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第1部 アサシンドクター
25話 想いを込めて君を討つ
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青い刀身の剣を持つ暗殺者に案内されて地下3階のダンスホールへと連れられたエリオット。
大きなフロアが広がるホールにて向かい合うと青い刀身を持つ暗殺者がおもむろに赤い女王【レッドクイーン】を地面に突き刺し、握るように促す。
レッドクイーンを握るエリオットは手に馴染む刀剣を握り、その刀身を青い刀身の暗殺者に向けた。芝居がかったその仕草に青い刀身の暗殺者も倣うようにその刀身を向ける。
まるで鏡のように構えた2人の剣士。
これから始まる決闘にエリオットはその厳しい顔を向けて、独特な色の瞳を冷たく煌めかせた。
「綺麗ね……その冷たい瞳、ぞくぞくするわ」
「嬉しいね、そりゃあ」
エリオットは挑発するような言葉遣いをして向かい合う暗殺者に対して言葉を掛ける。
「その刀身の剣を扱える人物は、俺は1人しか思い付かない。──だから、遠慮なくいくよ」
「遠慮なく……嬉しいわね」
「私も遠慮なくいくわ。今までの想いをこの剣に込めて──!」
彼女がその青い刀身の大型剣を構えた。
やはり、その構え方は彼女独自の構え。実戦的ではないが、見栄えの良い儀礼的な構え方……!
彼も赤い女王【レッドクイーン】を握り締め、構えを取った。
そして、早々に彼はダッシュするとレッドクイーンを流麗な動きで、一気に振り下ろす!
すると、青い刀身の大型剣の暗殺者はまるで舞うようにそれを弾き返した。その動きはまるで剣舞を舞うかのような動き。
エリオットもレッドクイーンを華麗に操り直ぐに第二撃を振り下ろす。その第二撃も彼女は正確に舞うように弾く。男性にも見劣りしない力強さを感じる──。
青い刀身の暗殺者もレッドクイーンを持つ彼の動きに見惚れる。相変わらず流麗な洗練された動きだ。彼も同様に剣舞を踊る剣士のような動き。その赤い刀身にきちんと殺気も込めてきた。
そうして彼らの戯れのような剣戟の舞踊がスピードに乗って、流れるように始まった──。
『……凄いじゃないか。その大型剣を扱うのは君では重荷だろうに、かつて手合わせした時に比べて──重さが違う……!!』
『……エリオット……! 私の……怒りを……受け取って……っ!!』
「くっ……っ」
一度、剣で鍔迫り合いをしながら、彼は相手に声をかけた。
「俺に怒っているんだな……!! 良いさ……怒りをぶつけてみろっ! 全部、受け止めてやるよ!」
「その余裕、いつまで持つかしら?」
冷徹な青い刀身が彼のコートを掠めた。
「……惜しいな、そんな状態で、俺を斬れるのか!?」
「ほざけ!」
「そのおちょくるような言葉遣い──気に入らない!! その上から目線の貴方も──!!」
まるで怒りに呼応するように、青い刀身が深い、深い闇に覆われていく──。だが、彼はその怒りを受け止める為に、レッドクイーンで相手の剣を受け止める。
受け止める度に、重さが増していく──感情が入れられて、彼の手に衝撃が伝わる。その手のひら越しに彼は剣を交える人物の、自らへと向けられた怒りが、悲しみが、伝わる。
君は……俺を支えている間、その怒りを、悲しみを内に封じていたのか……それにも構わず好き勝手に俺は振る舞って──君の怒りを顧みず、君の悲しみにも寄り添わないで。
勝手な男だ──君にもだから勝手に振る舞って欲しかった。でも、君は他の男を作ろうとはしない……そう、俺だけを待っていた。
君は何時しか感情の仮面を付けるようになった。哀しいけど哀しくないフリ──ムカつくけど怒っていないフリ──俺達は仮面夫婦になろうとしていた──。
だから、その【ブルーエンペラー】を握り締めるのが君で良かった。このレッドクイーンを握り締める限り、その青い皇帝と闘う運命に俺はある。
──だから、もっと俺にぶつけてくれ──怒りを、哀しみを……愛情すらも……! こうして向き合う事が出来る内に。君の本音を……ぶつけてくれ。
気に入らないならそう伝えて欲しい──ムカつくなら怒って欲しい──。
子供みたいかも知れない。でも感情を失うよりはマシだ。泣きたいなら俺の胸下で泣いて欲しい。俺にはその感情をぶつける価値は無いと言うのか──君は!?
