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第3章 混沌、それは人の心
3-10 暴かれた本性
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真夜中のアカデミア研究所の病室にはルージュパピヨンの実験にて倒れた被験者の二人がそこにいる。
こんな真夜中にルーアの知人が訪れた事にレムは警戒しながら扉を開けた。後ろ手に短剣を持ち紅い蝶が気を付けろと警戒するように飛んでいる。
だが──事態は最悪の方向へ転がり落ちる。
扉を開けた瞬間にそれは訪れた。
「君は──うアッ!!」
シャーリーは歪んだ微笑みを浮かべ、レムの胸板に鋭利な短剣を突き立てた。背後にはシャーリーの監視をするエリックが信じられない事を目の当たりにして呆然としている。
胸に血の花を咲かせたレムが倒れた瞬間、ルーアが覚醒して、とても病人とは思えない速さでベッドから起き上がり、倒れたレムを観た──その瞬間。
ルーアの『何か』が切れた。
シャーリーが血に塗れる混沌の女神の騎士を見下して大笑いをしている。
「アハハハハハハッ! 死んだ! 死んだわ──! アハハハハハ! ざまあみろってんだ!」
「──貴様ッ! 殺す!」
ルーアは怒りの瞳で部屋に無造作に轉がる短剣を握ると恐ろしい速さでシャーリーの胸に短剣を突き立てた!
「ガハッ……! ル、ルーア様……?」
そこから更にルーアは短剣を抜くと何度も何度もシャーリーの胸に短剣を刺し続けた!
「死ね! 死ね! 死ねぇ! 死ね──っ!!」
「な、何で私は……っ、ルーア様に……っ、刺されて……?」
「クソ女、死ね! 死ねぇ!」
「や、やめろ! ルーア様っ! シャーリーはもう……!」
エリックがそこでルーアを羽交い締めしてシャーリーの殺害をやめさせる。血に塗れたシャーリーとレムの肉体が転がる病室にルーアの悲鳴がこだました。
「レムを殺しやがってこのクソ女はミンチにしてやる! 離せ! 離せ──っ!!」
「もうシャーリーは死んでいる! やめるんだ!」
同時にあの女神殺しのグレイブが現れた。
得意気に嘲笑うグレイブは殺された女神の騎士に対して一瞥をくれると、殺意に燃えるルーアに対して誘惑の言葉をかける。
騒ぎが大きくなり、ホープも、その他の研究員達も続々と集まる。
「ルーア姫よ、悔しいか? 混沌の女神の騎士を失って?」
「グレイブ……貴様も殺してやる!! 離せ!」
エリックの羽交い締めから無理矢理、脱出したルーアは血に塗れた短剣でグレイブを殺そうと突撃した!
裂帛の気合で的確な突きを放つルーア。
グレイブが余裕のある笑みでそれを躱して、闘いを始める中で、研究所の職員は倒れるレムとシャーリーの体を診ている。
「……シャーリーは無理だ……既に絶命している……!」
エリックが無惨なシャーリーの体を診て首を降った。レムの体を診る。彼も心臓の部分に刃を突き立てられ、口から吐血してうつ伏せで倒れている──。
周りを飛ぶルージュパピヨンはそこで不思議な動きをする。
彼の生命の代わりにまるで心を護るように紅く輝く光を抱いて周囲を旋回している。
観たことのない動きだ。ルージュパピヨンは何を持っている?
