罪の劇場 〜SMクラブWhich Trials〜

翔田美琴

文字の大きさ
38 / 60
第3クール ユウキに見る愚かさの系譜

レムの論理

しおりを挟む
煌びやかなクラブ。ユウキはアッシュブロンドの髪を揺らし、レンブラントを見つけた。

ユウキ: アンタ! やっと見つけた! Rouge隊の人でしょ? めっちゃカッコイイじゃん!

レンブラント: 君は…? 何かご用でしょうか、お嬢さん?

ユウキ: ユウキだよ! あのね、アンタたち綺麗だから慰安婦にされるってホント? あたし、なんでもするよ!

レンブラント: 慰安婦、ですか…? 随分と物騒な噂ですね。セレスティア国家公認の『緋色の処理部隊』、確かに存在はしますが…その実態は全く違いますよ。

背後から、落ち着いた声が割って入る。レムがグラスを片手に現れた。

レム: レンブラント、随分と熱心なファンじゃないか。お嬢さん、悪い噂を鵜呑みにするのは良くない。事実と異なることが多いからね。

ユウキ: レム? アンタもRouge隊の人? 金持ちでしょ? あたしを見て! 愛してる!

レム: 愛ね…。それはどうも。だが、愛と金を安易に結びつけるのは感心しないな。我々は金のために動いているわけではない。

レンブラント: 失礼ですが、何か勘違いをされているようですね。確かに我々は『緋色の処理部隊』として、ある種の任務を請け負っています。しかし、それは人材の『再生』を目的としたもので、決して貴女が想像するようなものではありません。

ユウキ: 再生? なにそれ美味しいの? てか、綺麗なんだから、アンタたちもそういうことしたいんでしょ?

レムの目が僅かに細められた。禁句を口にしたユウキに、背筋が凍るような威圧感が走る。

レム: 『何それ美味しいの?』、か。世の中には、美味しいとか美味しくないとか、そういう浅薄な尺度で測れないものも存在するんだよ、お嬢さん。例えば、人の尊厳、倫理、正義、そういったものは、君には理解できないかな?

レンブラント: レム、落ち着いて。お嬢さんはただ、情報が錯綜しているだけでしょう。ユウキさん、貴女は美しく、魅力的な女性です。ですが、自己を安売りするような言動は、かえってその価値を下げてしまいますよ。

ユウキ: 自己…安売り…? え、なに? わかんない。

レム: 分からない、か…。全くもって困ったものだ。レンブラント、彼女はセレスティア中央政府の言う『非効率的な人材』の典型例だな。

レンブラント: おっしゃる通りです。しかし、見捨てるわけにはいきません。ユウキさん、もし宜しければ、我々の活動について、もっと詳しくお話しましょうか? 貴女の誤解を解き、新たな可能性を見出すことができるかもしれません。

ユウキ: 可能性? えー、でも、難しそうだし…。やっぱり、お金持ちと結婚するのが一番かなぁ。

レム: 結局、そこに戻るのか。レンブラント、残念だが、彼女は救いようがない。これ以上時間を割くのは無駄だ。

レンブラント: 待ってください、レム。まだ諦めるわけには…ユウキさん、一つだけ質問させてください。本当に、お金が全てだと信じているのですか? 魂の充実や、誰かのために生きること、そういったものには、全く興味がないのですか?

ユウキ: 魂…? うーん…よくわかんないけど、お金があれば、好きな服も買えるし、美味しいものも食べられるし、チヤホヤされるし…それでいいかなって。

レム: 嘆かわしいまでの無知蒙昧。まるで底なし沼だ。レンブラント、彼女に手を差し伸べるのは、貴様の優しさの浪費でしかない。

レンブラント: それでも、私は信じたい。誰にでも、変わる可能性はあると。ユウキさん、もし、少しでも心に引っかかるものがあるなら、私達に時間をください。貴女の世界観を、ほんの少しだけでも広げてみせます。

ユウキ: うーん。まぁ、アンタがそんなに言うなら…ちょっとだけ、話聞いてみても良いかな。でも、期待しないでよね!

レンブラントの表情が、僅かに明るくなった。ユウキの言葉に、微かな希望を見出したのだ。レムは、静かにため息をついた。

レム: 全く、世話の焼ける男だ。良いだろう、レンブラント。私も付き合ってやる。ただし、彼女に付け入る隙を与えないように。我々は『慰安婦』斡旋業者ではないのだからな。

ユウキは、まだ何も分かっていない。Phantom Rouge隊が背負う闇の深さを、自分の軽率な行動が招くかもしれない未来を。しかし、レンブラントは、その瞳に希望を灯そうとしていた。地獄への誘いは、こうして始まった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

会社員の青年と清掃員の老婆の超越した愛

MisakiNonagase
恋愛
二十六歳のレンが働くオフィスビルには、清掃員として七十歳のカズコも従事している。カズコは愛嬌のある笑顔と真面目な仕事ぶりで誰からも好かれていた。ある日の仕事帰りにレンがよく行く立ち飲み屋に入ると、カズコもいた。清掃員の青い作業服姿しか見たことのなかったレンは、ごく普通の装いだったがカズコの姿が輝いて見えた。それから少しづつ話すようになり、二人は年の差を越えて恋を育んでいくストーリーです。不倫は情事かもしれないが、この二人には情状という言葉がふさわしい。

処理中です...