「ねぇ……本音が見えてきたじゃない!? 貴方にも」
「……ああ。もっと本気で斬り込んでこい!」
「覚悟なさいな!」
今度は思い切り振りかぶって青い刀身が振り下ろされる。彼はバックステップで回避して大型剣の刃はダンスホールの床を斬る。
だが瞬時に二撃目、三撃目が飛んで、紙一重の所を掠める。
エリオットはレッドクイーンの間合いをキープしつつ、剣戟が当たるスレスレに身体を入れてきていた。
剣戟が当たりそうになるとレッドクイーンでいなす。一方的に攻撃をさせながら、要所要所で彼も剣戟を入れる。ブルーエンペラーの人物も要所要所で剣戟を入れる。
彼らが細かい傷を負いだした……。
お互いにそろそろスタミナが切れる頃合いになっている。でも、闇を帯びた深い青の刀身が鮮やかな青に戻っていない……。まだなんだな……君の闇は晴れていない……。
一度、彼らは大きく間合いを開けた──。
軽く息を上げるエリオット。向こうも息を上げて、口元が息をする為に荒い呼吸をしている。
「はぁ……はぁ……」
「ふうっ……大丈夫か」
「相手の心配をしている場合?」
「するさ……ブルーエンペラーを握る人なら」
エリオットはレッドクイーンに秘められた意味をこう解釈していた。
「レッドクイーンはブルーエンペラーの謂わば対となるもの──だから君の想いが晴れるまでこのレッドクイーンと共にいるんだ。そうじゃないとレッドクイーンが泣く──何故、パートナーを放って置くんだって」
「お前には赤い女王を握り締める資格なんてないってレッドクイーンが教えるんだ」
──救ってやれって。救えるのは赤い女王を握るエリオット、お前だけだ、と。
だからまだ、青い皇帝との舞踊を終える訳にはいかない。そこに救うべき者がいる限り、闘いは続く──。
大きなフロアが広がるホールにて向かい合うと青い刀身を持つ暗殺者がおもむろに赤い女王【レッドクイーン】を地面に突き刺し、握るように促す。
レッドクイーンを握るエリオットは手に馴染む刀剣を握り、その刀身を青い刀身の暗殺者に向けた。芝居がかったその仕草に青い刀身の暗殺者も倣うようにその刀身を向ける。
まるで鏡のように構えた2人の剣士。
これから始まる決闘にエリオットはその厳しい顔を向けて、独特な色の瞳を冷たく煌めかせた。
「綺麗ね……その冷たい瞳、ぞくぞくするわ」
「嬉しいね、そりゃあ」
エリオットは挑発するような言葉遣いをして向かい合う暗殺者に対して言葉を掛ける。
「その刀身の剣を扱える人物は、俺は1人しか思い付かない。──だから、遠慮なくいくよ」
「遠慮なく……嬉しいわね」
「私も遠慮なくいくわ。今までの想いをこの剣に込めて──!」
彼女がその青い刀身の大型剣を構えた。
やはり、その構え方は彼女独自の構え。実戦的ではないが、見栄えの良い儀礼的な構え方……!
彼も赤い女王【レッドクイーン】を握り締め、構えを取った。
そして、早々に彼はダッシュするとレッドクイーンを流麗な動きで、一気に振り下ろす!
