罪の劇場 〜SMクラブWhich Trials〜

翔田美琴

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第2クール 家系削除、断罪編

Case17  処刑の夜 〜無常の月夜〜

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 結論が出てしまえば行動も速いのがセレスティア中央政府。  
 あっという間に削除申請が通り、アンナが涙に暮れて泣き濡れて所に処刑専門官、炎の判事エリオット判事が現る。
 実際には黒子の中でも執行人と呼ばれるデュラハン判事専任黒子が刃を持って実行するが、宣告は彼の役目だった。
 それはまさに、またもややってきた魔女裁判の暗部、処刑の夜───。
 焔の篝火が燃え盛る中、静かな火焔と共に暗黒の夜が訪れた。
 
「ううっ……ううっ……」
「……泣き濡れているな」

 彼の隣には黒の司祭レンブラント判事もいる。処刑の夜の黒の司祭、魂の終わりを見届ける漆黒の司祭。
 漆黒のマントが凶兆のように翻る。
 過去の魔女裁判でも起こった稀な処刑。
 人は冷徹な数字の前にはひれ伏すしかないのだ。
 アンナは両手を縛られ、両脚も縛られ、血のような赤の月夜の下に引き出される。
 周りには観衆が……魂の赤字を丸裸にされて彼らは恐れる。次は自分かも知れない──そんな恐怖。
 レンブラント判事が懐の懐中時計で刻限午前3時丁度に処刑の合図を送る。
 エリオット判事は漆黒の判事服に両方の手をポケットに突っ込み時を待った──。

「──午前3時です」
「処刑台ヘ引きずり出せ」
「あうっ!」
「アンナ・フローベル。これから削除の儀を始める。手早く終わらせるのがせめてもの慈悲。騒ぐなよ」
「……はい」

 執行官が大振りの大剣を持ち現れる。過去何人もの魔女が斬首された大剣だ。 
 最上段に構える。息が瞬間、凍てついた。

「処刑執行!」

 その夜──セレスティア国民の一人の存在とその家系が削除された。
 セレスティア一般市民にはその処刑の瞬間を目撃した者達もいたが、記憶は徐々に薄まり、次第に忘れ去られる。
 そして忘却の彼方へと押し流された。
 その者の魂を思い出そうとしても無明の闇が広がるのみ。
 個人的情報も、資産も、融けてなくなり、全てはリースへ還元されセレスティア中央銀行に戻されるのみ。
 その会計の記録は存在抹消によるリース還元と処理されたのである。
 
 明け方の6時、【WhichTrials】では皆が朝食を食べている光景があった。
 エリオット判事は裏メニュー【鍋焼きうどん】で軽く軽食。
 レンブラント判事は裏メニュー【湯豆腐生姜醤油】で身体を温める。
 美琴は昨夜はひどい紅い月だったのを観て、その夜はセレスティアの運命が動いたのだと確信した。
 
「時代は繰り返すのね……」
「大昔と変わらないわ。まぁ、でも【神の電卓】を前にして数字が動かないんじゃ仕方ないのよね……」
「冷徹な電卓だわ……」

 この紅い月夜の事は殆どタブー同然の話題となる。
 さすがのSSR判事にも恐るべき衝撃を与えた事件であった。
 そしてセレスティア市民には何らかの恐怖が伝染し、煽りの祝詞が暴力のように木霊する。
 そして中心の火の竈には今夜も生贄の魔女が火に炙られているのだ。 
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