罪の劇場 〜SMクラブWhich Trials〜

翔田美琴

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第1クール 魔女裁判編

Case13 その夜、血が舞った

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魔女名 ミラ・フローベル
罪状名 魂無自覚罪(今まで最低の魂)
判決 血が舞った。(禁書扱い)

 第13審問室──そこは死神のナンバー通りの審問室。
 そこは地獄以下の魂の廃棄場。
 私がそこを観覧すると言うと、エリオット判事とジョニー判事、レム判事がこぞって同行すると言った。

「俺も同行します。美琴さんが行くなら俺も」
「でも、あなたの善意がプレイを許さないかもよ?」
「いいえ、そうでも」

 きっぱりと言い切るエリオット判事。
 レム判事も

「再構築は無理なら消去する──その手順を観たいだけですよ」
「レム判事のそれが一番怖いです」 
「美琴さんもでしょう?」
「私は残酷な趣味の女みたいじゃない?」

 ジョニー判事はというと

「血塗れ審問なんて一生に一度観られるかどうか? 俺も行くぜ!」
「あなたのそのテンションはもはや勇者ね」

 黒子は頷いて私達を案内する。
 
「──では、第13審問室の観覧席へと参りましょう。普段行く所ではないので私がご案内します」
「普段行く所じゃない?」
「第13審問室って初めて聞いたわ、俺」
「ジョニー判事、無理もないです。あそこはセレスティアの埒外の場所です。法も無視される場所です」
「──マジか、それ……」
「──ええ」
「大昔の魔女裁判の時に使われた拷問部屋だろう?」 
「レム判事の仰る通りです。歴史の名残りってものですね」

 最下層の階段を降りて、更に地下へと降りる。そこはもう蝋燭の炎が青白く、濃い死の香りがする──。
 まさに煉獄とはこの事か。
 第13審問室から悲鳴が聴こえてきた。鞭を嬲る音、魔女の悲鳴、痛々しい叫び。
 覗き窓が設けられている部屋へと入る。
 既にデュラハン判事の裁きという名の処刑が始まっていた。

「──どうぞ」

 私とエリオット判事、レム判事、ジョニー判事が覗き窓から観た光景は悍ましいを越えてまさに血塗れ審問だった。
 服が無残に破り棄てられている。
 デュラハン判事の鞭が無遠慮に顔面を、腕を、そして全身を叩いている。魔女ミラは鼻血を流して、口にも血泡が。
 デュラハン判事は瞬速の速さで鞭で嬲る。

「──いややあああっ!」
「あうっ! あうっ! ああっ!」

 それは最早SMプレイでもなく、恐ろしい処刑であった。
 
「嫌だと……貴様のようなゴミが」
「ゴミはゴミ箱へ捨てなければならん。貴様のような糞にもならん魂なぞ、処理するのみ」

 それは宣告、それは断罪、それは真実の刃。
 デュラハン判事が銀のナイフを取り出す。
 二の腕を引き裂い始める──。

「うわぁ……これは上映禁止のやつ……」
「血が舞った……!」

 指が切断される。
 血が更に床を汚す。

「……!」
「美琴、大丈夫か?」 
「これよ……これだわ……魂の解体……!」
「み、美琴さんっ……すげぇ。こんなのが繰り広げられているのに興奮してる」
「まさに解体ですね……」
「いや、レム判事のその絶対零度テンションの方が凄えわ!」
「エリオット判事、何とか言えよ」
「美琴の地獄を直視しているのは恐れ入る……」
「お前……美琴さんがいると変な精神耐性のバフがかかるな?」
「平気じゃないぞ。確かに。だが、まさか『魂無自覚罪』でこの実刑は凄い」
「禁書レベル」 

 銀のナイフはありとあらゆる箇所を容赦なく斬り裂く。
 デュラハン判事は淡々と銀のナイフで肌に紅い線を刻む。  
 
「どうしてぇ? 何で?」
「その歪んだ言葉遣い、死んでも治らんな。舌を引っこ抜くことはしない。吐きつづけろ」
「悪いことしてないのにぃ……」
「存在自体が拒否されたのだ。貴様は」
「そんなぁ……ひっく……ひっく……うああぁっ!」

 太腿に銀のナイフが刺さった。
 これは激痛。いや、死の一撃になりうる。

「フフッ……セレスティアは穢らわしい魂の存在は赦されない。貴様のような魂の欠陥品は処理するのみ」
「……決め台詞ですね」
「重いって! 魂の欠陥品って」
「アレシア判事の吐き気を催したのは大罪です」 
「俺も同意だ」
「まぁ、あのアレシア判事が拒否反応は凄まじかったからな」

 また太腿へ二撃目が入る。
 魔女ミラは叫ぶ。魂から悲鳴をあげる───。
 しかしここには助ける人間もいない。観察する人間しかいない。

「お、俺……胃の中のものが戻るかも知れん!」
「吐く時は別室で頼む」
「そ、そんなことを冷静な口調で言うな!?」
 
 それは儀式ではなくて、まさに処刑だった。
 『性奴隷』ですらない。最悪の廃棄場である。
 セレスティアの暗部はこうして、魔女ミラの人格否定攻撃から始まり、物理的な斬り刻み、罵倒、そして処刑へと踏み込む。

「貴様のような魂を産み出した一族も、諸共、こちらへ送ってやるとしよう……」
「一族諸共って家族ごとか!? シャレにならねえ……」
「セレスティア恐るべき都市ね」
「美琴さん! それは『楽しみね、やりなさい』に聞こえる」
「良いじゃないの。魂を滅して焚きつけてやりましょうよ」
「いやいや……それは家族諸共削除案件!」

 ジョニーは身体の震えが止まらない。
 そうして、プレイルームという名の処刑場には元魔女ミラの肉塊が散らばるばかりになった。
 デュラハン判事は 
「処理完了」とだけ言い切る。
 魔女ミラの魂は滅せられ、その魂は現し世に戻る事もなかった。
 
 この記録は限られた者しか閲覧出来ない禁書レベルの部分である。
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