すると、青い刀身の大型剣の暗殺者はまるで舞うようにそれを弾き返した。その動きはまるで剣舞を舞うかのような動き。
エリオットもレッドクイーンを華麗に操り直ぐに第二撃を振り下ろす。その第二撃も彼女は正確に舞うように弾く。男性にも見劣りしない力強さを感じる──。
青い刀身の暗殺者もレッドクイーンを持つ彼の動きに見惚れる。相変わらず流麗な洗練された動きだ。彼も同様に剣舞を踊る剣士のような動き。その赤い刀身にきちんと殺気も込めてきた。
そうして彼らの戯れのような剣戟の舞踊がスピードに乗って、流れるように始まった──。
『……凄いじゃないか。その大型剣を扱うのは君では重荷だろうに、かつて手合わせした時に比べて──重さが違う……!!』
『……エリオット……! 私の……怒りを……受け取って……っ!!』
「くっ……っ」
一度、剣で鍔迫り合いをしながら、彼は相手に声をかけた。
「俺に怒っているんだな……!! 良いさ……怒りをぶつけてみろっ! 全部、受け止めてやるよ!」
「その余裕、いつまで持つかしら?」
冷徹な青い刀身が彼のコートを掠めた。
「……惜しいな、そんな状態で、俺を斬れるのか!?」
「ほざけ!」
「そのおちょくるような言葉遣い──気に入らない!! その上から目線の貴方も──!!」
まるで怒りに呼応するように、青い刀身が深い、深い闇に覆われていく──。だが、彼はその怒りを受け止める為に、レッドクイーンで相手の剣を受け止める。
受け止める度に、重さが増していく──感情が入れられて、彼の手に衝撃が伝わる。その手のひら越しに彼は剣を交える人物の、自らへと向けられた怒りが、悲しみが、伝わる。
君は……俺を支えている間、その怒りを、悲しみを内に封じていたのか……それにも構わず好き勝手に俺は振る舞って──君の怒りを顧みず、君の悲しみにも寄り添わないで。
勝手な男だ──君にもだから勝手に振る舞って欲しかった。でも、君は他の男を作ろうとはしない……そう、俺だけを待っていた。
君は何時しか感情の仮面を付けるようになった。哀しいけど哀しくないフリ──ムカつくけど怒っていないフリ──俺達は仮面夫婦になろうとしていた──。
だから、その【ブルーエンペラー】を握り締めるのが君で良かった。このレッドクイーンを握り締める限り、その青い皇帝と闘う運命に俺はある。
──だから、もっと俺にぶつけてくれ──怒りを、哀しみを……愛情すらも……! こうして向き合う事が出来る内に。君の本音を……ぶつけてくれ。
気に入らないならそう伝えて欲しい──ムカつくなら怒って欲しい──。
子供みたいかも知れない。でも感情を失うよりはマシだ。泣きたいなら俺の胸下で泣いて欲しい。俺にはその感情をぶつける価値は無いと言うのか──君は!?
「ねぇ……本音が見えてきたじゃない!? 貴方にも」
「……ああ。もっと本気で斬り込んでこい!」
「覚悟なさいな!」
今度は思い切り振りかぶって青い刀身が振り下ろされる。彼はバックステップで回避して大型剣の刃はダンスホールの床を斬る。
だが瞬時に二撃目、三撃目が飛んで、紙一重の所を掠める。
エリオットはレッドクイーンの間合いをキープしつつ、剣戟が当たるスレスレに身体を入れてきていた。
剣戟が当たりそうになるとレッドクイーンでいなす。一方的に攻撃をさせながら、要所要所で彼も剣戟を入れる。ブルーエンペラーの人物も要所要所で剣戟を入れる。
彼らが細かい傷を負いだした……。
お互いにそろそろスタミナが切れる頃合いになっている。でも、闇を帯びた深い青の刀身が鮮やかな青に戻っていない……。まだなんだな……君の闇は晴れていない……。
一度、彼らは大きく間合いを開けた──。
軽く息を上げるエリオット。向こうも息を上げて、口元が息をする為に荒い呼吸をしている。
「はぁ……はぁ……」
「ふうっ……大丈夫か」
「相手の心配をしている場合?」
「するさ……ブルーエンペラーを握る人なら」
エリオットはレッドクイーンに秘められた意味をこう解釈していた。
「レッドクイーンはブルーエンペラーの謂わば対となるもの──だから君の想いが晴れるまでこのレッドクイーンと共にいるんだ。そうじゃないとレッドクイーンが泣く──何故、パートナーを放って置くんだって」
「お前には赤い女王を握り締める資格なんてないってレッドクイーンが教えるんだ」
──救ってやれって。救えるのは赤い女王を握るエリオット、お前だけだ、と。
だからまだ、青い皇帝との舞踊を終える訳にはいかない。そこに救うべき者がいる限り、闘いは続く──。
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