罪の劇場 〜SMクラブWhich Trials〜

翔田美琴

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第2クール 家系削除、断罪編

Case16 ジョニーの会計監査 〜神の電卓〜

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 快楽尋問がされ続ける中でジョニーの会計監査がきた。 

「よーし、これからお前んちの会計監査をしてやるよ! ちょっと混乱するかも知れないが、まぁ聞けや!」
 
 懐から手乗りサイズの電卓を取り出す。その電卓は【神の電卓】とも呼ばれ魂の会計が丸わかりという恐ろしい電卓である。
 ジョニーは快楽尋問を受けるアンナに向けて電卓を入力すると

「あっちゃー! 本当に赤字塗れだよ」
「数字がもうマイナスを叩き出してら」
「どんな数字です」
「-99999」
「究極のマイナスだ……」
「それ、前世レベルのマイナスでは?」
「何その、マイナスってどういう意味?」
「つまりねぇ、アンナさん。アンタはもう前世レベルで魂が穢れているんだよねぇ」
「救いのない」

 レム判事は思わず腕を組み、苛立つ。
 彼にとってはマイナスの計上は計算できん魂として最悪の評価の対象である。
 氷の神の凍てついた視線がアンナを射抜く。
 エリオット判事は断続的に快楽を与えて可能性の計上をジョニーに頼む。 

「本当にどうしようもないのか? この快楽の反応はプラス計上だろう」
「エリオット判事、その快楽の計上を持ってしても赤字確定なんだわ」
「マジか……」
「ちょっと……あんっ……どういう意味」
「簡単に言うとだな、あんたの人間として価値は無し!っことだな。ひでぇ言い方すると」

 ジョニー判事の会計監査は彼の口調の乱暴さに比例する。
 レンブラント判事は薄く嘲笑うと

「まぁそんなものでしょう」 

 と、冷淡に答えた。
 そして、アンナに向けて冷たい菫色の瞳を向ける。
 黒剣を引き抜いて、黒子の差し出すハンカチで銀の鞘を拭き取りながら一言。

「これでわかりましたね。君の一家は家系削除審問に相応しい。さて、何処から削除するかですが……」 
「削除ってまさか殺すの!?」
「そうですね。考えられます。我々はセレスティア中央政府の依頼を受けておりますから」
「ヒィッ!」
「奥様……覚悟してくださいね」

 エリオット判事は冷淡に顎を掴むと自分自身へ向けさせる。
  
「実行部隊は私ですから」
「ええ、エリオット判事が法の削除部隊。実行部隊は彼ですよ」
「奥様を見納めにするのもここだけかもですね」
「うわー今ので更にマイナスを示した。ビビらせるとマイナスになる奴ってやっぱり初期設定が間違っているのよぉ」

 ジョニー判事の無遠慮な言葉という名の愚痴が響く。
 
「解決方法聴きたいか? 駄目かも知れんが間に合うかも知れねえ方法」
「嫌な予感ですね」
「レンブラント判事はわかってらっしゃる。まぁ再構築なんだわ」
「──再構築は、マイナスの数字には効かん」

 レム判事の匙投げたが炸裂した。
 この冷徹さが氷の神の由縁なのだ。
 永遠の性奴隷コースのジェシカがまさにそのアップデートの例だが、結果は悲惨。 
 つまり彼的には【無駄な魂にかける経費がマイナスで拒否反応】である。
 レンブラント判事は煙草を吸いつつ、皆で協議を始める。

「うむ、再構築不可なら、やはり削除ですね」
「削除ならもうフローベル一家全体……つまり祖父も、そのまた祖父の代から削除でしょう」
「レム判事の判断は冷徹過ぎる!」
「削除ならそこからやった方が宜しい」

 アンナは何がなんだかわからないが、一家が世にも恐ろしい事に巻き込まれたのはわかった。
 これは自分という存在の消滅なのだ。
 この世の生存を拒否された冷徹なる判決──!
 
「待って! 待ってよ! 努力するから! 良い人になるから殺さないでぇ!」
「遅すぎます。既に我々は2人もの犠牲者を出した。しかも我々にコスト高すぎるプレイをさせた。これが罪でなくてなんなのですか?」
「そんな……っ! ねぇ! お願い! 殺さないで! 殺さないで!」

 ジョニー判事は呆れた感じでボヤく。

「そんなの嘘だな。【神の電卓】の数字は動いてねーよ。つまり嘘」
「そんな! その電卓、壊れて……」
「ああ……これは壊れる事はねーよ。魔女の魂が込められているからさ」
「結論が出ましたね」
「あなたに出来る事は一つです。自らの存在が消滅する前に手続きでも取って置いてください」
「あなたの戸籍諸共、消滅します」

 ジョニー判事は崩れ落ちるアンナに向けて溜め息をついた──。

「金の心配はしなくて良いぜ」
「消滅しちまえば金の心配は綺麗サッパリ無くなるからよ」

 四つん這いに崩れ落ちるアンナは、泣き叫ぶ。死にたくない。死にたくない! まだ生きたい! 
 SSR判事には無駄な足掻きにしか見えない。
 【神の電卓】は無常にもマイナスのまま彼女の空虚な魂の計上をしていた。

「哀れだねぇ……」

 ジョニー判事のこの言葉はまさにその通りであった。
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