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第29話【燃ゆる思い】(5)
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「こっちはもう、お前に飽きたんだがまだ遊びたいか?......」
強がってはいるが、心身ともに限界であった。
先端が二叉に別れている刀で私を軽々と持ち上げ、
抵抗できず、「ぐったり」としている私の首を軽々と掴み、煮えたぎるマグマのすぐ真上へ連れてかれる。
徐々にその範囲を広げ落下すれば、発現元である今の私ですら死ぬかもしれない。
無口だったのかシャイなのかわからんが奴は、初めて口を開いた。
「貴様はなぜ強い、どこでその技を身に付けた?」
力への執着なのか、私に興味を示していた。
こんな成りのせいでモテなかったが、ついにモテ期がきたか、なんて冗談めいた事を考えていた。
生まれて一度だって誰かの役にたてなかった。
生まれて一度だって恋なんてしなかった。
生まれて一度だって誰かを守りたいと思えなかった。
生まれて......はじめて小さな命に触れた。
守りたいって、信じたいって思えたんだ。
「てめぇなんかに、教えるかばーか......」
手足の感覚なんてとっくになくなり、「だらり」と力なく揺れる手で中指を立て、奴の顔面に血反吐を吐きつけ、死を覚悟した私はそっと目を閉じた。
首を掴んだ手が離れ、なんとも言えない浮遊感を味わい、体は火の中へ放たれた。
強がってはいるが、心身ともに限界であった。
先端が二叉に別れている刀で私を軽々と持ち上げ、
抵抗できず、「ぐったり」としている私の首を軽々と掴み、煮えたぎるマグマのすぐ真上へ連れてかれる。
徐々にその範囲を広げ落下すれば、発現元である今の私ですら死ぬかもしれない。
無口だったのかシャイなのかわからんが奴は、初めて口を開いた。
「貴様はなぜ強い、どこでその技を身に付けた?」
力への執着なのか、私に興味を示していた。
こんな成りのせいでモテなかったが、ついにモテ期がきたか、なんて冗談めいた事を考えていた。
生まれて一度だって誰かの役にたてなかった。
生まれて一度だって恋なんてしなかった。
生まれて一度だって誰かを守りたいと思えなかった。
生まれて......はじめて小さな命に触れた。
守りたいって、信じたいって思えたんだ。
「てめぇなんかに、教えるかばーか......」
手足の感覚なんてとっくになくなり、「だらり」と力なく揺れる手で中指を立て、奴の顔面に血反吐を吐きつけ、死を覚悟した私はそっと目を閉じた。
首を掴んだ手が離れ、なんとも言えない浮遊感を味わい、体は火の中へ放たれた。
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