罪の劇場 〜SMクラブWhich Trials〜

翔田美琴

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第1クール 魔女裁判編

Case12 血みどろ審問の始まり

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魔女名 ミラ・フローベル
罪状名 魂無自覚罪(快楽も通じない危険個体)
判決 永遠の性奴隷コースへ降下(血みどろ審問よ)

 私は美琴。今夜の舞台はちょっと異常だった。煽りの祝詞が呪詛と化してしまった。
 例の魔女ミラはというと

「はぁ~い、皆、可愛いミラちゃん、登場よぉ~」

 自撮りしつつ陽気に登場。真正のアホがきた。
 観客は当然、烈火の如く怒鳴る。 

「何が可愛いミラちゃんだ! テメーは死ね!」
「この寒気……デュラハン判事! デュラハン判事だ!」
「やっぱり魂を殺すのはデュラハン判事! テメーは今夜、人生の幕を下ろすんだ!」
「何言ってるかわかんなーい」
「死ぬって言ってんのよ、おバカさん!?」
「死ぬって言葉、分かんないなら解説したろか!」
「テメーの人生、終わり! ジ・エンド!」
「もしくは永遠に苦しみのコンティニューだわ!」
「苦しいのは嫌~っ」
  
 場の空気が変わった。
 舞台の炎が青白く変色する──そしてこの世とあの世の間が無くなった気がした。

「ミカエル……この空気」
「ええ……きました。デュラハン判事」

 観客席のSSR判事も寒気に襲われる。

「来たわね……デュラハン判事」
「何時もながらこの気配、スーパーレア判事の気配じゃないね」
「まさに、神罰」
 レム判事が『神罰』の言葉を聞くと皆も頷くしかない──。

「──静粛に」

 黒のフード付き判事服の死神、デュラハン判事が裁判官席に着席する。顔の表情は本当に読めないというより、漆黒の靄の向こうにあるみたい。
 まさに人ならざる者。

「今夜の判事ちゃんでーす!」
「──まずはその邪魔な機械を潰す」

 デュラハン判事がどのような力を持ってしてか、鎖でスマホを叩き落として、砕いた。

「いやあああ! アタシのスマホ!」
「やれーー! デュラハン判事! そいつの尊厳と叩き割れやーー!」
「殺せ! 殺せ! 殺せ!」

 いや、今夜の祝詞は火を噴くどころが業火、いや劫火だよ。
 デュラハン判事は何時ものように開廷の宣言を告げる。

「これより、ミラ・フローベルの審判を開始する。魔女ミラよ……」
「なぁに? 判事ちゃん?」

 おいおい、この期に及んで判事ちゃんかい。

「貴様の審問なぞ5分で終わらせてやろう」
「はっやー!」
「【WhichTrials】始まって以来、最速かも知れん」
「やれやれーー! 殺せ! 殺せ!」
「死の罰を!」
「救いのない魔女なぞ救わなくて良いのだ」
「そーだ! 廃棄しろ!」

 私は背筋に恐ろしいものが走る。
 まあね……そりゃあそうよ。

「ミカエル、今夜は明らかに死亡者出るわよ」
「そうですね……既に死亡フラグ、立ちまくりです……」
「ミカエルの口から死亡フラグを聞くとはね」
「あれが伝説の『死亡フラグ第一級建築家』ですよ」
「そ、そうね……」

 魔女ミラへの殺意はやがて嫌悪の祝詞へと進化する──。

「こんな汚らわしい魂、初めて見た!」
「悍ましい!」
「見ろよ、あのコーデ。最低最悪」
「美的センスも終わってらぁ!」

 SSR判事も

「アレシア判事、顔が真っ青です……」
「大丈夫か……無理ならロイヤルシンズへ」
「あそこまで歪んでいるとは……」

 アレシア判事は醜態を見せられて頭を抱えている。
 思わずラファエル判事がロイヤルシンズ奥部へと避難させた。
 エリオット判事とレム判事は苦笑する。

「アレシア判事があそこまで追い詰められるとは」
「あれは私でも再構築は無理ですよ……」
「出たー! レム判事の無理宣言!」
 
 ジョニーも半笑いで舞台の魔女を処断する。

「た、確かにあれはバグってるねえ。あれよ……初期値がマイナスになって計算できねえやつよ」
「そうですね……私も血塗れ審問以外にないと考えます……」
「氷の神の血塗れ審問程、恐ろしいものはない。……あれは俺も血塗れ審問だな」 
「永遠の性奴隷コースの『性奴隷』って言葉が虚しく聞こえるね!」
「本当、あれはブラッディコースだよ」

 エリオット判事はダメだと匙を投げた。
 さて、舞台はというと

「貴様の言い分を聞くのもうざったい。その場で判決を出してやる──」

 静かに判決が出されようとしていた。
  
「判決。魔女ミラ・フローベルを永遠の性奴隷コースへの送致を決定する!」
「そ、そんな! 悪いことしてないのにぃ」
「テメーは死ね……」

 舞台が震えるような殺意で満たされる。

「穢らわしい、消えろ」
「その魂はこの世に要らねえ」
「処理だ……処理しろ……」
「苦しむがいい……血で贖え」
「貴様の痛み、血の痛み、きちんと味わえ……」

「何これ……そんな目で見ないでよ……」

 ミラはようやく悟る。
 まるで便器の汚物を見るような目で観客は自分を見ていると。

「フフッ……貴様は糞以外だ……」
「そんな! うんこ以下なんて!」
「糞にもならない奴は血塗れにして判事の血みどろの宴にかけられるのみ……」

 魔女ミラ・フローベルは、黒子の手により魔の第13審問室へと送致された。
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