裂帛の叫び声で短剣を突き立て、怒りに燃えるルーアは明らかに頭に血が昇り、目の前の対象を殺戮する事に集中している──。
間もなく短剣を握る右腕を握り絞めたグレイブはその腕を捻り上げると
「彼を生き返らせたいか? ルーア姫……?」
「……?!」
「私にその生命を差し出せば、彼を生き返らせても良いぞ……?」
グレイブはそこで誘惑的な商談を持ちかける。
「私にその生命を託せば、彼を生き返らせるなど造作もない事──どうかな?」
だが、そこに黒髪の青年がグレイブの誘惑に乗るなとルーアに呼びかけた。
「彼は嘘をついている! その話は嘘です! ルーアさん、騙されないで!」
「僕を信じて! レムさんを生き返らせる方法があります!」
「何を根も葉もない事を話している? そこの少年?」
「あなたこそ、根も葉もない事を彼女に話さないで貰いたい」
怒りになお燃えるルーアの心は混乱していた。
混乱の女神の騎士の生命を二人の男性が共に同じ提案をしている──。
だが、お互いに根も葉もない事を言うなと主張している……。
彼女は大粒の涙を流して、目の前で起きる事に顔を覆ってしまいたい衝動に駆られた。
(どちらを信じたらいいの……? 私は……私は……レム……答えてよ……死んだの嘘だって……言ってよ……! レム……)
混乱の女神の騎士は目を閉じて倒れたまま、何も答えない──。徐々に血の気が引く。元々、乳白色の肌が更に白くなり、周りにはルージュパピヨンが旋回するばかり……。
そこで彼女は黒髪の少年から、見えない翼を観た気がした……微かに、だが、それは神々しい十二枚の翼を持っている……。
何処となく面影は混沌の女神の騎士に似ている青年だった。
ホープやエリックも黙ってそれを見守っている……。
彼らもその青年を目を丸くして観ている──。
「あなたは……まさか……ルシファー様……?」
「──何!? ルシファーだと!?」
グレイブはそのルシファーという名前にあからさまな嫌悪感を向けて、黒髪の青年を睨みつける。だが、グレイブにはただの青年にしか見えない。
黒髪の青年は、まだ『少年』のような見た目だった。だが放たれるその存在感は少年のそれとは違う。
「赤の他人だ、その方とは関係ない」
口調を変えた黒髪の少年は違うと首を振った。
ルーアは倒れるレムを見つめると、胸に抱いていた『幻の紫水晶』が砕け散って、紫色の光だけが散らばっているのを目撃する。
秘石は持ち主の生命が形になったもの。それが砕ける時はその者の生命が尽きた事を報せている……。
……やっぱり……死んだの……レム……。
嗚咽をあげて泣き出すルーア。
するとレムの周りを旋回していたルージュパピヨンが紅い光を抱いて彼女の周りを旋回し始める。
まるで、大丈夫、主は無事ですと知らせるように飛んでいた。
グレイブは黒髪の青年から、ただならぬ何かを感じて、苦し紛れな言葉と共にその場から去った──。
「──まあ、いいだろう。これでルーア姫を後は迎えるだけの事。邪魔者は始末できた。また会おうではないか、ルーア姫よ」
まるで霧のように消え去るグレイブ。
その場には、レムの魂の抜けた体のみが遺された。
嗚咽をあげる彼女の泣き声が部屋に響いていた……。
こんな真夜中にルーアの知人が訪れた事にレムは警戒しながら扉を開けた。後ろ手に短剣を持ち紅い蝶が気を付けろと警戒するように飛んでいる。
だが──事態は最悪の方向へ転がり落ちる。
扉を開けた瞬間にそれは訪れた。
「君は──うアッ!!」
シャーリーは歪んだ微笑みを浮かべ、レムの胸板に鋭利な短剣を突き立てた。背後にはシャーリーの監視をするエリックが信じられない事を目の当たりにして呆然としている。
胸に血の花を咲かせたレムが倒れた瞬間、ルーアが覚醒して、とても病人とは思えない速さでベッドから起き上がり、倒れたレムを観た──その瞬間。
ルーアの『何か』が切れた。
シャーリーが血に塗れる混沌の女神の騎士を見下して大笑いをしている。
「アハハハハハハッ! 死んだ! 死んだわ──! アハハハハハ! ざまあみろってんだ!」
「──貴様ッ! 殺す!」
ルーアは怒りの瞳で部屋に無造作に轉がる短剣を握ると恐ろしい速さでシャーリーの胸に短剣を突き立てた!
「ガハッ……! ル、ルーア様……?」
そこから更にルーアは短剣を抜くと何度も何度もシャーリーの胸に短剣を刺し続けた!
「死ね! 死ね! 死ねぇ! 死ね──っ!!」
「な、何で私は……っ、ルーア様に……っ、刺されて……?」
「クソ女、死ね! 死ねぇ!」
「や、やめろ! ルーア様っ! シャーリーはもう……!」
エリックがそこでルーアを羽交い締めしてシャーリーの殺害をやめさせる。血に塗れたシャーリーとレムの肉体が転がる病室にルーアの悲鳴がこだました。
「レムを殺しやがってこのクソ女はミンチにしてやる! 離せ! 離せ──っ!!」
「もうシャーリーは死んでいる! やめるんだ!」
同時にあの女神殺しのグレイブが現れた。
得意気に嘲笑うグレイブは殺された女神の騎士に対して一瞥をくれると、殺意に燃えるルーアに対して誘惑の言葉をかける。
騒ぎが大きくなり、ホープも、その他の研究員達も続々と集まる。
「ルーア姫よ、悔しいか? 混沌の女神の騎士を失って?」
「グレイブ……貴様も殺してやる!! 離せ!」
エリックの羽交い締めから無理矢理、脱出したルーアは血に塗れた短剣でグレイブを殺そうと突撃した!
