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サタン@異世界編PART2

ナポレオンの名言に逆らう男

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何か急にヤバい気配を感じて"真紅の瞳"を発動し、辺りを見回す。

(どこだ……!?)

ぐるりと見回すも、敵もカトリーナの姿も見えない。

(ってことは……)

俺はそのまま天井を見上げると、真紅の瞳の効果で赤く光る蜘蛛のような体をした男を発見した。

体から無数に出した糸のようなものでぶら下がっている。

ーーーそして、そいつの脇には糸でぐるぐる巻きにされたカトリーナがいた。

「んーーー!んーーー!」

口まで糸で縛られて喋れなくなってしまっているらしい。

状況を把握した俺は蜘蛛男に問いかけた。

「ねーえー!いきなりキモい糸で女の子を汗臭い脇に抱えるのって犯罪じゃない?」

「ククケ。いや、犯罪じゃない。合法……!」

「いや、そんな変態を司法が許しているはずないだろ!」

「ククケケ。俺は人間の作った法には縛られていないのさ。俺を裁けるのは、ぺぺン神とエーギル様だけだお」

「笑い方気持ちわりっ!」

「語尾もな。2ちゃんねらーかよ」

ジョウチンと俺は2人してツッコむ。

「ククケ!テメーら全員"おで"の糸で動けなくして内臓チューチューしてやるお!」

「あ、物語に深く関わるキャラクターで、その一人称の奴いないわ」

「最強の敵とかでも内臓チューチューする奴いねぇしな」


「まぁつまるところ……」



「「雑魚敵!!!」」



その瞬間俺は翼で飛び上がり、ジョウチンは地面からツタを生やして、2人同時に天井の蜘蛛目がけて距離を詰めていった。


「な!?バ、バカな!!……と、飛んだ!?」

どうやらこの世界で飛ぶ奴は珍しいらしく、蜘蛛野郎は目を丸くした。

「飛んだし、そんでもってこんな斬撃も飛ばしちゃう系男子なんだよね」

俺は空中で蜘蛛目がけて、指3本にエネルギーを込め、飛ぶ斬撃を繰り出した。

「ぎっ……!ぎょおっ……」

蜘蛛は遠くへ張っていた糸を引っ張り、なんとか紙一重で斬撃をかわす。

ーーーズズズ、と音がして斬撃のエネルギーが教会の壁を切り裂いた。

「なかなかやるじゃんスパイダーマン!蜘蛛の体とかじゃなくて、もう少し人間ベースだったらカッコ良かったのにね」

「グッググゲゲ……!お、おではここでお前らを抹殺して、エーギル様のお役に立つんだお!俺はバカだけど、やる気だけは誰にも負けないお!!」

「違うお。エーギルのお役には立てないし、お前はここで終わりだお」

俺は空中でエネルギーを溜めた腕を振りかぶった。

「や、やめるんだお!こいつがどうなっても良いのかお!?」

「んむむむーーーーー!」

蜘蛛はカトリーナを前へ抱えて、交渉へ持ち込もうとしてきた。


「お前の意味不明な斬撃もこれでできな……あべっ!?」


ーーーが、その瞬間、ジョウチンのツタが脚を絡め取り、バランスを崩したところでカトリーナもこちらへ引き寄せた。

「『やる気のある無能』はよぉ~。すぐ●せって、ナポレオンが言ってたぜ」


「情報ソース古っ」


「それが俺の生きてた時代なんだからしょうがねーだろ!お前みたいな何世紀もまたぐ奴と一緒にすんじゃねぇ」



「ググゲ!!!し、●ねーーー!」


スパイダーマンは、全身から糸を吹き出し、俺に向かって撃ち込んできた。

しかし、真紅の瞳を発動中の俺には止まって見える。

全てかわしながら、一瞬で奴の目の前に詰め寄った。


「終わりだお」


「や、やめっ……!!」


「……と見せかけて『朝蜘蛛殺さないバスターーーーーー!!!』」

そう言うと、横っ面に向けて、エネルギーを込めた強烈なデコピンを撃ち込んでやった。


「ぶっっっっふぇお!!!」


スパイダーマンはそのまま高速で吹っ飛んでいく。

そして、ステンドグラスの豚に突っ込んでいった。


ーーーガシャーーーーーン!!!


色とりどりのガラス片が舞い散る。


「おいおい!もう少し吹っ飛ばす位置とか考えろよ!もう完全に宣戦布告してんじゃねーか!」

ジョウチンがカトリーナの糸を解きながら文句を付けた。

「え?なんで?」

俺は空中で首を傾げる。

「いや、あのステンドグラスに描かれてた豚は"ペペン"っていうピッピンプンスカ教会が崇める神だ。そいつを見ながらみんな祈ってるんだぜ。そこに来てそれをぶっ壊したとなっちゃ……」

「マジかよ……。そんな大事なもんならこんなスパイダーマン吹っ飛ばしやすいとこにステンドグラス置いとかないでよー」

「いや、吹っ飛ばす奴いねーだろ。……ってか、何であのモンスター殺さなかった?」

「うーん。まぁ……縁起悪いし……。あと、ナポレオンの言うことを聞きたくなかったからかな」

「張り合ってんじゃねーよ」

「あとは、こいつが誰に命令されてたのかとか、メイジーとクロエがどこに行ったのかとか聞き出そうと思って」

「まぁ確かにこいつやっちまったら情報が何も無くなるもんな」

「とかいってジョウチンだって、さっき殺せたのに殺してないじゃん」

「うるせぇ」

そんなやり取りをしていると、カトリーナが糸の中から這い出てきた。

「ならあたしが●してやるーーー!!あのドグサレビチ蜘蛛野郎がァーーー!!」

「ビチ蜘蛛て」

「それ、悪口なのか?」

再起不能になったスパイダーマンにげしげしと蹴りを入れるカトリーナを横目に2人でツッコんだ。
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