黒猫館 〜愛欲の狂宴〜

翔田美琴

文字の大きさ
2 / 45

第二夜 一夜明け、また悦楽に

しおりを挟む
 一体、あれから私の身に何が起きていたのかわからないままに、いつの間にか自分の個室へと戻っていた──。 
 記憶にあるのは、悦楽の虜になり、一心不乱に腰を踊らすあの奥様の姿だった。
 下半身の方は今は、落ち着いている。
 ただし異様な疲労感は拭えないでいた。
 ベッドに横になり、腕枕しながら物思いに耽る。
 
『あなたの仕事は私を愉しませる事。己の身体を存分に使ってね』

 冷淡な物言いとは裏腹に、妖艶で淫靡な顔が印象に残っている。
 私の個室には一応、シャワールームは完備されていた。この時代にこれを完備しているのは流石は資産家の館だ。  
 私はねっとりと湿った身体を綺麗にするべくシャワーを浴びる事にした。
 すると、そこにメイドの女性の声が聞こえた。
 
「松下様。メイドの亜美あみでございます」

 私は少し大声で話した。
 丁度、シャワーを浴び始めた頃合いだったので。
  
「亜美さん? ああ、奥様の部屋に案内してくれた女性ひとだよね」
「入っていいよ。鍵はかけてないから」
「失礼致します」

 あのメイドの女性は亜美あみって名前の娘だったのか。
 可愛らしい名前だ、姿も可愛らしい。
 
「松下様。お着替えをお持ちしました。纏っていた洋服は洗濯しておきますね」
「用意がいいですね」
「──これが、私の仕事ですから」

 シャワールームを挟んで会話する。
 こちらからは、彼女の姿は見えない。
 だが、見えない方がいい場合もある。
 特にこの『黒猫館』では──。
 
 だが、ここで予想の斜め上を行く体験を私はしてしまう。
 軽く十分程のシャワーを浴び、ほぼ全裸でタオルだけを持って現れたのがよく無かった。
 メイドの亜美さんはずっと私を待っていたのだ。ほぼ無言だったが──。
 しかし、亜美は私の事を熱を帯びた眼差しで見つめていた。
 まるで焼き付くような眼差し──。
 私も身体をタオルで拭くのを忘れて、つい彼女の瞳を見つめてしまった──。
 下半身も隠さないで、ぬるま湯に濡れた身体からは湯気がのぼる。
 
「どうしたのかな──?」
「あの……私──昨夜の奥様と松下様が愛し合っているのを──覗いてしまいました」

 あのシーンを観ていたというのか。
 確かに奥様の直美様は大声で悦楽に酔っていたからな。
 隣の部屋まで聞こえても不思議じゃない。
 しかし、亜美の告白はこれだけでもなくて。

「私──その後、いけないって分かっていても、抑えが利かなくて、自分自身を慰めてしまいました」

 そういう彼女は下半身を少しもじもじさせて恥ずかしそうに悶えている。
 彼女はどうにか落ち着こうとタオルを握ると私にこう言った。

「あ、このままでは湯冷めしてしまいます。私が身体を拭いて差し上げますから」
「そ、そこまでしなくてもいいよ」
「いいえ──させてください」

 亜美はあの純真そうな瞳からは信じられない程の色気で呟いたのだ。

「私も──松下様の身体に触れたいんです」

 亜美はタオルケットで上半身から拭いてくれた。タオルケットは柔らかくて、まるで羽のような触り心地。胸板、おへそ、首、背中、腰、お尻、あらゆる場所を丁寧に拭く。
 何だか湯冷めをしていた身体がもっと違う熱で熱く感じる──。
 この気持ちは何だろう?
 率直な気持ちは──亜美さんを抱いてみたい。
 まさか、あの美酒の余韻が抜けきってないのか──?
 私はあの美酒を飲まされた直後から、異様に女性に対して敏感な身体になった。
 亜美さんのタオルが丁度、下半身の分身を撫でるように拭いている。  
 目の前には亜美さんの顔が──。
 やましい欲望は、亜美の口にそれを咥えて貰えと叫んでいるみたいだ──。
 そんな意識にすぐに身体は反応してしまった。
 少しずつ、盛り上がるではないか。

「松下様……いけない人……」
「す、すまない……っ。何故かわからないけど大きくなってしまうんだよね……」
「もう少し、待っていてくださいね……後少しで拭き終わりますから」

 タオルケットは両足まで拭いてくれた。
 しかし、その間、象徴シンボルは素直に臨戦態勢を取っていく。
 すると、亜美さんは一言、言った。

「今日の朝はこれだけですよ? いいですね?」

 そこであの清楚だったかもしれない亜美さんが熱烈な奉仕を私にした。
 得も言われぬ快感が、確かな覚醒となった襲ってくる──!
 思わず情けない喘ぎ声を上げてしまう。

「アウッ…うアッ…す、すごっ……い」
「ンンッ…うふぅ…元気な子……っ」

 鮎川家のメイドはもしかしてこう言ったものも訓練させているのか?
 と考えてしまうくらいに熟練の舌業だった。
 口腔いっぱいに含み、きちんと舌を使い、舐めてくれる感覚が刻み込まれていく──!
 だ、ダメだ……! 
 この快感に目覚めたら──私は、いや俺は元に戻れなくなってしまう……!
 だが、亜美の口の攻撃はやまない。
 それを解放する為に、今度は手まで使い出す。
 荒い息遣いと共に、懸命に奉仕をする光景は、俺がそこまで駆け上がるまで続いた。

「はあっ……はあっ……」

 まだ朝なのに、とんでもないものを味わった。
 一体、この館の女性達は何を考えているんだ──。
 ひとしきりの彼女の欲望を発散した亜美さんはにこやかな顔で、朝ご飯の支度の用意が出来ている事を告げた。

「もう、こんな時間。朝ご飯の時間が来ています。松下様も食堂までお越しくださいませ」

 呆然とする俺を尻目にそれを告げて去っていった亜美さんだった。

 そして、俺は、夕も夜も、求められる事を知らないでいた。
 いつまでも終わらない、快楽という名前の罠に。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

終焉列島:ゾンビに沈む国

ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。 最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。 会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

処理中です...