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第1クール 魔女裁判編
Case01 よく見られたい欲を止められなかった罪
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魔女名 リリア・フェルミア
罪状 よく見られたい欲を止められなかった罪
備考 本人曰く、素直で綺麗でいたいだけとのこと。虚栄の自覚は薄い。
彼女、リリアは相変わらず軽いノリでこのSMクラブの扉を開く。友人も連れて、観客としてやってきたつもりだった。
それが彼女にとっての運の尽き。
まずは冗談のつもりで罪状ガチャに挑む。周りの人間たちは
「あーー!! 二度寝した罪だと!」
「誰にも愛されていない罪なんて……!」
「疑心暗鬼罪だと!?」
様々な自白めいた言葉が飛んでいる。
「ちょっと引いてみよー」
この罪状ガチャ、実に腹が立つ。黒曜石で作られた意味深な箱から、まるでレシートの紙のように1枚の紙が出てくるのだ。そこに書かれている罪状が、その被告の掘るべき課題となる。
リリアに出てきた罪状は『よく見られたい欲を止められなかった罪』、『罪状虚栄罪』とあった。
彼女が強張った顔をする。
「何これー! 誰が虚栄って! そもそも虚栄って何!?」
友人は吐き捨てるように説明する。
「自分を過剰によく見せようとしていること。まんまあんたじゃん。SNSでひけらかしたり、だから彼氏にだって振られてさ」
「違うの! あれは素直に綺麗でありたいだけなの!」
「まあ、良いじゃん。そんなに重罪じゃなさそうよ。ほら、カードにはレア罪状ってある」
友人は絶妙に深くない罪に笑いを堪える。馬鹿にしているような節。
「ほら、リリア! この調子で判事ガチャに行こうよ!」
「あんたもいつか裁きが下るわよ」
友人であるジェシカも罪状ガチャを引いた。
すると『本音をズバズバ言い過ぎる罪』とあった。『罪状言葉刃物罪』。
リリアも思わず突っ込む。
「あんた、そのまま、ウケる~」
「だねぇ……罪状ガチャ、何かムカつくわ」
2人は判事ガチャへ挑戦。
判事ガチャとは黒のベルベットの箱に手を突っ込みくじを引くという至極シンプルな造り。大きさとしては割と大きい。腕がすっぽりと入る箱で、その中のカードを引くというもの。1回、300リース。10連まで回すことができる。
リリアは何を思ったのか、判事ガチャをいきなり10連で回す。
「何を考えてるの!? いきなり10連、やるなんて!」
「だってさ、SSR判事、いきたいじゃん」
周りのパリピ客も
「SSR! SSR!」
と叫ぶ。煽りに乗せられてリリアも一気に3000リース投入。ちなみに日本円で例えるなら3000円分である。
その結果は悲惨であった。
最高レアはレア判事。つまりリリアを裁くのはレア判事ということである。
ジェシカが笑っている。
「3000リースも突っ込んだのに、レア判事止まりってのはウケる~!」
「私、馬鹿にされてる~?」
「このSMクラブ、リリアのことを絶妙に嗤っているよ」
「悔しい……っ!」
この喧騒を遠くから眺める2人のSSR判事がいた。
飯の判事ラファエル・ヘミングウェイ判事と炎の判事エリオット・レム判事。彼らは店の片隅にて何時もの店の喧騒を笑って眺めている。至極、楽しそうに。
「今日も何時ものテンションで安心だな」
「全くな! 客達のリアクションもここまで来れば立派な芸だよ」
「このSMクラブではそのリアクション芸が舞台を添える華になる」
「ひどい言い方だよなぁ、エリオット判事」
「さて、誰が今夜、私を引くかな?」
「お前が来た途端、舞台がえらいことになるから来てほしくないかも」
「ラファエル判事の言い草もひどいですね」
ラファエルは肩を少し竦めて
「さぁて、俺も罪の食卓コースを頑張らないとな~」
と言って、レストラン【ロイヤルシンズ】へと去った。
彼も微笑って、そのまま傍聴席へと向かう。片手には【生贄の赤ワイン】を持ち、優雅な足取りで、2階観覧席へ向かう。
