに直球でずるいよ」

「素直な感想なんだが」

「……ありがと。よく言えましたのご褒美あげる」

 この展開はね。
 踵を少し上げて首を抱えながら顔を近づけて来るっと。
 そうしたらもう、することは……。

「んっ――サダメがすんなり受け入れてくれるの素敵。朝の一番もゲットだからボクへのご褒美でもあるね」

「お前、何か羽織って来いよ。冷たくなっているぞ」

 か細い子が身体を冷やしているなんて許せないよ。
 両腕でしっかりと抱えてあげた。

「こうしてくれるから問題無いよ。あったかいな。君は素敵な男の子だよ」

 そのままキスが再開された。
 レベルアップされて。
 ロケーションのムードも調味料として優秀過ぎるだろ。
 寒さがあるからしっかり目は冴えている。
 なのに、夢心地だ。
 こんなの止める理由は無く……。
 ――――得を感じることが出来た朝となった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

サクラブストーリー

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。  しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。  桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。  ※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

処理中です...