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第一章
呪い
しおりを挟む呪いとは、突然、右胸に出来る黒い痣のようなもの。段々色が濃くなり、最終的には真っ黒な丸になる。そうすると、性衝動が抑えられず、男でも女でも襲いかかり相手が居なければ自慰行為を人目も憚らずするようになるというなんとも恐ろしいものだった。
そもそも、聖女というのはこの世界では性愛を示し、性別を問わず愛し慈しむ存在らしい。
「で…あたしは何を?」
カイルは言いにくそうにコホンと咳払いをした後、衝撃の言葉を口にする。
「子種を出して頂きたいのです」
「へ?」
「ですので、呪いにかかったものに神聖力を込めながら子種を…」
「はぁああああああああ!?」
比呂がソファから立ち上がり顔を般若のように歪ませている。いのりはポカンと何を言われたんだと意識がどこかにいってしまっている。
申し訳ありませんと謝罪されるが、知らない世界の知らない人の子種…精子を出せって…そんなの娼婦じゃないか。
「…それって女の人は呪われないってことですか?」
「いや、呪われます…その場合神聖力を持つ神官の男がお相手し、子種を逆に注ぎます」
「それじゃ、神聖力を持ったこの世界の女にやらせなさいよ!なんでいのりがしないといけないわけ?とばっちりもいいところよ」
「比呂様。私達が試してないとでも…?女性の場合圧倒的に数が少ないのと少ない神聖力でも時間をかければ完治が可能でした…けれど、男性の場合は中途半端に神聖力を注ぐと逆に暴走してしまって」
悲しげに言うカイルは試してダメだったということの表れなのだろう。瞳は淀んでいて、私共ではどうしようもなく聖女を召喚したんですとポツリと呟いた。
少し気分が悪くなるかもしれませんが、ついてきて頂けますか?
無理やり微笑んだカイルにやり切れないような痛みを感じ、自然と頷いて無言で比呂と一緒について行った。
「あああああああああっ」
地下に降り、男の呻き声が聞こえ始めていのりはびくっと肩を震わせる。比呂が大丈夫?やめとく?と小声で囁いてきたが、知りたいから平気と一歩ずつ歩を進める。だんだんと声が近くなり、一番近くなるとカイルは危ないので傍についてきてくださいねと一番奥にあったその部屋の鉄扉を大きな音を立てながら開けた。
一番最初に目についたのは、男が目を血走らせながら涎を垂らし、必死に両手足につけられた鎖を藻掻いて取ろうとしている姿だった。
「たすけっ…て…つらい…」
息も絶え絶えだけれど、その男のシンボルは服を突き上げて主張していた。カクカクと腰を揺らし、涙と涎を垂らして懇願するようにいのりを見ていた。何度達したのだろう、部屋の中は子種と汗となんだかよくわからない異臭で充満していた。
「手足を縛っていないと自慰行為を血が出ようがしてしまうので酷い様に見えるでしょうけど仕方ないのです」
「そう…なんですね…」
どうしよう。
どうしよう。
どうしようどうしようどうしよう。
あぁ、全然タイプじゃないのにあたし興奮してる。
不謹慎すぎる。こんなに苦しんでるのにあたしはこの人に興奮してる。ぐるぐるとなんとも言い難いこの気持ちが頭を支配し、申し訳なさと不甲斐なさで顔が歪む。
「あ、あの、実際に神聖力ってどう出すんですか?」
「やって下さるのですか…?」
驚いたようにカイルが言うといのりは私で良ければやりますと頷いた。比呂は、あんたが決めたならいいんじゃない?と不満そうにそっぽ向いた。なんだかんだ肯定してくる幼馴染はやっぱり大好きだ。
「では、魔力を巡らせるので目を閉じて下さい」
カイルに神聖力を使えるようにしてもらっている間、いのりの頭の中は不純だったと思う。同情でもなく、使命感でもなく、きっとあたしがこの人に欲情したからやってあげたいんだ。
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