今日はレア判事の男性が舞台の中央に立つ。
観覧席には彼の同僚、SSR判事アレシア判事も【潔癖の白ワイン】を飲んでいた。優雅に椅子に座り舞台前の高揚感に酔っている。
「こんばんは。エリオット判事」
「やあ、アレシア判事」
「今日も暇そうね」
「良いんじゃないか? 俺たちが出るとスタッフ達も忙殺されてしまう。今夜はこれくらいの熱で丁度良い」
彼らは判事の衣装ではなくて私服姿だった。
エリオットは黒のシャツに灰色のスラックス、アレシアは深い青色のドレスを纏い、観覧席にてその時を待つ。
一方、リリアは、この時点にてかなりのリースを払いやけくその魔女裁判コースへ挑む。
友人は
「魔女裁判コースへ行くって、舞台に引き出されて笑われるよ!」
「このまんまじゃ笑われっぱなしじゃん」
「冷静になりなさい? 10000リースよ? 10000リース! しかも、そのまま性奴隷に移行するかもよ?」
「懺悔室止まりにしなよ、ね?」
「引くに引けないのよー!」
「ああっ、もうっ! だったら笑われるがいいわ!」
リリアは魔女裁判コースへの申し込みを受付にする。様々な免責事項の書類があり、手続きが多い。しかし、要はサインすれば良いだけ。
受付はドレスコードの確認だけはした。リリアもジェシカも落ち着いた色調のドレスであった。出しても問題なし。
「では舞台へご案内致します」
リリアは舞台へと続く回廊へと案内される。蝋燭の炎が廊下を照らし、まるで処刑の前の魔女のような気分にさせる。
彼女の呼吸は徐々に乱れていった……。得も言われぬ緊張感が、背筋に寒いものを感じさせる──。
奥からは黒子と呼ばれるスタッフがリリアを待ち受けていた。
二三注意事項を言われる。
「よろしいですか? 舞台ではあなたは魔女として裁かれます。必ず呼び方は判事様と呼ぶように。判事ちゃんとか言ったら鞭打ちが待ってますからね」
「ヒッ……は、はい……」
「それと、舞台での鞭打ちも罵倒も劇の一部。弁解は全力で」
「はい……わかりました……?」
そして名が呼ばれた。
「被告人、魔女リリア・フェルミア、出廷せよ」
「──行ってらっしゃいませ」
リリアは魔女裁判の舞台へと、脚を向けた。
罪状 よく見られたい欲を止められなかった罪
備考 本人曰く、素直で綺麗でいたいだけとのこと。虚栄の自覚は薄い。
彼女、リリアは相変わらず軽いノリでこのSMクラブの扉を開く。友人も連れて、観客としてやってきたつもりだった。
それが彼女にとっての運の尽き。
まずは冗談のつもりで罪状ガチャに挑む。周りの人間たちは
「あーー!! 二度寝した罪だと!」
「誰にも愛されていない罪なんて……!」
「疑心暗鬼罪だと!?」
様々な自白めいた言葉が飛んでいる。
「ちょっと引いてみよー」
この罪状ガチャ、実に腹が立つ。黒曜石で作られた意味深な箱から、まるでレシートの紙のように1枚の紙が出てくるのだ。そこに書かれている罪状が、その被告の掘るべき課題となる。
リリアに出てきた罪状は『よく見られたい欲を止められなかった罪』、『罪状虚栄罪』とあった。
彼女が強張った顔をする。
「何これー! 誰が虚栄って! そもそも虚栄って何!?」
友人は吐き捨てるように説明する。
「自分を過剰によく見せようとしていること。まんまあんたじゃん。SNSでひけらかしたり、だから彼氏にだって振られてさ」
「違うの! あれは素直に綺麗でありたいだけなの!」
「まあ、良いじゃん。そんなに重罪じゃなさそうよ。ほら、カードにはレア罪状ってある」
友人は絶妙に深くない罪に笑いを堪える。馬鹿にしているような節。
「ほら、リリア! この調子で判事ガチャに行こうよ!」
「あんたもいつか裁きが下るわよ」
友人であるジェシカも罪状ガチャを引いた。
すると『本音をズバズバ言い過ぎる罪』とあった。『罪状言葉刃物罪』。
リリアも思わず突っ込む。
「あんた、そのまま、ウケる~」
「だねぇ……罪状ガチャ、何かムカつくわ」
2人は判事ガチャへ挑戦。
判事ガチャとは黒のベルベットの箱に手を突っ込みくじを引くという至極シンプルな造り。大きさとしては割と大きい。腕がすっぽりと入る箱で、その中のカードを引くというもの。1回、300リース。10連まで回すことができる。
