妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

文字の大きさ
90 / 107

Folge 90 胃袋を掴まれる

しおりを挟む
「ん?」

 カルラが両腕を伸ばして要求してきた。

「カルラ起きた?」

「うん。はい、起こして」

「よしよし。いくぞ」

 ヒョイっとお姫様抱っこをする。
 そのまま食卓へと運んで椅子へ座らせた。

「え、これって……」

「みんな連れて来るから待ってな」

 カルラを構うとすぐに気づく分身がいる。

「はい! 起こして」

「そのつもりで来たぞ。それ」

 同じく長女をお姫様抱っこでカルラの横に座らせる。
 タケルは目を擦りながら甘えを発動していた。。

「朝なの? なんか寝ちゃった。兄ちゃん?」

「おはよう、ちゃんといるよ。ほら、姉ちゃんたちのとこへ行くぞ」

 タケルにもお姫様抱っこ。

「着るものが違えばタケル君……凄そう」

「凄いってよ。寝ぼけたタケルも久しぶりだな」

 タケルもイスに座らせて……。
 最後に美咲か。

「それじゃ美咲も行きますか」

「いいなあ、ボクもして欲しい」

「したことなかったね。……普通することは無いと思うぞ」

「だからして欲しいんだよ。ね、お願い」

 今日はいきなり凄い所を見せつけられているからなあ。
 じゃれてもいるんだけどさ。

「お姫様抱っこぐらい、するよ。さくみさも軽いし」

「えへへ」

 イスまで美咲を運んできたけど、起きない。
 起きない?
 んーっと、これは。

「美咲さあ、起きているだろ? 座って欲しいんだけど」

「もうちょっとこのままがいいです」

「起きてるじゃん! このまま手を離すよ?」

「もお、嬉しかったのに」

 ここまでして寝ていられるのは小さい子供ぐらいだろ。
 それでも実は起きていたりするし。
 自分が親にされた時は起きていたから。

「さて、起きているけどするかい?」

「やった! してして」

 サービスのお返しをしますか。
 綺麗な同級生を抱き上げる。
 冷静になって考えると凄い事だな。
 彼女のような存在になっているなら、いいのかな。
 行動を肯定するために彼女と言うのもまずいよね。
 ああ。
 そういう壁があるか無いか。
 無い事を分かりやすくするために『彼女』と言うのか。
 『付き合う』ってこともそういう意味で使えばいいのか。
 なら、さくみさは『彼女』と言ってもいい存在な気がする。
 付き合っているとか、彼女だとか言われても否定する気も起きない。
 うん。
 今は気にならないな。
 『彼女』とした方が二人共喜ぶのなら、それでいいかも。
 そんな気がしてきた。

「そんなに嬉しい?」

「少し恥ずかしいけど、癖になりそう」

「喜んでもらえて何よりだ。サービスのお返しね」

「あん。お返ししてもらえるなら料理ぐらいいくらでもしちゃうよ」

「その……色っぽい声が漏れると――」

「え、色っぽい? つい出ちゃったけど……色っぽかった?」

「うん」

「嫌なら気を付ける」

「その逆。聞けて耳が幸せ」

「サダメさあ、正直過ぎだよ。顔が熱くなってきた」

 咲乃もイスに座らせる。
 自分も座っていよいよいただくぞ。

「咲乃ちゃんが作ったの?」

「そうだよ」

「あの、困るんだけど」

「え!? 不味い? 口に合わなかったら無理しないで」

「逆よ。美味し過ぎて困るの。わたしの料理をサダメが食べてくれなくなるじゃない」

「良かったぁ、カルラちゃんに褒められちゃった」

 これはとんでもなく美味い。
 一見よく見る朝食かと思える。
 でも綺麗だし可愛い。
 そして見た目を超えた味。
 
「まるで咲乃そのものだ」

 ――――え。

 思わず口に出てしまった。

「どういうこと?」

「ああっとその……綺麗で可愛い見た目を超えた味だと思ったら、ね」

「――――はわわ」

 両手で顔を隠して恥ずかしがっている。
 それが可愛いんですけど。
 今日の咲乃は魅力全開か!

「朝から兄ちゃん飛ばすわね。何よ、なんだか嫉妬するんだけど」

 ツィスカが嫉妬すると抑えるの大変なのに。
 でも今日の咲乃は褒めさせて欲しいよ。
 たぶん、ツィスカも料理への嫉妬があるのだろう。

「あ~あ、咲乃。とうとう見せちゃったのね」

「ん? だって、サダメが嬉しい事言うから」

「何を言われたの!? まさか……」

「な~いしょ!」

「……サダメちゃん。食べ終わったらじっくり聞かせてもらいたいのですけど」

 咲乃が気になる言い方するから。
 仕方ない。
 美咲にも直接伝えますか。
 咲乃が喜んだ理由であり、美咲への気持ちを――――。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

処理中です...