いつだってあなたが私を強くする

泥んことかげ

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第42話【再開と親バカ】(1)

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【シレーネ高級住宅街】

ミフィレンがいると思われる場所へ急いで向かったニッシャだったが、突然立ち尽くしてしまう。

「あの場所から察するにここなんだが......人の家にしちゃぁ、広すぎないか?」

見上げれば首が痛くなりそうな程の建物が数々あり、正面にゲートは、無い代わりに透明で見辛いが魔法壁マジックウォールが張り巡らされており警備は、手厳しいみたいだ。

「いや~、しかし私がこの街に居た時は、こんなデカイ建物なかったし、どんなボンボンが住んでるのやら」

私の小言と重なるように僅かだが、か細い声でどうぞ「此方こちらへどうぞ」と言われた気がした。
そう思ったのも束の間、気づいた頃には、私の体がいつの間にか椅子へ着席しており目の前には、見渡す限りお洒落な家具やら食器が陳列されていて、どうやら来客用の部屋みたいだった。


「あらあら......あのお転婆てんば|さんに似て可愛らしい奥様だこと」

即座に振り向いたが声の主わおろか誰も見当たらなかった......と思ったら椅子よりも少し小さいお婆さんが現れ、不思議な顔をしたのを察したのか、その小粒の様な透き通る瞳にまるで心を読まれている気がして背筋が少しだけ「ゾクッ」とした。

「婆さん、これくらい小さな女の子知っているか?」
手でミフィレンを表しながら、私がその小さな目線まで視線を落とすと手に持っていた杖でおでこを小突かれ、「コンッ」と頭の中に軽い音がしたと思ったら頭が真っ白になり意識を失っていた。

【夢の中】

私は、いつも通り任務が終わると決まって街外れの高台にある、大きな樹の下で風を感じながら寄りかかり、「ボーッ」と景色を眺めているのが好きだ。
ここは、見晴らしが良くそれでいて遮るものは、何一つない。
手を伸ばすと届きそうなその眺めと指の隙間から覗く世界は、なんだか不思議な気持ちになる。
届きそうに思えて握っても現実は、何も掴めていない。
物事を見つめ直すには、一人が1番であり、気持ちの整理もしやすい。
今までずーっと一人だった。任務でも、そしてここでも......

「バレてないつもりだろうが煙たいから、すぐ分かったぞ。ドーマ部隊長」

感傷に浸っているのも束の間、真後ろから声がして、大木でも隠せない程の肉体は、「ビクッ」と小刻みに揺れると
「ゴホッ」と1度咳払いをして私の前に現れる。

「よぉニッシャ、また一人でここにいるのか?ほんと好きだねぇ......」

ドーマは、横に座ると懐から小さな箱を取り出し、「煙草」を一本出すと口に咥え指先の火で着火し、「フーッ」と目の前の景色に大きな白い気体が広がる。
何だかペースを乱されたのが嫌で立ちあがり、取り敢えず頭を一叩ひとたたきし、何やら笑っており、一人の時間を邪魔された恨みもあるので続けざまに一蹴ひとけりかます。

何かにつけて、気にかかていたそいつドーマは、いずれ私の手で殺し、腕の中で息を引き取る事となる。
私は、大事な仲間と名誉を失う事となるがそれは、後に話すとしよう。

そこからは、老体シバはからい森で身を潜めるわけだが......

昔の記憶が次々と蘇るなか、突然、頬に強烈な痛みが走り目を覚ました。

【屋敷内の部屋】

何やら顔を、「グリグリッ」と力任せに押し付けられる様な感覚があり、寝ている体を起こすと、私に乗っていたまん丸な体が「コロコロ」と転がるのが分かる。
錦糸卵きんしたまごの様なもじゃもじゃは、小さな手で持っていた赤いクレヨンを手放すと、髪の毛を掻き分け、蒼と藍色の眼を大きく見開いて笑っていやがる。

「ニッシャ、変なお顔~♪可愛い!!」

「ケラケラ」と笑われ、寝ぼけまなここすりながら部屋の隅っこにある、「姿見すがたみ」で確認する。
昔から、寝癖が酷いせいで朱いヒトデの様に「クネクネ」としているその髪の毛とおまけに顔は、ミフィレンが落書きしたせいで花畑見みたいになっていた。
額には、「機関車」が走り、目元には色鮮やかな「花」があしらわれていて、あまりの可愛い落書きに怒る気持ちにもなれなかった。

「ミフィレン久しぶりだなぁ、何でこんな所いるんだ?」

避難所に送って以来だから、数時間ぶりだが私が用意した服では、なく無地のパジャマを着用し髪の毛は、いつも通りの「もじゃもじゃ」でなんか安心した。

「ニッシャ久しぶりー!!ここのお婆ちゃんが連れてきてくれたの♪友達も出来たよー!!」

あまりの元気振りに、保育所に預けた親の気分に浸る。
(可愛い、愛しい、あー幸せ!!)
視線まで姿勢を落とし、「ギュッ」と抱き締めながら耳元でささやく。 
「とにかく無事で良かったよ。あんたがいなかったら私は、どうにかなってしまいそうだ」

無言でお互いに抱き締めたかと思えば小さな両手は、私の髪を掴み鼻に突っ込んだり口元に当て、「お髭」とかやりだした。

(そんなところも可愛いよミフィレン♪)

ミフィレンの遥か後方に小さな影が見え、同じ年頃だと思われる女の子が赤子を抱いてこちらをみていた。
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