リリアは何を思ったのか、判事ガチャをいきなり10連で回す。
「何を考えてるの!? いきなり10連、やるなんて!」
「だってさ、SSR判事、いきたいじゃん」
周りのパリピ客も
「SSR! SSR!」
と叫ぶ。煽りに乗せられてリリアも一気に3000リース投入。ちなみに日本円で例えるなら3000円分である。
その結果は悲惨であった。
最高レアはレア判事。つまりリリアを裁くのはレア判事ということである。
ジェシカが笑っている。
「3000リースも突っ込んだのに、レア判事止まりってのはウケる~!」
「私、馬鹿にされてる~?」
「このSMクラブ、リリアのことを絶妙に嗤っているよ」
「悔しい……っ!」
この喧騒を遠くから眺める2人のSSR判事がいた。
飯の判事ラファエル・ヘミングウェイ判事と炎の判事エリオット・レム判事。彼らは店の片隅にて何時もの店の喧騒を笑って眺めている。至極、楽しそうに。
「今日も何時ものテンションで安心だな」
「全くな! 客達のリアクションもここまで来れば立派な芸だよ」
「このSMクラブではそのリアクション芸が舞台を添える華になる」
「ひどい言い方だよなぁ、エリオット判事」
「さて、誰が今夜、私を引くかな?」
「お前が来た途端、舞台がえらいことになるから来てほしくないかも」
「ラファエル判事の言い草もひどいですね」
ラファエルは肩を少し竦めて
「さぁて、俺も罪の食卓コースを頑張らないとな~」
と言って、レストラン【ロイヤルシンズ】へと去った。
彼も微笑って、そのまま傍聴席へと向かう。片手には【生贄の赤ワイン】を持ち、優雅な足取りで、2階観覧席へ向かう。
今日はレア判事の男性が舞台の中央に立つ。
観覧席には彼の同僚、SSR判事アレシア判事も【潔癖の白ワイン】を飲んでいた。優雅に椅子に座り舞台前の高揚感に酔っている。
「こんばんは。エリオット判事」
「やあ、アレシア判事」
「今日も暇そうね」
「良いんじゃないか? 俺たちが出るとスタッフ達も忙殺されてしまう。今夜はこれくらいの熱で丁度良い」
彼らは判事の衣装ではなくて私服姿だった。
エリオットは黒のシャツに灰色のスラックス、アレシアは深い青色のドレスを纏い、観覧席にてその時を待つ。
一方、リリアは、この時点にてかなりのリースを払いやけくその魔女裁判コースへ挑む。
友人は
「魔女裁判コースへ行くって、舞台に引き出されて笑われるよ!」
「このまんまじゃ笑われっぱなしじゃん」
「冷静になりなさい? 10000リースよ? 10000リース! しかも、そのまま性奴隷に移行するかもよ?」
「懺悔室止まりにしなよ、ね?」
「引くに引けないのよー!」
「ああっ、もうっ! だったら笑われるがいいわ!」
リリアは魔女裁判コースへの申し込みを受付にする。様々な免責事項の書類があり、手続きが多い。しかし、要はサインすれば良いだけ。
受付はドレスコードの確認だけはした。リリアもジェシカも落ち着いた色調のドレスであった。出しても問題なし。
「では舞台へご案内致します」
リリアは舞台へと続く回廊へと案内される。蝋燭の炎が廊下を照らし、まるで処刑の前の魔女のような気分にさせる。
彼女の呼吸は徐々に乱れていった……。得も言われぬ緊張感が、背筋に寒いものを感じさせる──。
奥からは黒子と呼ばれるスタッフがリリアを待ち受けていた。
二三注意事項を言われる。
「よろしいですか? 舞台ではあなたは魔女として裁かれます。必ず呼び方は判事様と呼ぶように。判事ちゃんとか言ったら鞭打ちが待ってますからね」
「ヒッ……は、はい……」
「それと、舞台での鞭打ちも罵倒も劇の一部。弁解は全力で」
「はい……わかりました……?」
そして名が呼ばれた。
「被告人、魔女リリア・フェルミア、出廷せよ」
「──行ってらっしゃいませ」
リリアは魔女裁判の舞台へと、脚を向けた。
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