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第35話【その男危険につき】(2)

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「そんな事は、いいからさ、ちゃちゃっとっちゃおうよ?」

尚も挑発を繰り返す若造に痺れを切らし、刀を差し向ける。

「ほう......名を記憶するのにふさわしい男か判断してやろう」

(しかしまぁ、こんな大物がいるなんて......老体シバから緊急事態エマージェンシーを受けてあらかじめ別の場所に避難者を転送していてよかった)

「あー。ちゃんと覚えとけよ、俺の名はセリエだからな。一生もんだぞ?......まぁ、お前が生きていたらな」

男は右指を兜武者に照準を合わせ、まるでわたあめを作るように、「くるくる」と回しだした。
兜武者は「臆せず」、それでいて「恐れず」、その身軽になった肉体で宙を舞うように疾走する。

楽観的に考えていたが、予想外の行動につい口に出てしまった。
「あらら~。真っ直ぐ来ちゃうかー、案外危険度level-Ⅳってのも脳筋だね」

片手で持つ刀を勢いに任せて正面へ投げ入れ 、己はその後を追うように走る。
兜虫の角の様に先端が二股に別れているその刀は、  速さもしかることながら一瞬の判断が命取りになるほどの選択を迫る。
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