裂帛の気合で的確な突きを放つルーア。
グレイブが余裕のある笑みでそれを躱して、闘いを始める中で、研究所の職員は倒れるレムとシャーリーの体を診ている。
「……シャーリーは無理だ……既に絶命している……!」
エリックが無惨なシャーリーの体を診て首を降った。レムの体を診る。彼も心臓の部分に刃を突き立てられ、口から吐血してうつ伏せで倒れている──。
周りを飛ぶルージュパピヨンはそこで不思議な動きをする。
彼の生命の代わりにまるで心を護るように紅く輝く光を抱いて周囲を旋回している。
観たことのない動きだ。ルージュパピヨンは何を持っている?
裂帛の叫び声で短剣を突き立て、怒りに燃えるルーアは明らかに頭に血が昇り、目の前の対象を殺戮する事に集中している──。
間もなく短剣を握る右腕を握り絞めたグレイブはその腕を捻り上げると
「彼を生き返らせたいか? ルーア姫……?」
「……?!」
「私にその生命を差し出せば、彼を生き返らせても良いぞ……?」
グレイブはそこで誘惑的な商談を持ちかける。
「私にその生命を託せば、彼を生き返らせるなど造作もない事──どうかな?」
だが、そこに黒髪の青年がグレイブの誘惑に乗るなとルーアに呼びかけた。
「彼は嘘をついている! その話は嘘です! ルーアさん、騙されないで!」
「僕を信じて! レムさんを生き返らせる方法があります!」
「何を根も葉もない事を話している? そこの少年?」
「あなたこそ、根も葉もない事を彼女に話さないで貰いたい」
怒りになお燃えるルーアの心は混乱していた。
混乱の女神の騎士の生命を二人の男性が共に同じ提案をしている──。
だが、お互いに根も葉もない事を言うなと主張している……。
彼女は大粒の涙を流して、目の前で起きる事に顔を覆ってしまいたい衝動に駆られた。
(どちらを信じたらいいの……? 私は……私は……レム……答えてよ……死んだの嘘だって……言ってよ……! レム……)
混乱の女神の騎士は目を閉じて倒れたまま、何も答えない──。徐々に血の気が引く。元々、乳白色の肌が更に白くなり、周りにはルージュパピヨンが旋回するばかり……。
そこで彼女は黒髪の少年から、見えない翼を観た気がした……微かに、だが、それは神々しい十二枚の翼を持っている……。
何処となく面影は混沌の女神の騎士に似ている青年だった。
ホープやエリックも黙ってそれを見守っている……。
彼らもその青年を目を丸くして観ている──。
「あなたは……まさか……ルシファー様……?」
「──何!? ルシファーだと!?」
グレイブはそのルシファーという名前にあからさまな嫌悪感を向けて、黒髪の青年を睨みつける。だが、グレイブにはただの青年にしか見えない。
黒髪の青年は、まだ『少年』のような見た目だった。だが放たれるその存在感は少年のそれとは違う。
「赤の他人だ、その方とは関係ない」
口調を変えた黒髪の少年は違うと首を振った。
ルーアは倒れるレムを見つめると、胸に抱いていた『幻の紫水晶』が砕け散って、紫色の光だけが散らばっているのを目撃する。
秘石は持ち主の生命が形になったもの。それが砕ける時はその者の生命が尽きた事を報せている……。
……やっぱり……死んだの……レム……。
嗚咽をあげて泣き出すルーア。
するとレムの周りを旋回していたルージュパピヨンが紅い光を抱いて彼女の周りを旋回し始める。
まるで、大丈夫、主は無事ですと知らせるように飛んでいた。
グレイブは黒髪の青年から、ただならぬ何かを感じて、苦し紛れな言葉と共にその場から去った──。
「──まあ、いいだろう。これでルーア姫を後は迎えるだけの事。邪魔者は始末できた。また会おうではないか、ルーア姫よ」
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