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第38話【その男危険につき】(5)

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広場へ出たニッシャは右へ綺麗な曲線を描き回避すると、炎は一直線にノーメンへ襲いかかる。
カッコつけて冷静に右手を前へ出し、その手のひらには、小さな子犬タイニードックがお利口そうに口を開けてエサを待っていたのだ。
「ズズズッ」とまるで、掃除機にでも吸われた様な音がし、炎はやがてお腹の中へ貯蓄され、満足そうな笑みを浮かべてまた「ぐっすり」と眠りについていた。

「さすが私の魔法、ナイスだぜ!!ノーメン!!」
「ニッコリ」とノーメンに向かい微笑むと少し笑っている気がした。

(しかし、死ぬかと思ったぞ。それは、いいとして......いつの間にか傷が治癒している。この子犬タイニードックのおかげか?)

「あー。そうそう、何か焦げ臭いと思ったら、お前の右手焦げてないか?」

(またか!!?)
ノーメンは慌てて子犬を消すと、しゃがみこみ、右手を地面へ擦り付け小さな煙が立つ。

「しかし......ちと、派手にやり過ぎたな」

ニッシャは腰に手を当て、周りを見渡すと随分、変わり果てている景色に困惑した。

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